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防人の再就職先としての先係

室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!

https://hatuyuki-ku.com/?p=707

 俺たちは、声がしたほうを見た。


 スーツの若い男は、ズカズカと入ってくる。


「時間が惜しい! すぐに話を――」

「先輩? ちゃんと説明したほうが……」


 斜め後ろにいる若い女が、提案した。


 立ち止まった若い男は、片手で後頭部をかく。


「面倒だな……。まあ、いい!」


 ゲストハウスの談話室にあるテーブルを囲む俺たちの前で立ち止まった若い男は、黒い手帳を片手でつまみ、慣れた動作で上下に開いた。


「警視庁、公安局の不知火(しらぬい)征司(せいじ)だ!」

「……同じく、百夜(ひゃくや)(あずさ)です」


 女物のスーツで長ズボンの女も、警察手帳を開いたままで提示。


 時間を与えたら、それぞれ無言でパタンと閉じて、ポケットに仕舞う。


「ま、そんなわけだ!」

「私たちも、座っていいでしょうか?」


 アンジェラ・フォン・コルナーロが、反応した。


「どうぞ、お掛けください! 紅茶と菓子の準備を」

「……はい」


 ほかの女子が数人、立ち上がった。


「こちらへ……。紅茶をご用意させていただきます。コーヒーのほうが?」


「コーヒーにしてくれ! 砂糖とクリームは、いらん」

「……私は、両方とも入れたコーヒーで」


「承知いたしました」


 刑事2人のために椅子を示してから、給湯スペースへ移動。


 ガタガタと座った男女は、俺たちを眺める。


 征司が、宣言。


「あの2人が戻ってきたら、お互いに自己紹介をしよう」


「はい」


 アンジェラが、穏やかに答えた。


 じきに、全員分の紅茶、お菓子が用意される。


 全員がテーブルについたことで、征司は咳払い。


「んんっ……。俺たちは、先係(さきがかり)だ! 防人(さきもり)だったが御刀(おかたな)との契約を切って、再就職したのさ! 言わば、お前らの先輩」


 目を丸くした神宮寺(じんぐうじ)(のぞみ)が、すっとんきょうな声を上げる。


「お二人は、東京国武(こくぶ)高校のOB、OGですか!?」


「まあな?」

「その制服も、懐かしいですね!」


 征司は気まずそうで、梓はニコニコしている。


「考えてみれば、国武を出てから5年ぐらいか! 早いもんだ――」

「先輩? 説明を済ませましょう」


 梓にカットインされて、征司が戻ってきた。


「正式には『防人係(さきもりがかり)』だが、言いにくい! だから、先係と呼んでいる……。俺たちは御刀を失ったことで弱体化したものの、常人よりは強い。だから、防人との連携や、オカルトに強いことを買われての抜擢だ」


 息を吐いた梓が、愚痴を言う。


「刑事にすることを嫌って、公安局という内局に押し込められただけですけど……」


 困惑した西園寺(さいおんじ)睦実(むつみ)が、尋ねる。


「んん? 2人とも、刑事じゃないの?」


 そちらを見た梓は、苦笑い。


「刑事と呼べるのは、刑事部か刑事課にいる警察官だけ! それ以外は、たとえ私服でいても、捜査員なの……」


 息を吐いた征司が、付け加える。


「現場に駆けつけることが多いのは機動捜査隊で、あいつらも刑事部に所属している! 市民には、どれも同じに見えるだろうよ」


 睦実は、さらに尋ねる。


「御刀がないんだよね? オカルトや同じ防人には、ボク達が戦うけど……。そっちは大丈夫?」


 座ったままで肩をすくめた征司が、答える。


「安心しろ! 国家権力だから、銃があるさ……。対防人のスペシャルだぞ? クイックドロウの初弾で、だいたい仕留められる」


「セミオートだけど、軽くて扱いやすい……。御刀を抜かれるか、オカルトが異能を発揮したら終わりだから、その前に倒すわけ! ここでは、見せないわよ? 日本警察だと、ホルスターから抜いただけで発砲とほぼ同じ扱いだから」


 梓が、最後に釘を刺した。


 一段落したことで、俺は本題に戻す。


「先輩たちに会えて、光栄です……。事件の捜査ですが、殺人なら捜査一課も担当していますよね? そちらの方は?」


 ため息をついた征司が、両手を上げた。


「刑事部の捜査一課にいる惣流(そうりゅう)は、俺たちに丸投げ! いいご身分だ……」


「惣流美夏(みか)さんは、次に犠牲者が出たら、来ると……。明花女学院(めいかじょがくいん)が嫌がったことで、敬遠している感じ」


 梓も、呆れた表情だ。


「高校生とはいえ、数人の防人が来れば、やりにくいんでしょうね?」


 苦笑したまま、梓が締めくくった。


 征司は、俺たちを見回す。


「んじゃ、捜査に入るぞ? 国武とここの代表者を決めてくれ!」


「俺です」

「基本的に、私へお願いします」


 俺とアンジェラが答えたら、征司は頷いた。


「よし! その2人は、俺と梓のSNSグループに入ってくれ! ただし、捜査情報をアップしないように」


「はい」

「分かりました……」


 それぞれのスマホを動かして、新しいグループを作った。


 紅茶やコーヒーを二杯目にしつつ、ようやく捜査本部へ……。


 征司は、リーダーらしい表情に。


「ここで発生している連続事件だが……。俺は、殺人事件だと踏んでいる」


 眉をひそめた睦実は、ツッコミを入れる。


「それは、オカルト、人為的のどちらの可能性も含めて?」


「ああ! その中心にあるのが、コトリバコ! 少なくとも、それを被害者に送った奴がいる……」


 征司の断言で、テーブルについた全員が考え込む。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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