全身黒タイツ!? こんな夜更けに、妙だな……
秘密の女子校で、1週間の滞在。
けれど、そこには世界を滅ぼす存在の召喚儀式があって……。
「異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件」の3巻目は、誰もが疑わしい!?
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風鳴学院の水島空太は、掻きこむように食べ、席を立った。
ロッジ竜宮は、リビングからダイニングまでが一部屋だ。
個室を出れば、他の利用者と交流しやすいシェアハウス。
食事をするスペースは、飲食店のように複数のテーブルがある。
同じ高校の奴にもバカにされた形で、空太はロッジから外に出た。
しばらく時間を潰してから、戻るつもり。
沼の近くにあるロッジから、唯一の灯りが照らしている。
観光客のために整備された土道を進み、ピタリと立ち止まった。
こっそり持ってきた箱を取り出し、1本を取り出す。
シュボッと火をつけ、煙をくゆらす。
「ったく! やってらんねえよ……」
暗闇に目が慣れてきて、夜空からの月光を意識する。
すると、ロッジから出てくる人影が……。
(こんな時間に?)
気になった空太は、ちょうど終わりかけた1本を地面に落とし、靴底でジャリジャリと踏み潰した。
怪しい人影をこっそりと尾行する。
◇
女子2人と同室で、ソファーベッドに寝た。
外は、鳥の鳴き声。
ロッジ内は、人のざわつき。
上体を起こして、女子2人が着替えられるよう、共用スペースで時間を潰す。
「おはようございます!」
見れば、風鳴学院の久世果歩だ。
「おはよう……」
「あの! うちの水島を見ませんでしたか?」
「いや、見ていないけど……」
「見かけたら、うちの誰かにお願いします!」
焦っている果歩は、歩き去った。
――1時間後
緊張した空気の中で、朝食。
焼いたトーストなど、洋風の軽いメニューだ。
ビジネスホテルのように、セルフサービスでとっていく。
学校ごとに集まり、誰もが不安な表情のまま。
身繕いをした後で、水島空太を除き、全員が集まる。
真剣な表情の久世果歩は、早口で告げる。
「昨日の夜、私たちが夕飯をいただいた後から、水島くんが行方不明です! ロッジの管理人に伝えましたが、現状で警察や学校には教えません。理由は、彼がふてくされて逃げた可能性と、事件や事故に巻き込まれた可能性が半々だから」
呼吸を整えた果歩は、こちらを見る。
「恐縮ですが、水島くんを見つけるまで、私の指示に従ってください」
「あ、うん……。それはいいんだけど……」
相良音々は、困惑している。
その間にも、果歩が話を続ける。
「2人1組で分散するつもりでしたが、予定を変えます! ひとまず、学校別で固まりましょう! 私たちは沼から始めて、周りの聞き込みをします」
ジッと見つめられた音々は、自分の考えを述べる。
「じゃあ、私たちは……」
困った音々が、俺のほうを見た。
「そっちが人魚を調べるのなら、俺たちは銀山があった渓谷のほうへ行ってみる」
頷いた音々が、答える。
「ウチは、そういう方針で!」
「分かりました。ランチタイムか、遅くとも夕飯のときに情報交換を」
言うや否や、果歩は残った男女を率いて、立ち去った。
今の風鳴学院は、女子2人、男子1人だ。
本来なら、水島空太を含めて、男女それぞれにコンビを組むつもりだったか?
俺は、同じ東京国武高等学校の生徒を見る。
「相良先輩?」
考え込んでいた音々は、俺を見つめた。
「君が指揮をして! 風鳴のリーダーと、仲がいいし……」
「分かりました。先輩が、それでいいのなら」
ロッジの正面玄関から出れば、大学生グループが出発するところ。
細長いボンベなどを荷台に乗せて運び、ワンボックスの後部にどんどん積んでいる。
まるで、今から工事現場へ向かうような光景。
「忘れ物をするなよ?」
「わーってる!」
ワンダーフォーゲル部の連中だ。
男女ともにテレビでよく見たダイバースーツで、その上からウィンドブレーカーを羽織っている。
西園寺睦実が、人の良さそうな、メガネをかけた男子に話しかける。
「泳ぎに行くの?」
手を止めた男子は、笑った。
「ハハハ! 泳ぐって言えば、そうなんだけど……。酸素ボンベを背負って潜る、スキューバダイビングだよ! 渓谷のほうに、水中洞窟があるらしくて――」
「おい! もう、行くぞ!?」
片手を振った男子は、ワンボックスの後ろをバムッと閉じて、慌ただしく乗り込んだ。
ブロロと、ワンボックス2台が走り出した。
それを見送った俺たちも、住宅が集まっているほうへ歩き出す。
睦実がスマホで検索すれば――
「廃坑や鍾乳洞が水没しての、水中洞窟……」
気になった俺と音々が彼女のスマホを覗き込めば、水中ライトで照らされた幻想的な写真。
「狭そうだ」
「綺麗……」
前を見て歩き出した、俺たち。
「あいつらは、そこに入る気か……」
「内部の構造とか大丈夫? 普通の洞窟みたいに整備しているとは思えないし」
音々は、首をかしげる。
同意した睦実も、疑問を口にする。
「風や水による浸食だよね? そもそも、人が入れる大きさ? 廃坑は補強もあるだろうけど……」
洞窟内に灯りはないだろうし、方向すら見失う。
水で満たされた暗闇。
「俺は、御免だね!」
その発言に、女子2人は力強く頷いた。
過去作は、こちらです!
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