表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/33

ポーション(仮)

 「治癒」を付与して【クラフト】しただけの水、ポーション(仮)の検証結果。


 まず、傷に直接掛けると、スキル「キズなおし」のように一瞬で傷がふさがるということは無かったが、それでも数分後にはすっかり傷痕も残さず治っていた。


 次にポーション(仮)を飲んだ場合も、自然治癒力まかせの状態に比べれば早く治ったものの、効果が出るまでに一時間ほどかかった。


 それでも傷が一時間でふさがる時点で、驚異的な速度ではあるが、実験とはいえ三十分以上じんわり痛みがあったのはちょっと辛かった。


 切り傷擦り傷やけどあたりは、直接ポーション(仮)を掛けるのが良さそうだ。


 骨折とか内臓損傷は、さすがに実験したく無いので、掛けるべきか飲むべきかは現状不明で置いておく。


 そんな怪我を負う状態にはなりたくないが、なったら掛けつつ飲むしかないか。


 幸い、ポーション(仮)の作成コストは高く無いので、たくさん作っていつでも使えるように用意しておこう。


 なんにしても、合計三回も傷付けてスマンな俺の皮膚。


 そして痛みに耐えてよく頑張った俺。


 続いて、「回復」を付与して【クラフト】した水を飲んでみる。


 こちらも一時間ほどかけて効果が出てきて、疲労感が抜けていった感じがする。 


 体力が回復したのか、魔力が回復したのか、はたまたそのどちらもか。


 体感としては、どちらも徐々にだが、自然回復を待つより早く回復していった気がする。


 具体的な数値として見ることができないので、何度も試して感覚を研ぎ澄ませて理解するよりないか。


 ステータスが見れる異世界なら楽だったんだが。


 数字でわからないのはどうしようもない現実なので、自分の魔力量などを把握する感覚を磨くしかない。


 最後に「浄化」だが、さすがにこれを付与した水を飲むのはちょっと躊躇う。


 「浄化」の効果は消毒殺菌のようなものだと予想しているので、「浄化」水を飲んだところで、無意味に腸内細菌を全滅させてしまうだけな気がするのだ。


 抗生物質のような感じで、病気になったときに飲むと効果があるかもしれない。


 たしか抗生物質は、細菌性の病で飲むものだったと思うが、「浄化」水ならばウイルス性の病にも効果を発揮してくれそうな気がする。


 結局また、追々検証事項が増えてしまった。


 新たに習得した『特性』、「治癒」「回復」「浄化」のいずれも、あれこれ試しつつ、効果を把握していこうと思う。


 しかし、この『特性』が有能で有効で有益であればあるほど、タンスの肥やしならぬインベントリの肥やしにしかならなくなりそうな物がある。


 それがこの、実は見つける度に採集していた、魔力を多量に含んだ薬草の数々だ。


 ずっと思っていたことではあるが、【クラフト】をし続けることで【クラフト】の効果が高くなっていき、素材の価値が下がっていくことになる気がする。


 伝説の樹の葉や、伝説の果実や、伝説の花の蜜のような、希少で貴重な素材を持たずして、超強力回復薬を作れるんじゃないかと思っている。


 俺のイメージとして、【クラフト】系のスキルは、高性能レア素材から、ウルトラスーパースペシャルな武器防具、アイテムを作り出す素材集めゲーだった。


 だが、俺の【クラフト】は、ひたすら【クラフト】しまくって、習得した『特性』の効果を強化していくファームゲーだ。


 『特性』の効果も鍛えれば高くなるし、新たな『特性』すら俺の努力次第で習得できる。


 【クラフト】をし続ける必要はあるが、素材を求めて東奔西走する必要は無い。


 周辺を散歩して入手できる、どこにでもありそうな【クラフト】素材を集めるだけで、ミスリルやオリハルコンやアダマンタイトといった――この世界にあるかはわからないが――お決まりの異世界金属が無くても、強い武器防具を作成することだって不可能じゃないはずだ。


 この周辺という、小さな世界だけで完結できるというのは、良いことなようだが、悪い部分もある。


 自分だけの小さな世界で頑張り続けた結果、自分だけの力で強くなれたと増長して暴走して傲慢になって、調子に乗って驕り高ぶってしまうかもしれない。


 そうならないように、いつまでも謙虚に、何事にも感謝を忘れずにいたい。


 特に、今回の新たな『特性』は、レイちゃんからの贈り物のようなものだし、レイちゃん――いや、レイさんへの感謝と敬意を持ち続けなければ。 


 そんな事を考えたものの、今のところはまだ、他人と関わろうとか、世界を広げようとかは無く、小さな世界に閉じこもるつもりではある。


 いつかは町に出て、色んな人と交流したいし、色んな場所も見てみたい。


 しかし、親の目を盗んでこそこそと外に出ている現状では、町に出るとか言っている場合ではないからね。


 寝転がりながアレコレ考えたところで、結局のところ今やっていること、やれることをやるしかないんだよな。 

評価やブックマークなどしていただき、ありがとうございます!

今後も読んでいただければ嬉しい限りです。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ