表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕と捨て猫  作者: 日向
1/1

恋人に捨てられて変わった僕

あの日、僕はすべてを失った。

愛していた人は

あっけないほど

簡単に僕を捨てた

知らない誰かの隣で笑う姿を見た瞬間

胸の奥がひどく痛んだ。

気づけば僕は、

夜の街をふらつくように歩いていた。

涙は止まらず

息をするたびに胸が締めつけられる。

苦しくて、思わず胸を押さえながら、

ただ前へと足を動かした。

その時だった。

路地の隅で、小さな黒い影が動いた。

近づくと

それは一匹の黒い野良猫だった。

細い体で、警戒するようにこちらを

見ている。その瞳はどこか怯えていて、でも、どこか諦めたようにも見えた。

「……お前も、捨てられたのか」

思わず、そんな言葉がこぼれた。

自分と重なって、胸がまた痛んだ。

しゃがみ込んで手を差し出すと、猫は少しだけ迷った後、ゆっくりと近づいてきた。震えるように鼻先を寄せてくるその仕草が、やけに切なかった。

僕はそっと、その小さな体を抱き上げた。

温もりが、腕の中にじんわりと広がる。

「……帰ろうか」

行くあてもなかったはずなのに、

不思議とそう言えた。

冷えきっていたはずの心に

ほんの少しだけ、

温かいものが灯った気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ