仲良しの2人による、ガールズトーク
室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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自宅の風呂で、いきなり降ってきた少女。
俺は溺れないように彼女を抱きかかえたまま、普通にドアを開けてきた西園寺睦実を見る。
「駿矢……」
「急に、こいつが風呂の上に現れたんだ」
まったく慌てずに説明したおかげで、睦実は首をかしげた。
「んー? 確かに、ボクが家にいた……」
当たり前のように、人の家へ入るな。
心の中で、突っ込んだ。
ため息をついた睦実は、スタスタと近づいてきた。
「とりあえず、渡して? こっちで着替えさせたら、事情を聞く」
「頼む……」
俺が気絶した少女を渡したことで、睦実は落ち着いたようだ。
「ゆっくり入ってね? どうせ、こっちの着替えもあるし」
自分の両手で抱きかかえた少女を警戒しつつ、風呂場から出て行く。
予想外のトラブルで、せっかくの風呂が台無し。
しかし、丸投げするわけにもいかない。
(俺の自宅だしな?)
そう思いつつ、リビングへ戻れば――
「謹んで、氷室様にご挨拶申し上げます! わたくしは、駒乃藩の藩主である藤堂家の娘、紗良です。この度は……そ、粗相をしてしまい、お詫びのしようもございません!」
最後のほうで、あの時のシーンを思い出したらしく、顔を真っ赤にしたまま。
背中を伸ばしたままの正座から、順番に手をつけての礼。
顔面を床にこすりつけるような、最も敬意を示す形だ。
待っていると、紗良は床と一体化したまま。
その体が震えている気がする。
やがて、睦実の視線。
(早く、許してあげなよ?)
そう問われて、ようやく気付いた。
「藤堂さん? 俺は、気にしていないから……。顔を上げてください」
ゆっくりと頭を上げた紗良は、パアアッと、明るい顔に。
「あ、ありがとう存じます! しかし、わたくしは……」
悩ましい顔になった紗良に、俺と睦実は顔を見合わせる。
ピリリリ♪
「ひいっ!?」
まさに飛び上がった紗良は、キョロキョロと、周りを見た。
その反応を見ながら、俺はスマホの着信を見てから、画面にさわる。
「今は、立て込んでいるから――」
『そなたの悩みを解決して差し上げますー!』
天賀原香奈葉の声。
「自宅に盗聴器とか、仕掛けていないよな?」
『……用件を伝えるので!』
ヤバい。
こいつ、否定しなかったぞ?
『その珠姫は、本物です! 時空の乱れか何かで、ここに流れ着いたのでしょう』
いちいち疑う香奈葉にしては、妙に素直だ。
普通なら、自分が姫様と思い込んでいる異常者か、そういう設定で近づいてきた刺客かスパイと疑うのに……。
「俺は、どうすればいい?」
『珠姫が本物と偽者のどちらにしても、そなたの自宅に閉じ込めるわけにもいかないのでは?』
こいつにしては、正論だ。
昔の姫様にとって、スマホなんぞ、正気を失うエイリアンを見たのと同じ。
来訪者がいれば、育ちの良さで素直に応対するだろう。
偽者なら、どういう仕掛けをされるか、分かったものじゃない。
(見慣れぬ女子を自宅に閉じ込めていると近所の奴らに噂されたら、通報されかねない)
世間知らずの姫様 VS 国家権力
俺を除いた後で、勝手に戦え!
『東京国武高校に編入させるから、睦実と珠姫に付き添って欲しいので!』
何だかんだで、西園寺睦実と仲がいいな?
お前の代理人として、他に適任がいないことも大きいだろうが。
「了解……。どっちにせよ、人の目は多いほうがいいか!」
『彼女の面倒を見るために、カードを使っていいです……。このまま、睦実に代わって欲しいのでー!』
スマホを片耳から離して、睦実に差し出した。
(ん? 盗聴していたとしても、なぜ珠姫と……)
あれでも、長い歴史がある名家のお嬢様だ。
名前から、すぐに結びつけたのだろう。
◇
西園寺睦実は、氷室駿矢からスマホを受け取った。
通話中の表示を見た後で、片耳へ。
「どうするの?」
『国武で、そなたと同じクラスに編入させます。監視と世話を……』
正座をしたままの藤堂紗良をチラ見した後で、答える。
「ハイハイ……。注意することは?」
『紗良は、昔にいた珠姫です! 間違いありません』
天賀原香奈葉は、聞いている者が寒気を感じるほどに断言。
睦実が、すぐに突っ込む。
「斬首のうえ、無縁仏でしょ? 冗談にしても、笑えないけど?」
紗良が、ビクッとした気配。
いっぽう、香奈葉が問いかける。
『わたくしの発言を信じられませんか?』
「……真偽は、どうでもいいよ! 放り出すわけにもいかないから、引き受けるけど。費用と報酬は?」
スマホで、フフフと笑う声。
『だから、そなたを手放せない! 前に預けたカードを使いなさい。報酬は改めて……。そうそう! ないとは思いますが、駿矢が珠姫に欲情して止まらない場合は、そなたが代わりに相手をしなさい! わたくしが許します』
あまりの発言に、睦実は息を呑んだ。
「そういう言い方、あまり好きじゃないんだけど?」
『……駿矢に、「珠姫とヤリたくて我慢できなくなったら、睦実の穴を使いなさい」と言えば、良かったので?』
剣呑な雰囲気になった睦実が、言い返す。
「それ言ったら、お前の大事なところに御神刀を奥まで突き刺すからね?」
『……むろん、言わないので! 珠姫を頼みます』
まったく動じない香奈葉は、別れを告げた。
ツーツーと、電話が切れた音。
「人に頼む態度じゃないね……。もう、終わったから!」
呆れたように呟いた睦実は、スマホを返しつつ、首を横に振った。
過去作は、こちらです!
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