ここを殺人事件の現場とする!
秘密の女子校で、1週間の滞在。
けれど、そこには世界を滅ぼす存在の召喚儀式があって……。
「異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件」の3巻目は、誰もが疑わしい!?
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早足で歩けば、追いついた相良音々が怒る。
「ねえ!? 2人だけで訳知り顔するの、本当にやめてよ!」
仕方なく、渓谷のダイビングスポットへ向かいつつ、説明する。
「この柳ヶ淵村の天女伝説、ロッジの傍にある石碑を見ました?」
「あ、うん……。最後は人魚になったやつ?」
「ええ! あれ、昔にここを訪れた防人の女が村に捕らえられ、孕まされたあげくに殺されたって話です。死体はたぶん、ロッジにある沼の底」
「はぁあああっ!?」
相変わらず、うるさい先輩だ。
「今、俺たちは危険なエリアにいます! いちいち騒ぐのなら、もう喋りません」
「……ご、ごめん! 続けて?」
「防人の風鳴学院を除いて……。村が全て敵! 以上」
反射的に叫ぼうとした音々は、ハッと気づき、両手で口を押さえた。
(この任務に、一番向いていない人が来たな……)
呆れつつ、立ち止まる。
釣られて、女子2人も。
「1つずつ、説明しますね?」
コクコクと頷く、音々。
それを見ながら、解説する。
「村で言っていた『御供さん』は、人身御供のことです。『昔の防人の女が湖に住み着いた水龍を倒した』というくだりは、たぶん本当」
しかし、それだけで終わらない。
「立ち去ろうとした女は、理由は不明ですが、村に住み着いた」
「村としては、水源をどうにかするため、だろうね?」
西園寺睦実が突っ込んだ。
首肯しつつ、現代の説明へ戻る。
「同じ防人なのに、俺を無視して……。というより、後回し! 対して、先輩と睦実には異常なまでの歓迎ぶりだった。その理由は、初代の天女と同じ目に遭わせるから。つまり、お供えだったわけです」
ポカンと口を開けた、音々。
我に返って、反論する。
「で、でも! 今は昔とは違うよ!? そんな馬鹿なこと――」
「先輩? この村を見て、どう思った?」
睦実の指摘に、音々は黙り込んだ。
「昔みたいと思ったよね? そういうことだよ」
「でも! よ、呼び方だけで、大げさな……」
睦実は、音々に向き直った。
「相良先輩……。そのセリフ、風鳴の人に言える? 地元でずっと事件解決を目指していて、女子3人が行方不明なんだよ?」
頭を殴られたような感じの音々は、ショックを受けたまま。
片手を頭に添えたまま、ボソリと呟く。
「じゃあ、行方が分からない水島って男子も? 警察を呼んだほうが……」
「残念ですが、この村に関わりたくない方針だそうで! 隣の佐木霜村の駐在が言っていたよ。だから、風鳴の被害も、泣き寝入りだとさ」
小さく震え出した音々は、思わず言う。
「う、嘘でしょ!? 現代の日本で、そんなことが……」
パニックになりかけた彼女のため、要点を言う。
「県警を動かしたければ、死体が必須」
「すぐ見つかる場所とは思えないけど! 原型を留めていないだろうし」
睦実が、あっさりと切り捨てた。
落ち込んだ音々に、俺たちの覚悟を告げる。
「いいですか? 俺と睦実は、必要があれば、この村を消します」
音々は、反論せず。
凄みのある笑顔で、睦実も念押し。
「ボクと駿矢は、いざとなれば地形ごと潰すから! 先輩は巻き込まれないよう、隣村まで逃げてください。御神刀を完全解放した後は、そちらを気にする余裕がないから」
「……分かった」
音々は、しょんぼり。
睦実が、指摘する。
「先輩が『説明しろ』と言ったから」
「それね? ごめん! 私、ちょっと怖い……。怖いよお……」
耐えきれなくなったようで、目を閉じたまま、深呼吸する音々。
やがて、パンパンと自分の頬を叩いた。
「よしっ! 君たちは犯人も目星がついていそうだけど、これ以上は教えないで! 私、ぜったいに警戒しちゃうから……。今後も、氷室くんがリーダー」
「了解……。先輩には、全てが終わり、国武へ帰ってから」
「うん! そうして」
緊張したまま、3人で歩きだす。
やがて、見覚えのあるワンボックス2台。
メガネをかけた男子が、機材が置かれた場所でチェアに座っている。
「やあ! こんな場所まで、どうしたの?」
彼と話していた睦実が、答える。
「やっほー! 暇だから、ホラースポットの見学だよ」
首をかしげた男子は、すぐに思いつく。
「ああ、銀山で働いていた鉱夫と遊女を始末したって……。僕は、同じサークルの人がピンチになった場合の備えだよ」
「よく、こんな狭くて暗い場所に潜るね?」
「そう言われたら、終わりだけどさ……。やっぱり、ロマンがあるんだよ」
明るい雰囲気に、音々も加わる。
「どうやって、潜るんですか?」
「普通のスキューバダイビングの装備と、ライト……。それに、入口へ戻ってこられるように、水中のロープであるガイドラインを辿っていくか、繋ぐのさ!」
俺たちが聞き入っていることで、勢いがついたのか、平べったい無線機を見せる。
さらに、小さな装置も。
「これ、何だと思う? 水中通話だ! ダイバーは頭にこの装置をつけて、骨振動による通話さ! 従来の水中ヘルメットなしで使える。僕が見せた無線機からケーブルを伸ばして、こちらとも通話可能――」
『き、聞こえるか、平沢!?』
鬼気迫った声が、いきなり飛び込んできた。
『みんな、殺された……。ちくしょう! ボボボ……。俺は何とか脱出でき……ザザザ ブクブクブク』
「おい! どうした!?」
『くそっ……。離せ、この……』
過去作は、こちらです!
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