7.颯斗の気持ち。
──碧と唯は、二人で愛と大和のいるところに合流した。
「ただいま〜、遅くなっちゃってごめんね?」
とあたしが謝ると
「遅いわよ〜はやくご飯にしましょ?あたしお腹ぺこぺこよ〜」
と愛ちゃんが言うのでみんなでお弁当を食べることにした。
「「「「いただきまぁ〜す!!」」」」
「飯食った後に、またバスん所戻るのは流石にだるいよなぁ〜」
と、お弁当を頬張りながらだるそうにしてる碧くん。
「そぉーかー?俺はまだまだイケるよ」
と、ニコッと笑う大和くんは流石スポーツ少年だ。
「あたしもまだイケるわよ?ご飯食べた後はしっかり動かなきゃね〜」
「流石だね。愛ちゃんスタイルいいもんな〜。」
「なぁ〜に言ってんのよ!あんた華奢な割にはちゃんと出てる所出てるじゃないの!あんたに言われると嫌味だわ〜やだやだ。」
と、シッシッとされる。そんな姿になんだか面白くなった。
「ふふふっ」
やっぱりみんなでいるとすごく楽しい。碧くんにはバレたけど、バレてもこんな風にまたみんなと楽しくいれることもあるんだって今回のことで学んだ。
なんだか先輩のことで悲しかったけど、色んなアクシデントのお陰?なのか、悲しかった気持ちも吹き飛んだ。
みんなに感謝の気持ちでいっぱいだ。
そして、お弁当を片付けてみんなでバスまで戻ることになった。
さすがに帰りは、足がしんどすぎてあたしは相変わらず碧くんに行きとは違う心配をされながら歩くことになった……。
その後、無事に学校に到着して解散した。
クタクタになって一人帰っていると…
「唯」
名前を呼ばれ振り返る。
「し、椎名先輩!!」
ひいいいい。恋をすると何もかもが輝いてる!かっこいい…!緊張する…!!
「足大丈夫か?」
と、顔を覗いて心配してくれてる様子。
「は…はい。少し痛いけどなんとか帰れそうです。」
ヘラっと笑うと、先輩があたしのリュックを取り上げた。
「持つ」
「えっ!わ、悪いですよ!自分で持ちます!重いですし!」
「重くない。家まで送る。」
え…送ってくれるの?嬉しいけど…悪くないだろうか…。
「先輩も疲れてるんじゃないですか?自分で帰れますよ?悪いです…。」
「朝の詫びだから気にすんな」
そう言ってまた朝みたいに頭にポンっと手を置いて優しく笑った。
「……。」
その優しい手と顔反則なんだってば……。
こんなに優しいとか、本当に彼女とかいないのかな?
急に心配になってきた…。そして女の先輩たちに囲まれてた先輩を思い出してまたモヤッとしてきた…。
女は度胸よ!!唯!!!聞くのよ!!!
立ち止まり、ギュッ…先輩の服の袖を掴む…。
「ん?どーかしたか?」
先輩が心配そうに優しい顔で聞いてくれる。
「せ、先輩は、か、彼女とか、好きな人…とかいないんですか…?」
すると予想外だったのか目を丸くして、あたしを見てきた。
そして、遠い目をしてポツリと答える。
「…いねぇよ」
…?…なんだろ今の間…。
「そうなんですね。いつも可愛い人達に囲まれてるから彼女いるのかもって思ってしまいました…。」
「ははっ…それはねぇーわ。あいつらに興味なんてねぇよ、ほら、行くぞ?」
そー言って、先輩はあたしの手を優しく握って歩き出した。
あたしは嬉しくて満面の笑みで笑った。
「……。」
先輩があたしの笑う姿にまた目を奪われてるとは気付かずにニコニコの唯。
「椎名先輩!お家つきました!」
名残惜しいけど…手を離す…。また明日話しかけようと心に決めた!
「…あぁ。ゆっくり休めよ」
先輩はそう言うとリュックを渡してきた。
「ありがとうございます!また明日!」
先輩にお礼を言ってあたしは家に入った。
先輩はそれを見届けて、帰って行った。
──────────……
唯を見送った俺は、蓮の家に向かって再び歩き出す。
「はぁ…。好きな人…か」
いろいろ考えてると蓮の家に着いた。
俺と蓮は幼なじみで家が隣だ。
こーやってよくお互いの部屋を行き来してる。
蓮の家の玄関を開け
「おばさん、あがるな。」
「あら颯斗くんいらっしゃ〜い!蓮なら部屋よ〜」
っと蓮の母ちゃんに声をかけ蓮の部屋に行く。
────ガチャリ
部屋を開けると漫画を見ながらゴロゴロしてる蓮がいた。
「お〜颯斗、今帰りだったの?遅くね?どこ行ってたの?」
と漫画を見ながら声をかけてくる。
「ん…唯んとこ」
急に反応して、くるっと俺の方に顔を向ける。
「は?!俺も行きたかったんですけどぉ〜!ずりぃ〜!!!あ〜!だから帰りいなかったのかよ〜!クソ〜!!」
と悔しそうにする蓮。
「は?何お前、唯に興味あんの?」
「さぁ〜、それはどぉかな〜。てか、なんかあったわけ〜?」
蓮はよくわかんない所があるけど、鋭い。
「…だな…。」
「しゃ〜ない!聞いてやるから話せよ」
とゴロゴロしてた体を起こし、俺に向き直す。
「相談乗る前に1つだけ聞いてい?」
「なんだよ…」
「颯斗って唯ちゃんが好きでいんだよね〜?」
「当たり前だろ。いろいろ複雑な気持ちはあるけど好きだ。誰にも渡したくねぇよ」
「りょ〜かい。じゃ、どーぞ」
俺はモヤモヤしてる気持ちを吐き出した。
「前言っただろ…桜の下にいた女」
「あ〜、結局見つかんなかった子ね〜。颯斗の心を一瞬で掻っ攫っていく女の子とかすげぇ〜。ははっ」
「唯の雰囲気がそいつに似てたから、最初興味持ったとか今思えばそれも最低だよな」
ん〜…と、蓮は考えたあと
「でもそれで好きになった、ならなかったはまた別の話じゃん?結局、颯斗は唯ちゃんが好きになった。だから今罪悪感が生まれてるだけ、そんだけの話じゃ〜ん?好きになってなかったらそんな事も考えてないよ?」
と、ヘラリと笑う。
「それだけじゃねーんだよ。今でも唯の笑う姿を見るとあの女の姿もチラつくんだよ…はぁー…。」
「別にいんじゃない?
桜の女の子は気になるけど、結局出会うことはできなかった。結局気になるどまり。そこで終わった。だからこれ以上颯斗の気持ちの何かが動くことはないよ。気になる以上にはなれないよ。
逆に唯ちゃんは目の前にいて、日々を過ごす中で気になるから好きに昇格した。これからももっと気持ちは増していくでしょ?もう決まってんじゃん好きな子。その桜の女の子の負けだね〜。」
と、当たり前のように笑う蓮。
蓮の言葉に、ハッとした…。
「そんな簡単なことで悩んでるなんて〜、颯斗もまだまだだね〜?」
とヘラリと笑う蓮。
「はっ…すげぇな蓮。」
「うわっ、褒められたけどなんか全然嬉しくないんですけどぉ〜。」
「ありがとな…蓮。」
やっと俺は前に進める気がした。




