据え膳食わぬは男子の恥
原作の澪ルート。
それは、日本が滅びる道だった。
繰り返される悲劇に対して、それぞれが動くが……。
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飛び降りが発生した私立高校で捜査する、東京国武高校の剣術部。
リーダーになった男子が、檄を飛ばす。
「うし! 氷室にでかい面をさせないよう、キッチリと片づけるぞ!」
今の彼らは、私立高校の制服だ。
カバーストーリーに基づき、短期の受入れという形。
元凶と見られた水鏡十太は、罪の意識を感じてか、全面的に協力している。
入院していた駿河沢三花は、精密検査のあとで退院した。
どうやら、彼氏の十太が気になって仕方ないようだ……。
三花は自分が悪かっただけと頭を下げて回り、裏で袋叩き寸前だった十太はかろうじて命拾い。
学校のアイドルである彼女を嫌いだった女子すら、さすがに同情した。
いっぽう、男子は怒り心頭。
女子は、内心で気に食わなくてもフラットに接するが。
男子のほうは、イジメどころか、半殺しの勢いだ。
これ以上、駿河沢さんに負担をかけないで。
彼氏を追い詰めるようなら、こっちにも考えがあるから!
女子の総意はそうなっていて、男子の過激派も動けない状態。
中立寄りの男子も、巻き込まれるのが嫌で、十太から距離をとっている。
無視されないしイジメもないが、集団の中で孤立。
腫れ物に触る、という表現がぴったりだ。
十太は、自分を囲んでいる剣術部に協力するしかない。
その功績で学校に見逃してもらい、なおかつ、三花の実家の力でやったことを隠しつつの転校だけが助かる道。
冷静に分析したら、クズという表現すら生温いが……。
ともあれ、事件を解決しなければならない。
「えっと……。俺が駿河沢にかけたのは、魔術書にのっていた儀式で――」
十太の説明によれば、洋書を扱っている古本屋で安く買った。
遊び半分で、この私立高校のアイドルである駿河沢三花にやってみたら、据え膳で自宅にやってきたそうな……。
そのまま、恋人同士に。
剣術部の男子が、質問する。
「その魔術書は、同じ学校の生徒である星芽里維に渡したと?」
「は、はい……。海外のイタリーに住んでいたらしく……。その、魔術に興味があったようで」
歯切れが悪く、彼女に誘惑されたのだと思われる。
けれど、これは生徒指導ではない。
「ハイハイ……。そいつを調べてみるよ! お前は、せいぜい誰かに刺されないように気をつけな」
――半月後
潜入捜査をしている剣術部は、星芽里維を中心にした黒魔術のサークルを突き止めた。
水鏡十太の幼馴染で同じ私立高校に通っている粟島有加も、その一員だとか。
びっくりした十太は、パニックになりつつ、突入に立ち会うと言ってきた。
彼が言うには、生贄を捧げることでの悪魔召喚もあったようだ。
剣術部のリーダーが、指摘する。
「ってことは……。急いだほうがいいな?」
今は使われていない、外にある倉庫の1つ。
地下にある部屋で、横たわったまま手足を縛られた有加に、独特なナイフが突き立てられる寸前だった。
黒ローブを羽織った女子グループが怪しい呪文を詠唱する中で、御刀を抜いた剣術部により、瞬く間に制圧される。
主犯と目された星芽里維も倒され、有加は解放された。
しかし――
「あぐっ!?」
有加が、独特なナイフで芽里維を刺していた。
ノーマークにしていた剣術部は、慌てて有加を押さえ込む。
倒れた芽里維は、信じられないという表情のまま、見る見るうちに出血していく。
何かを訴えるように、立っている有加を抱きしめている十太を見た。
彼が見つめ返したことで、涙を流しつつ、首を横に振る。
「ちが……」
助けを求めるように片手を上げるも、途中で力尽きた。
◇
「ご苦労さま……。報告書をよろしくね?」
東京国武高校の生徒会室で、そこの主である伊花鈴音が締めくくった。
得意げに出ていく、剣術部の面々。
しかし、扉が閉められた後にも、鈴音は悩んだままだ。
近くに控えていた、1年の神宮寺希に尋ねる。
「希ちゃん? あなたは、どう思う?」
同じく難しい顔の希は、根拠はありませんが、と前置きしつつの返答。
「あっけなさすぎます……。特に、主犯の星芽里維が……」
「ええ! まさに、そこよ! 本当に効果がある魔術が記載された魔術書なら、いくらでも防御方法はあっただろうし。意識をそらすことも、簡単よ? 何しろ、全く面識のない男子をいきなり最愛の人にするのだから」
希は、最悪のシナリオを考える。
「もしかして……。星芽里維は、わざと自分を殺させたのでは?」
「何のために?」
生徒会長の問いかけに、希はためらった後で答える。
「粟島有加がいきなり刺し殺すのは、不自然です。即座にしなければいけない理由と言えば……」
「……まさか! 精神を交換した後で、口封じしたの!?」
「可能性に過ぎませんけど」
その推理が当たっていたら、まったく疑われていない魔術師が野放しだ。
希は、改めて確認する。
「どうしますか?」
内線の受話器をとった鈴音は、最後の手段をとる。
「氷室くん達には、もう頼めないわ! だから、最後の1人に相談する」
言いながら、相手が出たことで余所行きの声へ。
「お世話になっております。私、東京国武高校の生徒会長である――」
過去作は、こちらです!
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