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みんなの治療

「ああ、それならもう済んでるよ」


「え?」


「ここの(おさ)、うちの旦那」


 お(かあ)はお(とう)を指さす。


 なるほど。他の家より多少造りが頑丈そうで、しっかりして見えたのは、この村の長だったからなのか。


「お父さんが治りましたら、これを皆さんに飲むよう勧めてもらえませんか?」


「お前に、お義父さんと、呼ばれる、筋合いは無い」


 なんだろう。「おとうさん」という言葉に違和感を覚えたが、今はそんな事を気にしている場合ではない。


「アンタ! 下らないこと言ってんじゃないよ!」


 お父を怒鳴りつけるお母。


「アンタがお義父さんと呼ばれるかは、リアサが決めることだよ」


 あれ?


「ん」


 力強く頷くリアサ。


 あれれ?


 お母が治ったことで治療の目処が立ち、余裕が出てきたのかもしれないが、本当に今はそれどころではないですよ?


「俺は認めんぞ!」


 お父が立ち上がり言う。


「お父?」


「む?」


「お父、良くなった?」


 お父は自らの身体を動かして確認する。


「治った、気が、する。……不本意ながら」


 悔しさをにじませるお父。


「回復したんですね。良かった」


 とりあえず大人のクマ獣人には効果があったようだ。


「あり、が、と、う」


「お礼くらいはちゃんと言いな!」


「そんなことより今は、他の苦しんでいるみんなを助けましょう」


 夫婦喧嘩をしている場合では無いですよ。


「そう、だな。わかった」


「卑怯かもしれませんが、俺は行かずにお二人で渡して回ったほうがすんなり飲んでくれるんじゃないかと思います」


「細かいことは、治った後にしようかね。ま、アタシらも細かくは知らんけどね」


 お母はハッハッハと豪快に笑った。


「リアサ、ユーシを見てやっておくれ」


「ん」


「ほら行くよアンタ!」


 お母は木桶を抱えたお父の尻を叩くように発破をかけ、二人で家を飛び出していった。



 さて、次に俺にできることを考える。


「オウギ、ありがとう」


 そんな俺に、リアサが深く頭を下げながらお礼の言葉をくれた。


「まだみんなが治ったわけじゃないし、お礼はその後でいいんじゃないかな」


「それでも、ありがとう」


「ええと、どういたしまして」


 たまたま授かっただけのもので、感謝されることにちょっと申し訳なさがあったり、そもそもこの世界で他人と関わってこなかったので、お礼を言われ慣れていないこともあり照れてしまった。


「外で次の準備してくる」


 誤魔化しついでに外に出ることにした。


 上手く事が運んで治療が済むとしたら、次はお腹を満たすターンだろう。


 幸いにもインベントリの中には、クマとイノシシの肉がある。


 これを振る舞おうと思う。


 病み上がりに肉を食べさせて良いのかはわからないが、他に振る舞える物もない。


 すでに治っている二人の様子を見る限り、肉を食べさせても大丈夫なんじゃないかと思う。


 日本で見ていた、二百グラムサイズに肉を切り分け、『属性』の「火」や『特性』の「加熱」、「燃焼」を利用して焼いていく。


 クマの獣人が生肉しか食べないと言い出した時には、焼いてない肉を出せばいいだろう。


 そもそも、クマの獣人はクマの肉を食べるのかもわからないが、獣人と魔物ではまったく別の存在な気もする。


 その辺りは後で確認しよう。


 木のテーブルや皿、クマ肉ステーキやイノシシ肉ステーキ(ボタンステーキ?)を【クラフト】していく。


 ステーキって牛肉を指す言葉だったような気もするが、細かいことは気にしないでいこう。


 テーブルを設置し、五枚ずつステーキを載せた皿をセットして、お父お母の帰りを待っていると、肉の匂いに釣られたのか、リアサがユーシと呼ばれた子グマ獣人とともに外に出てきた。


「ねえリアサ、この村でクマの肉って食べることある?」


 本人たちの前にリアサに確認しておこう。


「ん?」


 俺の質問の主旨が分からなかったようで、リアサは首を傾げたが、とりあえずそのまま受け取って答えることにしたようで、「ん。たまに狩ってきて、みんなで食べる」と教えてくれた。


 それならば問題ないだろうと、リアサにクマとイノシシそれぞれ一枚ずつステーキを皿に載せて渡す。


 口に運ぶために箸――というわけにはいかないので、フォークっぽいものを【クラフト】して置いておく。


「んま」


 美味そうにかぶりつくリアサとユーシの姿を見ていると、全ての家を回り終えたようで、お父お母が帰ってきた。


「おかえり、お父、お母」


「この肉はどうしたんだい?」


「これも俺が用意しました。クマの肉とイノシシの肉なんですが、みなさんで食べられそうですか?」


「そりゃあありがたいけど――どうやった、のかは聞かない方がいいんだよね?」


 お母が訊いてくる。


 ちなみにお父はこの状況に驚きすぎたのか固まっていた。


「はい。

 すでに食べていますけど、腐ったりはしてないですから」


 お宅のお子さんの姿を見てわかる通り、インベントリの中で新鮮さは保たれております。


 そんなやり取りをしていると、最初に治ったと思われる村人家族が、焼いた肉の匂いに誘われたのかやって来た。

ここ二週ほど、珍しく調子よく書き進められたので、水曜日に更新。

このペースを維持できるようなら、週二回更新でいきたいのですが、元のペースでしか書けなかったら週一更新に戻します。

頑張れ俺。


今回も読んでくださったり、ブックマークして頂いたり、リアクションを残して頂いたりと、皆さまありがとうございます。

また次回も読んで頂ければ幸いです。

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