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【クラフト】なるスキルをもらって転生しました。  作者: きゆつき


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フライアウェイ

 木の上にいるルートに向かって、真っ直ぐに全力で跳ぶ。


 トランポリンの反発に合わせて跳ばなければ、逆に全然跳べなくなってしまうが、どんぴしゃりのタイミングで跳べたようで、しっかりと勢いのある跳躍ができた。


 ――というか、勢いがありすぎたかもしれない。


 うわー速ー。


 ルートに触れるというか、きちんと当たったものの、そこで勢いが殺されることなく突き抜けていった。もちろん俺が。フライアウェイ。


 ルートが上手くダメージを逃してくれたようで、ルートに当たった痛みもなく、運良く太い枝を避け細い枝と葉を突き抜ける形で飛び出した。


 ちょっとした切りキズが付いたくらいだ。

 

 自分の跳躍力に自信がなかったとはいえ、さすがにやり過ぎた。


 いやまあ、ぶっつけ本番でこんなことやるのがよくないというのは理解している。


 そもそも今日の俺がおかしいのだ。


 ここまで多少の予測不能事態やミスをしてきたものの、それでも慎重に行動するという心掛けは怠っていなかったつもりだ。


 それが今日は完全に(たが)が外れている。


 行き当たりばったりの行動を繰り返してしまっている。


 上から可愛い女の子が降ってきたとか、その女の子に助けを求められたとか、転生者冥利に尽きるイベントがたくさん起きたことで、自制心みたいなものがどこかへ飛んでいってしまっている。


 ()()()()()()一人反省会を開かねば。


 さて、そんなことはさておき、とにかく今は無事に着地することを考える必要がある。


 このまま地面に叩きつけられたらただでは済まないだろう。


 俺の身体が上昇から落下に切り替わり、空中に投げ出されたかのような状態に。

 

 俺は、体勢をなんとか立て直そうと無意識にばたばたしてしまっていた。

 

 そこへリアサが目の前に現れる。


 事前に頼んでいた約束を果たしにきてくれ、リアサは俺をぎゅっとキャッチしてくれた。

 

 リアサに捕まえてもらったことで、ようやく俺がじたばたしていると自覚し、迷惑をかけないよう身体を彼女に預ける。

 

 しかし、結局このままでは地面に激突してしまう。

 

 どうやらリアサは自身が下になって落ちることで、身を挺して俺を守ってくれようとしているようだ。

 

 ここまで跳んできてくれた彼女を下敷きに助かるのは違うだろう。

 

 彼女のおかげで冷静になれた。


 なんとかして無キズで地面に下り立ってやる。


 その方法を考えると同時に行動に移していた。

 

 インベントリから先ほど谷を越えるために【クラフト】した橋を取り出し、片側を近くの木の天辺に、もう片側を地面に、自分の直下に斜めになるように設置する。

 

 俺も抱き着くように腕をリアサの背中に回し、橋の上に落ちる衝撃に備える。

 

 衝撃を少しでも逃すように転がるイメージで橋にアプローチし、あとは坂道を下りるようにゴロゴロと回転していく。

 

 そして、勢いのまま地面を少し転がって俺が下になった状態で止まった。

 

 リアサと抱き合ったまま見つめ合う。

 

「ありがとう。捕まえに来てくれて」

 

「ん」

 

「リアサのおかげで冷静になれたよ」

 

 下手をすれば今頃、地面から離れられない状態になっていたかもしれない。

 

 それはそれとして、こんな風に誰かと抱き合うなんていつ以来だろうか。

 

 少なくとも転生してからは初だろう。

 

 人の温もりにもう少しひたっていたい気持ちはあるが、いつまでもこうしている訳にもいかない。

 

 インベントリから取り出して置いただけの不安定な巨大【クラフト】物を回収しなければ。

 

「ええと、リアサ」

 

 声を掛けると、返事代わりにぎゅっと抱き締められている腕の力が強くなった。

 

「俺としてはずっとこうしていたいけど、アレ回収しないといけないし、彼らがどうなってるのかも確かめなきゃ」

 

「……わかった」

 

 そう言ってから少しおいて、リアサが腕に込めた力を緩める。

 

 二人で体を起こし立ち上がる。

 

 体に付いた汚れが気にはなるが、まずは橋の回収を急がねば。

 

 橋に近づいて手を当てインベントリに回収完了。

 

 落下地点が三十メートルもある長い物体をいい感じに置ける場所で助かった。

 

 しかしやはり優秀なインベントリさんだ。

 

 こんな巨大な物を平気で収納できるわけだし。

 

 名前とか付けてあげないといけない気すらしてくる。

 

 インベントリの――んべちゃんとかどうだろうか?

 

 んべちゃん様々だ。

 

 優先事項を済ませたので、いったん服の汚れをパンパンと払う。

 

「じゃあ彼らのところに戻ろう」

 

「ん」

 

 リアサは頷くと、俺の手を取って歩き出した。

 

 手を繋いで歩く理由もないけれど、かといって無理矢理ほどく理由もないので、そのまま歩いていく。

 

 というか、条件である触れることに成功したんだから、向こうからこっちに来てもいいと思うんだが何をしているんだろうか?

 

 リアサに手を引かれ、彼ら――ルートとスーク――の居た場所まで戻る。

 

 そこで俺が見たのは、ぴょんぴょんと飛び跳ねる二人の姿だった。

んべちゃん――驚異的な吸引力で、なんでもばくばく食べる大食い系の子。

の、ような形で、登場したりヒロイン化したりの予定は一切ございません。

申し訳ございません。

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