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黄昏時に落ちる星  作者: 有間ジロ―
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SPドラマ黄昏時に落ちる星~甦星9 戦い



 ロンズデイン王はレイシャーンの復活を喜びはしたものの王妃の件もありすっかり老け込んでしまい早々の譲位を決意した。

 レイシャーンはといえば王太子でありながらギルドニア国が攻め込んできてる国境まで将軍たちとともに出陣しようとしている。


 ‟戴冠式を控えている身で何かあったらどうなさるおつもりかと、お諫めしたのですが…”


 と、まだ苦い顔をする新宰相。


 “宰相閣下。カーメイの将軍率いる援軍はは東側から進軍を始めたという報告を受けております。今から向かえばギルドニアを挟み撃ちにできる手はずです。数の上でもこちらはほぼ二倍。決して敵を侮り隙を与える様な愚は犯しませぬが、負ける気もありませぬ。レイシャーン王太子殿下の御身は必ずお守りすると誓います”


 マセラニー将軍が答える。


 “私は戴冠するまでは一個隊隊長としてその役目を果たすまでです。それに今同盟国となったカーメイとの約束はどうしても守りたい。だからこの戦にはどうしても私自身が行かねばならないのです”


 そこにいる三人はうなずく。


 “神の御加護がありますように”


 とドートリアニシュ神官長が深く礼をする。


 “ありがとうございます。それでは行ってまいりまする。ムンバートリ隊長。私は先に立つ。そなたは半刻後に副将軍について残りの隊を引いて続け”


 と将軍はレイシャーンに言い残し敬礼をし立ち去った。与えられた半刻の時間。レイシャーンとミシルカは王城の外に出て丘へ向かう。


 ‟リーシャ、無事で必ず帰ってきて”


 ミシルカが泣きそうになる。


 ‟大丈夫、ルカ、きっと帰ってくる。約束しただろう。もう決してルカを一人にはしない”


 レイシャーンはミシルカに歩み寄る。すっと手をのばして緩やかなウェーブをえがく髪をすく。そしてその鎖骨の上を流れる鎖の先に光る小さな青い石に目を止める。前にミシルカにあげた石は砕け散ってしまった。レイシャーンの首にかかっていた首飾りが今はミシルカの首元を飾っている。

 ミシルカはうなずくとにっこり微笑んだ。


 “待っている。リーシャ”


 ミシルカはきっとここで待っていてくれるだろう。だから、必ず戻ってくる。



 ~~~



 戦が始まろうとしている。ギルアドニアの侵攻を確認したロンズディン軍は少しでも王都から離れた場所で迎え撃つべく進軍した。

 レイシャーンは叔母であるムンバートリ副将軍のもとで自分の隊を率い北上した。東側からはカーメイの援軍がすでに進行していると報告を受けている。ギルアドニアにほど近い平原に差し掛かった時、太陽が真上から照らし敵軍が目の前に広がった。金を基調としたギルアドニア軍の旗と鎧が日に光に反射している。


 鬨の声を上げ両軍がぶつかり合う。激しい戦いになった。現状では数ではほぼ互角。カーメイはまだ到着していない。

 レイシャーンの隊は第一線で敵と衝突した後、激しく競り合いを続けていた。どちらも引くことなく時間が経過し兵たちにも疲労が見え始める。周りでは兵たちが倒れていく。


 カーメイの援軍はまだか


 誰の顔にも焦燥の色が浮かび始めた。今は互角だがこれ以上長引けばロンズディンに不利である。何しろロンズディンにこれ以上の兵は出せないのだから。


 “カーメイは必ず来る。持ちこたえろ!”


 レイシャーンが叫ぶ。レイシャーンも満身創痍だった。


 日が傾きかけた頃、グワァーンという大きな銅鑼の音が聞こえてきた。

 ウォー!というときの声が響き予想と異なり西側から赤と黒の旗をはためかせた騎馬隊が現れた。カーメイ軍だ。

 騎馬隊は雪崩のように突進してきた。それを見たロンズディンの兵士たちも一気に士気を高め声を上げながら剣を握りなおす。対してギルアドニアの兵士たちはカーメイの援軍にひるむ。ギルアドニア側にレイシャーンが生きていたこと、ロンズディンが正式にカーメイと軍事同盟を結んだことは隠されていたためカーメイからの援軍はギルアドニアにとって大きな打撃となった。


 しかし軍事国家と自負するギルアドニアの兵たちは簡単には崩れない。

 レイシャーンは自分が先頭に立ち、敵と切り結んでいる。レイシャーンが前線の要と見たギルアドニアの兵士がレイシャーンを取り囲む。


 “隊長!”


 という叫びが響いた瞬間レイシャーンの肩口を槍がかすった。レイシャーンはバランスを崩して馬から落ちる。すかさず起き上がり刀を構えるも襲ってくる槍に体勢を整えきれず後れを取ってしまう。絶え間なく繰り出される槍を避けるのが精一杯で側面から襲ってくる兵に気づくのが遅れた。


 “!”


 鋭い切っ先がレイシャーンの頭上に振り上げられた瞬間、その兵の胸に矢がぐさりと刺さり倒れる。第二矢がすぐ飛んできて槍の使い手も一瞬で倒された。


 “レイシャーン様!”


 呼ばれて顔を上げると、そこには巨大な馬に乗った異国の顔立ちをした大男がいた。


 ”お前は…”


 レイシャーンがつぶやく。


 “セントーラだ”と周りで声がする。その名前は場にいた兵の間に広まりギルアドニアの兵たちは蒼白になってじりじりと引いていく。その隙にレイシャーンも自分の馬に乗り体勢を立て直した。


 カーメイの援軍到着後、それまで互角だったロンズディン軍とギルアドニア軍の均衡が崩れた。ギルアドニア軍は短時間で多くの兵を失い敗走しはじめた。


 勝敗は決した。


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