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見方を変えれば、正妻と公認の愛人では?

秘密の女子校で、1週間の滞在。

けれど、そこには世界を滅ぼす存在の召喚儀式があって……。


「異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件」の3巻目は、誰もが疑わしい!?

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 相良さがら音々《ねね》は、スマホを耳に当てたまま、答える。


「2人で、こっちに戻るのね? じゃ、それまでは私たちで対応するから」


 スマホの画面を触って、ふうっと息を吐いた。


 ロッジ竜宮りゅうぐうの3人部屋で、西園寺さいおんじ睦実むつみに話しかける。


「睦実ちゃん? 氷室ひむろくん、風鳴かざなり学院の久世くぜさんと一緒に、こっちへ戻るって! 明日の昼ぐらいだと思う」


「うん……。ボクにも聞こえた」


 気だるげに、自分のベッドから起き上がる睦実。


 東京国武(こくぶ)高等学校の部屋は、氷室駿矢(しゅんや)がいない分だけ広く感じる。


 彼の寝床だったソファーに座っている音々は、睦実のほうを向いたままで独白する。


「殺されたダイバーの第一発見者で、周りに人もいない。凶器も刀……。その状況なら、警察は大喜びで犯人にするでしょう。よく、久世さんを引き取れたわね?」


 他に怪しい人間がいないか、捕まえられなければ、ひとまず犯人にしておく役だ。

 次の犠牲者が出なければ、状況証拠としてもバッチリ!


 ダルそうな睦実が、長い付き合いとして推理。


「考えなしに警察署へ突っ込んだ駿矢が、『お前も留置所にぶち込まれたくなければ、早く帰れ!』と脅されている時に、あの女が突撃したんでしょ」


 実際、その通りだった。


 妙に具体的な説明に、音々が質問する。


「あの女?」


「駿矢の許嫁いいなずけになった、天賀原あまがはら香奈葉かなはだよ」

「え? 氷室くん、許嫁がいるんだ!? っていうか、天賀原家! それで、まだ諦めないの!?」


 水を得た魚のように、音々はイキイキ。


 女子高生の大好物である、恋バナの時間だ!


「ボクも、御神刀を持っているからね……。香奈葉は天賀原家で忙しいと言うか、体面があるから。向こうにしてみれば、『駿矢が落ち着くまで任せる』の良いところ取りだと思う。他の女子が知らない間に寄ってくるより、一応は同格のボクに任せたほうがコスパもタイパもいいし」


「ふ、ふーん?」


 いきなり政治のような話で、肩透かしの音々。


 そこで、気づく。


「ん? 天賀原さんも、御神刀を持っているの!?」


「そうだよ? 香奈葉は滅ぼすことに特化しているから、駿矢が突撃した警察署が灰になっていないと――」

 ピロン♪


 スマホを持った睦実は、指を滑らせていく。


 視線も、スライドしていく表示を追う。


「警察署の正面玄関と取調室のドアぐらいで、済ませたんだ? 今回は、ずいぶんと大人しかったね? 署長の物分かりが良かったか」


 思わぬ形で、真相が分かった。


 音々は、面白い声を上げる。


「ひえっ!?」


 それに構わず、睦実が説明する。


「ボクと香奈葉は、SNSでグループを作っているんだよ……。2人だけのクローズのね? 実質、こういう連絡のため」


 ため息をついた睦実は、ベッドから降りた。


 固まったままの音々に、忠告する。


「言っておくけど! 駿矢の幼馴染で、香奈葉と腐れ縁のボクだから許されている部分が大きいから……。相良先輩が悪く言えば、命や社会的な立場の保証をしないよ? あいつら、どこで聞いているか分からないし」


「う、うん……。覚えておく……」


 言いながら準備した睦実は、ぼやく。


「香奈葉も香奈葉で、本音を言える友人がいないらしくてさ? ボクに愚痴を言うのは、やめて欲しいんだけど」


 それを聞いた音々は、心の中で思う。


(見方を変えれば、正妻と公認の愛人では?)


 しかし、茶化せば命にかかわると脅されていたことで、口にせず。


 睦実は、真剣な表情に。


「風鳴の生徒と話さない? あっちは混乱していると思う」


 ソファーから立ち上がった音々が、頷く。


「そうだね! 早く、知らせてあげよう!」



 ◇



 ロッジ竜宮の外で、風鳴学院の女子と会った。


 相良音々は、疑問に思う。


「あれ? もう1人の男子は?」


「……かじくんは、帰りました」


 聞けば、久世果歩(かほ)が連行されたことで、耐えられなくなったそうだ。


 片腕を押さえた女子は、「高荒たかあらまどか」と名乗った。

 高校2年。


 人魚がいるはずの沼を眺めつつ、本音を吐き出す。


「気持ちは分かりますけどね!? 私も、久世先輩を待つ義務感がなければ、今すぐ逃げたいですよ!」


 気まずい顔で、音々が告げる。


「こっちに入った情報だけど――」


 その久世果歩が、うちの氷室駿矢と一緒に戻ってくる。


 聞いた「まどか」は、脱力した。


「そうですか……。良かった」


 勘違いしないよう、西園寺睦実が付け加える。


「このままでは、被疑者として検挙されるよ? そこは注意して」

「……はい」


 気を遣った音々が、提案する。


「女子1人は危険だよ? 私たちの部屋に来る? 氷室くんは、そっちの男子がいた部屋に移ってもらう形で」


 少し悩んだ「まどか」は、首を横に振った。


「お気持ちだけで……。明日の昼すぎには、久世先輩が戻ってきますから」


 最初よりは、元気そうだ。


 そう思った睦実は、沼の周りを見た。


(ずいぶん、サッパリしたね?)


 彼女の視線を追ったのか、「まどか」が教える。


「水中洞窟のダイバーについては、レスキューと警察が救助をやめました。表向きの理由は、『経過した時間から生存している可能性が低い』ですけど」


防人さきもりがぶっ殺しているとなれば、怖くていられないんでしょ? ゆっくりできると思えば、どうでもいいよ! こっちは、金払っているんだし」


 超常的なパワーと武器を持つ、防人。

 彼らに対抗できるのは、同じ防人だけ。


 機材を積み込んでいた警官、レスキューの一部が、非難がましい視線を送ってきた。


 けれど、睦実は気にせず。


 撤収命令が出ているようで、救助に来た連中は車で帰っていく。


「警察もか……。どっちみち、久世先輩を犯人にするシナリオってことだ!」


 睦実の独白に、「まどか」は息を吐いた。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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