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黄昏時に落ちる星  作者: 有間ジロ―
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SPドラマ黄昏時に落ちる星~甦星10 終話

 ロンズディン軍が歓声をあげる。

 レイシャーンがようやく息をついたころ、カーメイのゾリーク王太子が先ほどの大男を従えてやってきた。


 ‟援軍、まことに感謝いたします”


 騎乗の王太子を見上げた後マセラニー将軍とレイシャーンが頭を下げる。

 ゾリークはそれを止めさせるように手を振る。


 ‟遅くなって済まなかった。地形を見た時、西側の高地から攻めた方が速く片が付くと思って回り込んだんだが、思ったより時間がかかってしまった”


 レイシャーンは首を振り、


 ‟実際カーメイ軍が到着してからはあっという間に決着がつきました。それと、先ほどはそちらの剣士のおかげで命びろいしました”


 そして黒曜石の様な肌をした大男に向き直り頭を下げる。


 ‟レイシャーン、覚えているか?この者を”


 ゾリークが大男を顎をしゃくって示す。


 ‟はい、三年程前の剣術大会の際、剣を合わせたかと”


 大男は馬から降り近づいてきた。左足を少し引きずっている。レイシャーンの前に来ると膝を折って礼をする。


 ‟レイシャーン様、再びお目にかかれて光栄です”


 ‟私が傷つけた膝は治らなかったのですね”


 レイシャーンが眉を下げる。


 ‟足などどうという事はありません。あの時命を救っていただいたお礼をしたいとずっと願ってまいりました。奴隷として生まれた私はあの時初めて人として扱われました。人間以下だった私はあの時人として生まれたも同じだったのです”


 強い異国の訛りを残しながらも男はしっかりと言葉を紡ぐ。


 ‟国に連れ帰って傷が癒えた後、どうしたいか聞いたら、いつかお前に恩返しがしたいと言ってな。足は元通りにならなかったが、鍛錬のおかげで騎兵として素晴らしい働きをするようになった。セラスと名前を与えた。勤勉で言葉もおぼえ、よく働いてくれている。今回こいつの願いをかなえるために連れてきた”


 片足が不自由なため歩兵としては十分に戦えないが、巧みに馬を操り矢を得意とし戦場で鬼神の働きをするために‟セントーラ(半人半馬で槍を得意とする神話上の存在)”と呼ばれ敵には恐れられていた。

 レイシャーンは破顔しセラスを支え起こして立たせるとその大きな体に腕を回す。


 ‟あなたの命を救ったのはゾリーク殿下なのですが…だが、それにしてもなんと見違えたことか。セラス殿、あなたにまた会うことができて本当にうれしい”


 セラスは一瞬息をのみ、その後顔をくしゃくしゃにして言った。


 ‟はい、レイシャーン様…はい”


 その両目に熱いものがあふれた。



 レイシャーンはゾリークと戴冠式での再会を約束し、ミシルカの待つロンズディン王城への帰路についた。


 王城が見えてくるとレイシャーンは我慢が出来なくなって馬に鞭を当てて列から抜け出した。


 ‟やれやれいつもの悪い癖は死んでも治らないな”


 呆れたようにモイランは言い、ダンは噴き出した。

 丘の麓の木に愛馬をつないでレイシャーンは丘を駆け上っていく。


 ‟ミシルカ!”


 大声で呼ぶと美しい瞳をした麗人が振り向いて微笑んだ。


 ‟リーシャ!”



 ~~~



 ギルアドニアとの戦いが済んで間もなくレイシャーンは王位を継いだ。退位したロンズディン王は離宮の王妃のもとに移り、その時の恩赦という形でミシルカの謹慎は解かれた。元々王宮内外でミシルカを処罰することに反対する者がほとんどだったのでミシルカはすんなり王宮に戻った。表舞台に立つことはほとんどなかったが王弟として国政に貢献し生涯レイシャーンの傍らに寄り添っていた。

 レイシャーンは生涯妃を娶らず前ロンズディン王の甥の息子を養子に迎え次代の王として育て上げた。


 END


 ~~~



 完成したスペシャルドラマをを渡利と佐伯が観ていた。エンドロールを眺めながら


 ‟佐伯社長、最後のレイシャーンとセラスの再会の部分は玲のアイデアなんですよ”


 と渡利は言った。


 ‟本人曰く、ずっと心のどこかで気にかかっていたとか”


 ‟そうか…”


 スポンサーである佐伯がぽつりと言った。しばらく遠くを見る様な目をした後、


 ‟セラス、見えているか?お前にも見せたいよ、この場面を”


 と言って片手で顔を覆った。



スペシャルドラマは終了しましたが、物語はもう少し続きます。今しばらくおつきあいくださいませ。

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