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黄昏時に落ちる星  作者: 有間ジロ―
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最終話


 みつきとの待ち合わせの時間にはまだ余裕があるのに気持ちが急い自然と足も速くなる。


 みつきはいまモデル活動はやめてヨーロッパの大学に行っている。みつきのマネージャーが逮捕された後みつきの事務所はマスコミから散々に叩かれた。みつき自身もマスコミやSNSの標的になり記者会見で社長とともに謝罪をした後みつきはカメラの前から姿を消した。あえて玲とも距離を取り、会わずに渡航した。

 向こうから連絡が来たのは半年ほどたってからで、こちらでも騒動は下火になり、それからは頻繁に連絡を取るようになった。もともと勉強は好きなようで大学生活は楽しそうだ。今回は一年ぶりの帰国。


 空港は目立つので都内のホテルで落ち合うことになっている。待ち合わせの場所に向かいながら前世にレイシャーンが選んだ道を考える。ヘタレで優しくて、だからあんな選択をした。だけどレイシャーンだって何も考えてなかったわけじゃない、と思う。自分の選択の所為で周りの人間を不幸にすることなんてちゃんとわかってた。だけど、それでもよかった。ミシルカさえ助けることができるなら自分はおろか、罪のない人々を苦しめたり、もしかしたら自分の手を汚すことだってできただろう。ミシルカにレイシャーンに対する執着があったようにレイシャーンにも同じ執着があった。

 渡利に言われたミシルカの狂気と執着。レイシャーンの抱えていたものと同じ感情がミシルカの中にあったのなら。それが何よりもうれしく心が浮き立つ。

 そんなことを誰に言う必要もないことだけれけど。


 ~~~


 優しく自分の名前を呼ぶ声が聞こえる。瞼が重く体も重い。ゆっくりと意識が浮上する。


 何があったんだっけ。


 ああ、大雨が降って、ダンの代わりに工事の視察に出たんだ。そして刺客に襲われた…橋から落ちた時リーシャに抱きしめられたまま川に落ちて…そして。


 ハッと間が覚めた。目に映るのは見慣れた自分の部屋の天井。


 そして目が覚めた時にはリーシャは王妃の部屋で捕らえられてしまったんだ。罪を被って!

 なぜ私はこの先に起こることがわかってるんだ?

 わかる。だって既に経験したことだから。そしてリーシャは…


 ミシルカは重い体を起こそうとした。


 ‟誰か!”


 声を上げると


 “ルカ、まだ起きてはいけない”


 穏やかな声がして優しい手がミシルカの体をそっと抑える。声の主は。


 ”リーシャ“


 レイシャーンがベッドの傍に腰を掛けてミシルカを見つめていた。必死にその手を掴んだ。


 ‟お前、ここにいてくれたのか?”


 私を置いて行かないで。


 “ああ、お前が目覚めるまで待っていた”


 そしてレイシャーンは微笑を引っ込めて言った。


 “一緒に義母上の所に行ってくれるか。真実を確かめるために。もうお前を置いて行かないと誓っただろう?”


 大きく頷くミシルカの目に一筋の涙が流れた。


 ~~~


 ”前世でまでやり直しをさせるとはずいぶんと優しいではないか“


 ‟言っただろう?暇つぶしだ。あれだけ頑張ったんだ。少しくらい褒美をくれてやっても良かろう“


 ‟確かに我らにはたった一瞬の出来事でも人の世で彼らは必死だな“


 “だから愛しいのではないか”


 だが彼らの人生には干渉しすぎた。しばらくは大人しく見守るだけにしよう。私は大きなあくびをした。


 ‟だからと言ってまたうたた寝するなよ“


 呆れた声が傍らから聞こえてきた。



(終)


最後まで読んでくださった方々ありがとございました。拙い作品ではありますが私にとっては思い入れのある小説です。

今回で本編は終了ですがこの後ゾリーク王太子のエピソードをいくつか入れたいと思います。個人的に好きなので。

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