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因習村の子供たち

秘密の女子校で、1週間の滞在。

けれど、そこには世界を滅ぼす存在の召喚儀式があって……。


「異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件」の3巻目は、誰もが疑わしい!?

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「やっぱり、水島みずしまくん? どうして!?」


 高荒たかあらまどかは、覆面の男を同じ風鳴かざなり学院にいる水島空太と見なした。

 彼は、流水系のスキルだ。


 けれど、相良さがら音々《ねね》は、まどかを背にしたままで叫ぶ。


「抜刀して! たぶん、こいつ1人じゃない!!」

「は、はいっ!」


 狐の大きな尻尾に見惚れていた「まどか」は、慌てて左手を腰の側面に当てた。

 開いた右手を近づけ、見えない刀を抜く。


 両手で実体化したつかを握りつつ、切っ先を下ろした構えに。


 その間にも、覆面男と正面から斬り合う、ケモ耳の音々に叫ぶ。


「わ、私の刀剣解放は、ソーナーです! 今、周囲を探りますから!!」


 まどかの持っている刀身が、音叉のようにキィイインンと共鳴していく。


 言った通り、アクティブソーナーの要領で、周りの空間が立体的に――


「か、囲まれています! 防人さきもりが……他に4人!!」


 甲高い音を立てて、ひたすらに切り結んでいた音々が、バックステップ。


 地面に触れた両足で後ろへ滑りつつ、まどかの傍へ。


「背中を!」

「はいっ!」


 音々とまどかは、背中を取られないために、くっついたままで構え直す。


 彼女の警告を証明するかのように、大きく飛んだ男が4人。

 ダンッと着地する。


 覆面男とは違い、どいつも鮮やかな着物だ。

 こちらは、和風の仮面をかぶったまま。


 全員が刀を持っており、防人だと分かった。


 くぐもった声で、喋る。


『今回は、当たりか……』

『殺すなよ?』


 そのうちの1人が、スッと刀を下ろした。


御刀おかたなを捨てろ! 天女たるお母様に連なる栄誉を受け入れ、その羽衣を脱ぎ、つばを示すがいい』


 頭の上のキツネ耳2つを動かしている音々は、刀を正眼にしたままで言い返す。


「そのへんの壁の穴に、突っ込んでろ!」


 何かの能力を発動させる気配に、覆面男を含む5人が刀を握り直す。


 音々の周りで、提灯のような火が増えていき――


「最初に防人の女を犠牲にしてから……。とんだ因習いんしゅうになっていたものだね?」


 まだ暗い空に、別の女子の声が響いた。


 全員が見上げれば、夜に溶け込む和装をした女子が、右手に小太刀を下げたままで立っている。


 何もない、空中に……。


 西園寺さいおんじ睦実むつみだ。


 初めて焦った男のリーダー格が、叫ぶ。


「き、貴様、何者だ!?」


「もちろん、ただの女子高生だよ?」


 可愛らしい童顔だが、空から見下ろしていることも相まって、怖い。


 無意識に後ずさる、地上の男たち。


 いっぽう、睦実は淡々と話し続ける。


「この村は……水龍を倒してくれた防人の女を引き留めた。力づくでね? 水源という記述から、呪われていたか、そもそも水に悩まされていた場所……。その女が持っていた御刀が欲しかったんだろう。でも、女は孕まされて産もうが、村の一員になることを拒んだ」


 ――最終的に、子供が同じ力を継承していることで、女を殺した


「逃げようとして殺されたのか、高齢になって世話をするのが面倒になったのか……。いずれにせよ、あの沼に沈められたのは事実だろうね?」


 怒り狂った覆面男が、初めて叫ぶ。


「黙れ! 我らの始祖たるお母様は、その身を犠牲にして村を救ったのだ!!」


 声を聴いた女子3人は、その正体を悟った。


「水島君じゃない……」

「どうして?」


 上空に立つ睦実は、冷たい目を向ける。


「いい加減に、その覆面を外しなよ? 田村たむら東助とうすけ……」


 切っ先を向けられ、観念した男が片手で覆面をはぎとり、捨てた。


 現れたのは、彼女たちがよく知る顔だ。

 けれど、別人と思えるほどに歪み、憤怒に満ちている。


 それを見た男たちも、和風の仮面を投げ捨てた。

 地面に当たり、カランと乾いた音。


 もはや、正体を隠す意味がない、と判断したようだ。

 視界を広くしたほうが、圧倒的に戦いやすい。


 睦実は、殺気とは違う欲望をたぎらせた男たちを見下ろす。


「風鳴の女子3人にも、相手にされなかったでしょ? 今は、昔と違う……」


 本性を現した東助は、忌々しそうに答える。


「あいつらは……。自分が選ばれた名誉を理解していなかった!」


 釣られて、他の男たちも言い捨てる。


「俺が相手にした女は、目を離した隙に自分で首を切りやがった!」

「確実に孕むよう全員でやった女も、狂ったしな……」


 キツネのコスプレをしているような音々は、まったく悪いと思っていない様子の男たちに怯えつつ、絶叫する。


「あ、あなた達! それでも、人間なの!?」


 男たちは平然としたまま、音々を見た。


「天女の末裔である俺たちに相手をされるのは、自慢できることだ」

「数十年にわたり、新たな天女がいないまま」

「このままでは、村に災いが起きる」

「誰にも、邪魔はさせない」


 音々の上から、睦実の声が響く。


「ムダだよ、相良先輩! こいつらの《《信仰》》だ……。理屈じゃない」


 夜空の睦実は、首謀者と思われる田村東助を見据えた。


「田村さん? 同じ防人として、ボクから提案しよう」


「……何だね? 君が1人で相手をするのは却下だ。警察に駆け込まれては困る」


 目を細めた睦実は、端的に言う。


「西園寺睦実の名において、命じる」


 ――自害しろ


 ――お前たち、全員

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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