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大会で勝ち上がる、女子の告白現場を覗く、両方をやるしかない

室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!

https://hatuyuki-ku.com/?p=707

(さて、どうしたものか?)


 綾千侍(あやせんじ)(さき)と、少女のような人形、封賀秋灯(ふうがしゅうとう)の2人と向き合ったまま、考える。


 勝てるか? と言われれば、勝てる。


 ただし、この東京でどれだけ被害が出るのか、不明だ。


 天賀原(あまがはら)香奈葉(かなは)が指摘した奥の手を使えば――


(少なくとも、市の1つは消え失せるだろう)


 時間はない。


 和装のまま、両手で構えた切っ先を下げる。


 夜の都市部にある雑居ビルの屋上。

 欲望を具現化したような明かりに照らされつつ、結論を出す。


「猶予を与える! 次に会ったら、殺す」


 咲は、身構えたままで、フッと笑う。


「助かるわ!」


 それでも、俺を見据えている。


 構わずに、右手で刀を下げたまま、床を蹴った。


 瞬間的に視界が変わり、空中や屋上、床を蹴りつつの高速移動へ。


(あいつとは、斬り合うことになるだろう……)


 不思議と、そんな予感がした。


 翌日の朝には、警察に大きな被害が出たことが、ラブホの画像を背景にニュース。


 モザイクがかけられているものの、すぐに特定できるレベルだ。


 香奈葉に調査を依頼しつつ、俺は全国防人剣術大会に備える。



 ◇



 刀剣解放ありの部門で、俺は試合に出た。


 初めての東京開催ゆえ、広い会場を押さえつつ、急いで結界を張っての手探り。


 東京国武(こくぶ)高校は、地元とあって優勝候補。

 元々、選手層が厚く、スポンサーが多いことから練習経験も豊富。


 俺たちが割り込み、へまをした剣術部が出場枠を減らされた。


 けれど、名家の女子がランクSSSの荒神になったうえ、東京が滅びるかもしれない。


 学校の名誉もかかっており、さすがに絡んでこない。


『国武1年、氷室(ひむろ)くん!』


 広い会場に響き渡ったアナウンスで、和装の俺は立ち上がった。


 付き添っている西園寺(さいおんじ)睦実(むつみ)神宮寺(じんぐうじ)(のぞみ)が応援する。


「頑張れ、駿矢(しゅんや)!」

「ご武運を……」


「ああ……」


 お前らも、自分の試合があるだろ? という言葉を呑み込んだ。


 ワァアアアッ! という声援が高まり、主に対戦相手の名前を呼ぶ。


(嫌われたもんだねー! まあ、女子2人を侍らせて、香奈葉が婚約者だしな?)


 おまけに、御神刀を持っていると……。


 左腰のある平凪(ひらなぎ)の鞘に手を添えつつ、剣道の試合でよく見かけるマークを目指した。


 正面で向き合いつつ、アナウンスによる指示で抜刀。


 お互いに正眼の構えだが――


「プッ! 本当に脇差かよ!? 今のうちに降参したほうがいいんじゃねえか? ハーレム君?」


「お前にかけている時間はない」


 短い刀身で、両手による構え。


 ビ――ッ!


『始めっ!』


「つぁああああっ!」


 大上段に構えた奴が、そのまま踏み込んできた。


 右手だけで平凪を握り直しつつ、前へ踏み込みつつの半身。


 進路を譲るような構図で、相手の刀が下へ振り抜かれた。


 一連の動きのまま、踊るように右手でなぞって斬る。


「ぐあっ!? このっ!」


 浅く斬られた奴は、激高しながら横へ薙いだ。


 その時に、俺は相手を見たままで下がっている。


 顔を真っ赤にした奴が、いよいよ刀剣解放。


「舐めるなよ? 月まで届け、遠槍(とおやり)!」


 刀から長い槍へ変化するも、刀身を伸ばした俺の突きが正面から突き刺さった。


 両手持ちで弾かれにくく、刃を上にしている。


 ご自慢の槍を両手で持っている奴は、穂先を横にしたまま。


「あっ……」


 痛みよりも、驚きのほうが勝っているようだ。


 魚を捌くように、俺は両手で握っている柄を背負うように上へ振り抜く。


 胸から頭に至るまで縦に切り裂かれた奴は、言葉もなく倒れ伏す。


 ガランガランと、遠槍が落ちた音。


 ビ――ッ!


『それまで! 氷室選手の勝利!』


 バシュッと、結界の中がリセットされた。


 俺は元の刀身に縮め、鞘に納める。


 開始位置に戻って、礼。


 相手の顔を見ずに、背中を向けた。



 五感を奪ってくるスキル。


 炎や氷で攻撃してくる選手。


 それらを倒しつつ、いよいよ決勝リーグへ。


 ここからは、総当たりだ。


 さすがに、刀身が伸びるだけではキツくなってきた。


(最低限のノルマは、こなしたけどな?)


 香奈葉の母親、天賀原千春(ちはる)にペナルティを食らうことはない。


(国武は、新人部門とはいえ3位以内が欲しいか……)


 ところが、好事魔多し。


 裏で進行していた、綾千侍咲が男と会う日時が決まったのだ。


 俺は、そちらへ顔を出さなければならない。


 生徒会長の伊花(いばな)鈴音(すずね)に言って、その現場へ向かう。


 低空をハイスピードで走れば、警察と軍の特殊部隊が取り囲んでいた。


 外周には一般の部隊が配置されて、警察のパトカーも目立つ。


(警察と軍が一緒にいると、違和感がすごいな?)


 裏で、どんな話し合いになっているんだか。


 ともあれ、メインイベントになった咲の話し合いへ。


 和装のまま、空いているスペースへ突っ込んだ。


 殺気と視線が向けられるも、困惑した様子。


 あまりに混在しているため、明らかに敵でなければ撃てないようだ。


(今は……だな?)


 混戦になれば、自分たち以外を撃つに違いない。


 状況を整理している中で、開けた部分にスーツを着た男が1人、やってきた。


 ドラマは、今から撮影開始のようだ。


 どういうジャンルかは、知らんけど……。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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