第八話:未知
『人の顔は進化をしない』を投稿するため、6月まで投稿をお休みさせていただきます。
ゼノンは霞の構えをとった。
しかし、その構えに戦闘の意欲は感じられなかった。
「5224~4475121244~3385?4141~32,7124106611512441222513112.3594611155214152253563311013212(逃げてもいいですよ?ただし、魔剣は置いて行きなさい。それはあの方にこそふさわしい)」
ゼノンは暗闇の中、くるくると方向を変えながら辺りを探っていた。
「7341~44~3385,11514161101413221915224~91947134106(無駄ですよ、あなたは私から逃げられません)」
脳に響き渡る言葉が恐怖を増進させ、剣を握る手がプルプルと震えている。
「チッ」
ゼノンは構えを解いて、剣を地面に刺した。
”112191744121(諦めたか)”
黒い魔物は手を伸ばした。
しかし、目の前の剣に手が触れることはなかった。
"61?(は?)"
顔を上げると、先ほどの男がまっすぐこちらを見つめていた。
男はグリップを掴み、剣を引き抜いた。
黒い魔物はフッと消えた。
「ったく、無知なのはいけねぇや」
ゼノンは剣を正眼に構え、四角く振るった。
すると、地面が振るった通りに切り取られ、くるんと回った。
地面の中に入り、ゼノンは胸を撫で下ろした。
「はぁ」
頭に手を当てて今日のことを振り返る。
”なぜ、アポラは私を襲撃してきたんだ?”
”なぜ、魔族が群生しているんだ?”
なぜ?なぜ?と考えるうちにゼノンは眠りにつくのであった。
”魔力抵抗Ⅴ→魔力抵抗Ⅱ、衰弱Ⅴ→衰弱Ⅰ、気力減少Ⅴ→破棄、筋肉自由化Ⅴ→破棄...”
フィルは身体にエネルギーが満ち溢れていることを実感した。
「だいぶ、動きやすくなったな」
右腕を回そうとするが、感覚がない。
ふと見ると、右腕になっていた筋肉が、内側に収まっていた。
「あぁ...」
少し残念そうに肩をくすめた。
”ヴゥン”
音がなった。首を回すと、黒い跡がなくなっているのに気がつく。
瞬間、跡があった部分より上部が滑り落ちた。
「棟梁、切っちまったか!」
フィルは滑り落ちる建材をドゥオ・イナニスですべて粉微塵にした。
”もう、筋肉自由化は無いからな”
フィルはホコリを払うと、瓦礫の中に埋まった死体から、剣のさやを取ってドゥオ・イナニスをおさめた。
「さて、未練も断ち切ったし、はじめるか」
彼、マレウス・ボルティクスは大きく伸びをした。そして、口角を上げ、宣言した
「あいつを殺す旅を」
男はその様子を観察していた。
「ふぅ〜ん、なんか当初の目的とは違うけど、結果的には強くはなるか」
彼は後ろに振り返り、手を広げた。
「やぁ、君たち。卯木紫苑だよ。この物語は楽しんでいただけてるかな?」
「おい、いつまで油売ってるつもりだ。___を回収しろ」
彼はつかれた様子で、あいあいと返事をした。
「じゃ、諸君。またね!」
手を振って彼はその空間から去っていった。
”やっと、神域まで来れた”