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エピローグ
真黒な闇に呑みこまれる・・・。
その場に座り込んでしまったアキラの背後。
夜の闇よりも暗く、深い闇が迫っていた。
今にもアキラを覆い尽くさんとする。
逃げろ。逃げろ。逃げろ。
警鐘が鳴り響く。
しかし、警鐘は意味を成さない。
遠くでしか響いてないから。
逃げろ。逃げろ。逃げろ。
警鐘は意味を成さない。
堕ちる甘美に気付き始めたから。
アキラは、胎児のように身を丸め、膝を抱く。
密生した苔が、柔らかくアキラを支える。胎盤のように。
アキラの表情は、恍惚に歪む。
深い、深い闇に抱かれながら。
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