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最初の犠牲者になりそうな奴

秘密の女子校で、1週間の滞在。

けれど、そこには世界を滅ぼす存在の召喚儀式があって……。


「異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件」の3巻目は、誰もが疑わしい!?

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 風鳴かざなり学院との話し合いだ。


 ロッジ竜宮りゅうぐうの食堂に、制服姿の防人さきもりが集合。

 本当は会議室で話したいが、山奥の寒村にある民宿に望むべくもない。

 

 宿泊する部屋も無理!


 消去法で、洋風のダイニングリビングにある、大勢で座れるソファーへ。


 男女の高校生が集まり、合コンのような光景とも言えるが――


「東京のもんが、ここに何の用だ?」


 ゴツい男子が、腕組みをしたままで、脅してきた。


 本人的には、普通に聞いたのかもしれん……。


 いっぽう、俺たちを引率している相良さがら音々(ねね)が、毅然と答える。


「東京国武(こくぶ)高等学校に届いた荒神退治の依頼で、来ました」

「いらねえよ! 余所者は、とっとと帰れ!」


 息を吐いた音々は、妥協する。


「邪魔をする気はありません。今は、お互いが動きやすいよう、話し合いの場を設けていると思いますが?」


「ほー? 殊勝なこった……。じゃあ、そっちの女子2人は俺につけ! お前は勝手にしろ」


 ニヤニヤした男子が、俺たちに命令した。


 閉口した音々を見て、俺が言い返したほうがいいな、と思い――


「いい加減にしてください、水島みずしまくん……。あなたに、他校へ命令する権限はありませんよ?」


 文系のお嬢さまという感じの女子が、言い捨てた。

 風鳴学院の制服だ。


 長い黒髪で、まとめるためか、ヘアバンドも。

 海のような青色の瞳で、アンダーリムの眼鏡をかけている。


 俺たちの部屋まで呼びに来た女子生徒。


(上にいる雰囲気だったが、実際にそうだったと)


 俺が感心していたら、その水島は苛立った様子に……。


「うるさいぞ、久世くぜ!」

「あなたも、後がないことを自覚してくださいね? 私をどうにかしても、同じことです」


 顔の上半分に影が差しているような凄味で、久世と呼ばれた女子が言い切った。


 水島は、顔を歪めたまま、反論する。


「お、俺がいなければ――」

「であれば、私たちは帰るだけ……」


 沈黙。


 すると、木のトレイを両手で持った管理人、田村たむら東助とうすけがやってきた。


「コーヒー、いかがでしょうか? サービスですよ」


 30代と思われるが、ずいぶんと達観している感じ。


 場の雰囲気が和んだ。


 久世が代表して、答える。


「ありがとうございます」


「はい」


 各自の前にあるテーブルに、コーヒーカップが置かれていく。

 個別包装のお菓子を添えつつ。


 不貞腐れた様子で、水島が立ち上がった。


「俺はいらん!」


 ドスドスと足音を響かせつつ、リビングダイニングと廊下をつなぐドアから出ていった。


 気まずい空気になり、久世がすぐ謝罪する。


「申し訳ありません。あとで、言っておきます……」

「いえいえ! 私も、学生のときにヤンチャしましたから! ハハハ」


 空気を読んだらしく、管理人は奥のキッチンへ引っ込んだ。

 

 夕飯の仕込みをしているようで、包丁とまな板がぶつかる音や、グツグツという音が聞こえてくる。


 気を取り直した久世が、俺たちを見た。


「うちの水島が失礼しました……。打ち合わせを続けても?」


「は、はい! どうぞ……」


 こちらの先輩である音々は、何とか反応した。


 お互いの自己紹介を済ませ、さっそく意見交換。


 久世果歩(かほ)は、風鳴学院の代表。

 ただし、先ほどの水島空太(くうた)が、荒神退治における最大戦力だそうだ。


「水島は、流水系のスキルを持っています。そのため、ここの湖……というか沼や、渓谷の中を調べさせる予定です」


 音々が、問いかける。


「相性がいいと?」


「はい! この柳ヶりゅうがぶち村には天女伝説がありますが、他と比べて異質です」


 果歩の説明によれば、なぜか人魚と混ざっているそうだ。


「羽衣を奪われた天女が村で子供を作り、飢饉に苦しむ人々を救うために湖へ身を投げ、そのまま人魚になったとか……」


「そこは、溺れて死んだほうが、綺麗にまとまると思うけどな?」


 思わず、口を挟んでしまった。


 全員の視線が、俺に集まる。


 座ったままで身じろぎした果歩が、フォローする。


「そうですね……。ともあれ、その天女の自己犠牲により、村は豊作となり救われました」


 ここで、大人の男の声。


「ええ、人魚伝説とも言われています。ウチから見える湖、いえ沼がそうですね!」


 ここの管理人だ。


 どうやら、俺たちの話が聞こえたらしい。


 果歩は、管理人に尋ねる。


「田村さん? 過去にやってきた防人は、あの沼に潜りましたか?」


「いえ……。まったく整備しておらず、とても泳げる場所ではありません! 間違っても、入らないほうがいいですよ?」


 観光客の死亡事故もあった。


 それを聞いた果歩は、質問を続ける。


「どうして、湖から沼に変わったんですか? 伝承では――」

「田村さん……。あなたが犯人ですね?」


 俺の発言に、誰もが唖然とした。


 言われた本人は、口を半開き。


「謎は全て――」

 パアンッ!


 スリッパで、頭をはたかれた。


 痛みを感じつつ見れば、隣に座っている西園寺さいおんじ睦実むつみの仕業だ。


「ほんとーに、すいません! ほら、謝って!」


 ぐいぐいと頭を押さえつけられ、仕方なく謝罪。


「すみません……。つい最近に、こういうペンションに泊まる殺人事件のゲームをやっていたんで」


「ア、アハハハ! びっくりしましたよ! あそこは溜め池みたいなもので、予算と人手不足で放置した結果ですわ! 私も、せっかくの風景で人魚の住処だから、底を漁って綺麗にしてやりたいとは思っているんですけどねえ」


 動揺したのか、最後には愚痴も言いながら、奥のキッチンへ戻っていく管理人。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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