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弾丸より速く動ける高校生たちの切っ先~荒神と人のどちらが怖いのか?~  作者: 初雪空
第三章 刀剣解放をできればカースト上位!?
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思いを捻じ曲げられた女子高生の飛び降り

原作の澪ルート。

それは、日本が滅びる道だった。

 

繰り返される悲劇に対して、それぞれが動くが……。

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 正午が迫ってきた私立高校の屋上で、いかにもお嬢様な女子がショックを受けていた。


「もう会わないって……。どうして?」


 上が曲げられているフェンスを通してグラウンドを見ながら、1人の男子が気まずそうに尋ねる。


駿河沢(するがざわ)……。お前は、おかしいと思わないのか?」


 金髪ロングで碧眼の駿河沢三花(みか)は、両手を体の前で近づけたまま、困惑したように問い返す。


「な、何を?」


「お前は……俺なんかを相手にする女子じゃない! うちで人気ナンバーワンだし、豪邸に住んでいる重役の娘……。本来なら、学校で挨拶することもできないはずだ」


 慌てた三花が、アピールする。


水鏡(すいきょう)くん、どうしちゃったの? わ、私に直せることなら――」

「駿河沢……。お前の気持ちは、本当じゃない! 俺のことを好きじゃないんだよ」


 水鏡十太(じゅうた)の叫びに、両手を口に当てた三花は震え出す。


「ひどい……。ひどいよぉ……」


 ついに泣き出した、三花。


 しばらく黙っていた十太は、そちらを見ないままで話し続ける。


「お前には、本当に悪かったと思っている……。だけど、俺はあの魔術で――」

 

 説明しながら、ようやく三花のほうを見た。


「俺も怖くなってきたんだ。別れよう! まさか、本当に実現するとは……」


 視線の先に、彼女はいなかった。


 思考停止に陥った十太が、慌てて視線を走らせたら――


 フェンスを乗り越えた三花が、身を投げたところだった。


「あ……」


 じきに重い音が鳴り響き、それを目撃した女子の悲鳴がとどろく。



 ◇



 着信を示すBGM。


 スマホの画面を触って、耳元へ。


「はい、氷室(ひむろ)です。本日の営業は終了しました」

『……怒っているかしら?』


 生徒会長の伊花(いばな)鈴音(すずね)が、おずおずと尋ねてきた。


「いえ、怒っていませんよ? 今ちょうど、中学校で指導している最中で、また面倒事になりそうだなあと思っているだけで」

『ごめんなさい! でも、ちょっと扱いに困っているのよ』


 ため息をついた後で、確認する。


「で、何が出ました?」

『……暫定だけど、ランクSSSよ』


 鈴音をいじるのを止めて、真面目に聞く。


「状況を」

『私立高校で女子1人が飛び降り……。一命は取り留めたけど、自殺だから入院のまま』


 付き合っている男子に振られたことが原因で、痴情のもつれのようだ。


「警察の仕事では?」

『その男子が「魔術で惚れさせた」と自供したことが、問題なの!』


「女子のほうは?」

『魔術については、完全に否定しているわ! 無理もないけど』


「魔術ねえ……。下手をすると、悪魔……」

『ええ! それも、どこまで大物が出るやら』


 御神刀を持っている俺たちに、現場へ行って欲しい。


 そう告げた生徒会長は、一方的に電話を切った。


 こちらを見ている西園寺(さいおんじ)睦実(むつみ)に告げる。


「悪魔退治だとさ!」



 ◇



 私立高校に到着して、飛び降りの原因になった水鏡十太との面談。


 俺たちが入ったら、今にも自殺しそうな面だ。


(魔術と無関係だとしても、こいつはもう通えないだろうなあ……)


 そう思いつつ、テーブルをはさんだ席に着こうと――


 ガチャッ


 ずかずかと入ってきたのは、同じ東京国武(こくぶ)高校の制服だ。


 ニヤニヤしている男子グループに、見覚えが?


「剣術部の奴らだよ」


 西園寺睦実が、端的に告げた。


 それを皮切りに、男子の1人が説明する。


「早く帰れ! お前らの出る幕はねえ!」


 再び、スマホに着信。


 注目されながら、出た。


『えー、大変申し訳ございませんが……』

「今から生徒会長を退治すれば、いいんですか?」


 声だけでも、ビクッとしたのが分かった。


『事後報告で動かれたの……。そっちの高校へ押しかけた以上、揉めるのはマズいし』

「どうしろと?」


『剣術部に任せて! えっと……。氷室くんから見て、どうかし――』

 ブツッ


 アホらしいから、電話を切った。


「睦実ちゃーん! 戻るよ」



 中学校へ戻ったら、まだ稽古をつけていた。


 いったん中断した神宮寺(じんぐうじ)(のぞみ)が、歩み寄る。


「会長が失礼いたしました。代わって、お詫び申し上げます……」


 上品にお辞儀。


「神宮寺が謝ることじゃない」

「私も、生徒会の一員です。そのうち、埋め合わせをさせていただきますね?」


 睦実に、怒りのオーラ。


 急いで、話題を変える。


「剣術部の奴らは、何を考えているんだ?」


 指をあごに当てた希は、やがて答える。


「氷室くん達が天女伝説の村で事件を解決したから、同等以上のヤマで成果を出したかったのでは? 私の推測ですけど」


 呆れたように、息を吐いた。


 それでも、優雅な雰囲気。


「俺に喧嘩を売れば、自主練で返り討ちの再現だからな……」


 ふと気づいたように、希が付け加える。


「全国防人剣術大会であなたを出場させないよう、箔をつける意味もあるのでしょう。人の命がかかっている事件を利用するのは、愚かだと思いますが」


「ああ、剣術部でレギュラーを埋めたいのか……」


 くだらない理由と知って、俺は一気に疲れを感じた。


 中学生たちへの指導は順調で、特に問題はないようだ。


「魔術のほうは、奴らに任せるか……」


 それっきり、忘れた。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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