新機能
拾ってきた片手に持てるサイズの石を、まずは【クラフト】で半分にでもするかと発動させたところで、意識を失っていたようだ。
石そのものは半分に割れていたが、それだけのために魔力を全て費したらしい。
自力ではできないことができるのは利点だが、そのたびに意識を失っていたら使えるとは言い難い。
回数を重ねることで魔力が増え、魔力が増えることでやれることが増えるのを期待するしかないか。
夕飯をばくばく食べながら、今後の方針を改めて考える。
朝食、【クラフト】、気絶、夕食、【クラフト】、気絶、という生活を二日ほどしたわけだが、体力をつけるのであれば、昼間は体を動かすべきだろうか。
外で運動する日と、【クラフト】する日を交互に作る感じでいこうかなあ。
――それから数日。
昼はこっそりと部屋を抜け出し、外で体力をつけるために体を動かしたり、素材を集めたりしつつ、夜は【クラフト】をする。
毎日毎日【クラフト】による魔力枯渇で気絶していたおかげか、【クラフト】に使える魔力が増えていっている気がする。
具体的な数値で確認できる訳では無いが、初期値に比べたらすでに倍くらいある気がする。
石を割って、くっつけ直してもまだ気絶していないので、間違いなく魔力は増えているはずだ。
それにしても、石もちゃんとくっつけ直せるんだなこれ。
割った石をくっつけるなんて無駄な【クラフト】は一度きりで、土を掘りやすい形に加工したり、草や蔓を刈れるように刃物状に加工している。
外での行動範囲も少しずつ広げていく。
目印になるように、木の根元の土を掘り、用途の広そうな蔓植物を切り取り、落ちている木や石を拾う。
そんなふうにしているうちに、【クラフト】に変化があった。
今のところ何ができるわけでもないが、脳内で見られるインベントリに『特性』なるものが現れ、「掘削」「切断」「貫通」「殴打」という文字がうっすらと表示されているのだ。
「うーん?」
おそらくこれは、現在習得中という表示なのだろう。
経験値、習熟度、練度のようなものが一定値まで達することで、利用できるようになる――んじゃないかな?
土を掘ることで「掘削」が、草を刈ることで「切断」が、地面に枝を突き刺すことで「貫通」が、石で石を叩くことで「殴打」が、それぞれ成長しているのではないだろうか。
正解を誰かが教えてくれるわけではないので、推測を基に繰り返し試してみるよりないだろう。
結局やることは、いつもの繰り返しでしかないんだが。
より多く土を掘り返し、より多く草を切り、掘る範囲の目安に地面に突き刺していた枝を無駄に多く刺し、刃物状に加工しやすいように、石で石を叩きまくる。
夜は増えてきた魔力と集めた素材を活かし、木と蔓と石を組み合わせて道具を【クラフト】。
ナイフのような物や、斧のような物、スコップのような物を作った。
そんな感じで、少しずつ行動範囲を広げつつ、『特性』なるものを引き出そうと頑張っていたある日、周囲を見回していた視界の端に、何か気になるものが映った気がして、一度視界から外れたその場に再び顔を向けた。
いわゆる二度見、というやつである。
そこにあったのは――。