9.お姉ちゃんの婚約者。
初の喧嘩事件、無事仲直りを終えて冬休みに入った。
あれからはたまに寂しい時に寂しいと伝えると颯斗は予備校帰りに少しの時間でもうちに会いに来てくれていた…。本当に優しくて大事にしてくれていると思う。思い出すだけで胸がきゅんとする…。
冬休みとは言っても先輩たちは入試が真近に控えてるので、冬休みに入ってからは会いたいと無理は言えない。
受験生の彼氏を持つ同士の愛ちゃんとあたしはよく二人で遊んでいた。
そして本日は、お姉ちゃんがお客さんを連れてくるので待ってて欲しいと言うことで、時間があったのでケーキを焼き、今は焼きあがったケーキを冷蔵庫で冷やしている。
お姉ちゃんがお客さんを連れてくるってすごいレアだなぁ…。
なんて思っていると
…ガチャン。
「ただいま〜」
「お邪魔します」
とお姉ちゃんと男の人?!の声がする。
パタパタと走っていくとそこには、大人な色気を醸し出したイケメンがいた…。
「おかえりなさい!初めましてこんにちは!」
とお姉ちゃんとイケメンに言う。
「唯ちゃんだよね?よく聞いてるよ。初めましてこんにちわ」
とニコリと爽やかな笑顔を見せるイケメン。
「とりあえずリビングで話しましょ?」
とお姉ちゃんに言われてみんなでリビングに入り、あたしは冷やしていたケーキを取り出しケーキとコーヒーを用意して運び、席に着く。
「じゃあさっそくだけど、紹介するわね?この人あたしの彼氏の柳 光希って言うの」
とニコリと笑うお姉ちゃん。
「えっ…か、彼氏?!お姉ちゃん彼氏いたの?!」
ビックリしすぎてあたしの目が飛び出そうである…。
「こんにちわ、凛とお付き合いさせて貰っています。気軽に光希って呼んでね?唯ちゃん」
とニコリと笑う光希さん。
「じゃあ…光希さんって呼びますね。ち、ちなみにお二人はいつからお付き合いを?!」
「そ〜ね〜、大学生の時だから5年かしら〜」
とあたしの作ったケーキを美味しい〜!と言いながら平然とそんなことを言うお姉ちゃん。
「な、なんで教えてくれなかったの?!?!」
「だって、唯はまだその時小学生よ?小学生相手にそんな話しないわよ。あたし唯のお姉ちゃんであると同時に親みたいなもんよ?」
と言うお姉ちゃんに、たしかにな…と頷けた。
「でもなんでこのタイミングで?」
と疑問に思うあたし
「…そ、それは…」
とちょっと照れ臭そうなお姉ちゃん。それを横目で見た光希さんはニコリと微笑んで
「僕からいいかな?」
「はい!」
「僕が唯ちゃんのお姉ちゃんを貰っていいかな?結婚をしたいと思っているんだ。」
と爽やかに微笑む光希さん。
「け、結婚?!?!」
このお家から出て行っちゃうの?!お姉ちゃん…。でもでもでもでも、お姉ちゃんも年齢的にそうだよね…結婚…。
「あっ、で、でも婚約者って形で、結婚するのは唯が高校卒業してからにしようと思っているのよ。あたしが唯の親権者だからね?唯を置いてなんていけないわ」
と優しく微笑むお姉ちゃん。
「うん。そういう事。唯ちゃんが高校卒業するまで結婚は待つよ。」
と光希さんも優しく微笑む。
「あたしと…お姉ちゃんの事、考えてくれてありがとうございます!」
光希さんとても優しい人なんだなって思うとあたしもほっこりとした。
すると遠い目をした光希さんが
「色々事情を知っていたよ。凛って大学生の時付き合いが悪くてね、いろいろあったね?」
とフッと笑う光希さん。
「まぁ…そうね」
とお姉ちゃんも懐かしそうに笑う。
「事情をきくと両親いなくて小学生の妹を見ながら大学に通っているって聞いた時は驚いたよ…助けてあげたいとずっと思っていたんだ。やっとこれからは助けれるよ。今まで頑張った凛を僕が幸せにするよ。」
と本当に大事そうにお姉ちゃんを見て微笑む光希さん。
「あ、ありがとう」
と照れているお姉ちゃんは新鮮だ。
「あたしからも…光希さんありがとうございます。それと…お姉ちゃん、ずっとずっとあたしを大事に思ってくれてありがとう。お姉ちゃんがあたしのことを大切にしてくれてたのはずっと伝わっててあたしは両親いなくても寂しいなんて思ったこと無かったし、すごく幸せだよ?お姉ちゃんのお陰だよっ!だから絶対幸せになってね?本当にありがとうお姉ちゃん。」
と、目をうるうるっとするあたしに
お姉ちゃんのその綺麗な顔からポロポロと涙が溢れ出す。
「幸せにできてたなら…よかった…。唯これからも大好きな家族よ。」
と涙を流すお姉ちゃん。
「うん…ぐすっ」
とあたしももらい泣きしてしまった。
その後、3人でケーキを食べながらいろんな話をしてあたしも光希さんとかなり打ち解けた。
その時…ピンポーン…。
みんな誰かな?って顔をしていてあたしがモニターを確認すると颯斗だった。
「颯斗だ。」
とあたしが言うと
「あ、ちょうど良かったわ。話したいことあるし颯斗くんもこっちに呼んでくれない?」
と言うお姉ちゃんに不思議に思いながらわかったと返事をして颯斗を玄関に迎えに行った。
そして颯斗に玄関である程度説明して二人でリビングに入ると、颯斗と光希さんも挨拶をしあって、颯斗はあたしの隣の席に座った。
「すみません、なんか大事な時に来てしまって」
と言う颯斗に
「いいのよ〜、颯斗くんが受験生じゃなかったら呼びたかったけど、忙しそうだったから終わってから颯斗くんともゆっくり話そうと思ってたのよ〜」
と笑うお姉ちゃん。
「俺にですか?」
と不思議そうな顔をする颯斗
すると急に真面目な顔のお姉ちゃん。
「単刀直入に聞くわね?唯のことどんぐらい本気なのかしら?将来は考えているの?」
と単刀直入すぎだろっ!と思っていると颯斗も真剣な顔をして答える。
「…将来も一緒になれたらなとは思っていますね」
「それならよかった〜!あたし結婚することになったの。あ、もちろん唯が高校卒業してからのつもりなんだけど。唯1人に本当はさせたくないの。颯斗くんに頼めたりしないかしら?この家に住んでくれても構わないわ、まぁ住む場所は唯の進路次第だけど」
と言うお姉ちゃん。
「お、お姉ちゃん!!心配性すぎだよ!あたしは大丈夫だよ、ほんとに…。」
と慌ててとめるあたし。なのに話はどんどん進む。
「俺でいいなら是非」
と笑う颯斗。
「は、颯斗!嫌なら断っていいんだから無理しないでよ…」
と言うあたしに
「俺も唯が一人暮らしは心配で気が気じゃねぇよ」
と言う颯斗。
「てか、なんなら颯斗くん進学決まったらうち来ない?同棲練習みたいな感じで」
とニコリと笑うお姉ちゃん。
「俺は構いませんよ、お邪魔じゃないなら…ですが」
と言う颯斗。
「な、な、な、な、何言ってるの?!颯斗」
「じゃあ決まりね〜あたしもこれからはちょこちょこ光希の家にいることも増えると思うから唯のことお願いね?」
と笑うお姉ちゃん。
「本当にいいの?颯斗…なんかごめんね?」
と言うと
「俺、唯と付き合ってなかったら志望校の大学少し遠いから元々一人暮らしする予定だったんだよ。唯いるからこっち残ることにして車で行く予定なの。その為に車の免許も取りに行ってんの。」
と言う颯斗にビックリした。あたしの為にそこまで考えてくれていたなんて…。知らなかった。
そんなこんなでみんなの顔合わせと、これからのことが決まった。
話が終わって、颯斗の手を引いてあたしの部屋に招きいれる。
そしてあたしは颯斗に振り返ると思いっきり抱き着いて、颯斗の胸に顔を埋める。
「颯斗〜」
「ふっ…急にどーした?」
と颯斗が優しく笑う。
「久しぶりに会えて嬉しくて…つい…えへへ」
とあたしはすごく嬉しくてつい顔がニヤけてしまう。
「すげぇ顔ニヤついてる。俺も嬉しい」
そう言って颯斗もぎゅっと抱きしめ返してくれる。
抱きしめられながら顔だけをそっとあげて颯斗のかっこいい顔を見上げる。
「同棲の話本当に良かったの?」
と頭をコテッと傾けて見つめる。
「ん、大学入って時間も合わなくなるだろーと思ってたから、今回の提案大歓迎。」
そう言って颯斗が頭を撫でる。
「そっかぁ!嬉しい…。ねぇねぇ…今日はいつまでいれる?」
とあたしが颯斗を見つめながら聞くと
「ははっ…今日の唯は甘えただな。1ヶ月切ったから今日もごめんな?そろそろ戻って勉強だな」
と申し訳なさそうにする颯斗。
「だよね…寂しいけど、こんなに忙しい時に会いに来てくれてありがとう…。」
あたしはションボリしながら颯斗に思いっきり抱きつく
「あと少しの辛抱だから待っててな?」
そう言って顎を掴むとあたしの顔を上に持ち上げ、キスをする。
そして見つめ合う…。
「もっと…してほしいよ…足りない」
とあたしが言うと
「…はぁ…我慢できないからあと少しだけな?」
そう言いながら深いキスを何度も何度もしてくれた。
そして名残り惜しく唇を離して見つめあった後
「そろそろ時間だ」
と颯斗が言う。
「…うん。」
いつも颯斗が帰る時は寂しさで胸が潰れそうだ。
手を繋いで玄関までお見送りする。
「じゃあまたな?」
と優しく笑いながら頭をポンッとする。
「うん…がんばってね?またね」
そう言って颯斗を見送る。
寂しさと葛藤しながら過ごす日々。
でもあと少しの我慢だ…!颯斗がんばってね。同棲だって待ってるし…あたしも頑張って応援するんだ。




