表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/33

発見

 魔力による身体強化の重要性、それがわかったので、当然取り入れていくことにする。


 これで現状の俺のタスクは、素材集め、『特性』の習得、【クラフト】を使いこなせるようになる、【クラフト】ついでに魔力を使って魔力量を増やす、【魔術】で身体強化を行い魔力を強化する。


 行動そのものは特に変わることなく、身体強化の時間が加わっただけではある。


 とはいえ、身体強化の正しいやり方はわからないので、完全に自己流ではあるが、そもそも身体強化の標準的なやり方なんてものがあるのかもわからない。


 しかしそこは日本のオタク男子。作品ごとに異なるが、「気」や「念」や「チャクラ」などと呼ばれるオーラのようなものと、この世界における魔力は似たようなものであろう。


 そういう作品で描かれていた修行法を当てはめてみればいいはずだ。


 その結果たどり着いた身体強化の俺のやり方は、まず自然体を意識し全身の力を抜く。


 次に身体中に流れる魔力を意識し、全身を巡らせるようにできる限りスムーズに動かしていく。


 まずはこの状態を維持できるように慣らしていった。


 魔力の操作に慣れたところで実践に移り、特に強化したい部位に固定するイメージで魔力を注入する。


 腕力を強化したければ腕に、脚力を強化したければ脚に。


 その状態で木々の間を歩いたり、石を砕いたり、枝や草を刈ったりして、さらに身体強化に慣れさせていった。


 ちなみに、視力や聴力、心肺機能なんかも強化できている感覚はあるが、思考能力は違いを感じられなかった。


 脳の回転スピードには効果がないのか、あるけど気付かないのか、これ以上強化できないほどこの頭脳が優秀なのかはわからない。


 なので、自惚れない程度に超優秀な頭脳を有していると思っておくことにする。 



 

 そんなふうに、魔力による身体強化を取り入れてから二十日ほど経過しただろうか。

 

 身体強化のおかげか、外での行動範囲が広がった。


 体力や持久力などの筋力を魔力で補うことで、本来鍛えるべき筋力や心肺機能が育たない可能性もあるが、身体が出来上がってないうちに鍛え過ぎるのは良くないとも聞くし、そのへんは目をつぶろう。


 まあ実際のところ体は動かしているので、魔力抜きでの身体機能そのものも鍛えられてはいるんだろうけど。


 幼いうちに筋肉を鍛え過ぎることが良くないとして、魔力を鍛えるのは問題無いのか? という疑問もあるが、それも知らない知らないっと。


 さて、外での行動範囲が広がったことで、見つけたものがあった。


 飲用可能な湧き水を発見したのだ。


 この世界には当然ながら、水道なんてものは完備されていない。


 飲用水は井戸から汲み取る必要があるが、オウギ君の記憶によると井戸は、俺が住んでいるこの町の中心地に一つ、そして領主である我が家の敷地内に一つあるだけだ。


 水そのものでいうと、近くを流れる川から引いた水路があるらしい。


 いずれにしても、こそこそ行動することを是としている俺には、利用不可能なものだった。


 喉の渇きを癒そうにも、手や顔を洗おうにも、気軽に使える水なんて今までなかったのだ。


 この発見によって、俺の水不足が解消されることになる。


 しかもこの水、ただの水ではなく炭酸水なのだ。


 元の世界では、味のついていない炭酸水はあまり好きではなく、わざわざ飲むことはなかったが、そんな贅沢を言える環境ではない。


 そして、いざ飲んでみると、あっさりと口に馴染んだ。


 現状は炭酸水が採れる利点は思い浮かんでいないが、炭酸を抜くことはできそうでも、ただの水を炭酸水に変えるのは難しそうなので、おそらく炭酸水の方が有用だろう。


 スキルで水と炭酸ガスに分けられればベストだなとやってみたところ、炭酸水から水を作れても、炭酸ガスを取り出すことはできなかった。


 まあ、普通の水を用意できるだけで十分だ。


 とはいえ、せっかく炭酸水を入手したので、手持ちのクワの実やキイチゴの実を【クラフト】で濃縮し、炭酸水と合わせてジュースを作ってみた。


 コップに注いで飲みたかったが、持っていないので、インベントリ内で【クラフト】したジュースを、上を向いて開けた口の中に、指先から出し直接飲んでみる。 


 当然、日本で飲んだジュースとは比べ物にならないくらいに地味で素朴な味だが、甘味と酸味と爽やかなシュワシュワ感は、この世界で口にしたものの中で間違いなく上位のものだった。


 そんなふうにして、炭酸水を使ってジュースを作ったり、水を使っていくつか【クラフト】を試していたところ、新たな項目を【クラフト】のインベントリの中に発見した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ