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黄昏時に落ちる星  作者: 有間ジロ―
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閑話 スペシャルドラマの脚本

 

 ‟これが真実なんですね“


 玲の記憶をもとに渡利が書いたストーリーを読みながらともやはしみじみと言った。ある程度予想はしていたが実際に通して読むと改めてレイシャーンの葛藤が胸に痛い。


 ‟でもなーんかこの脚本、神官長やたら出来が良すぎない?”


 カウチにだらしなく座りナッツをカリカリかじりながら脚本の方を読んでいたみつきが不服気に言った。


 ‟カッコいいでしょう。神官長は全てを見通していて、用意周到。レイシャーンを救い、ロンズディンを滅亡の危機から救う。みつき、カウチに食べこぼししないでくださいよ。子供じゃないんだから“


 渡利が自画自賛する。もちろん自分で書いた脚本だ。


 ‟いいじゃない、ホテルの人が掃除してくれるんだから。まあ、タヌキ神官長といわれていたのは確かだからね”


 ”それを言ってたのは陛下くらいでしたよ。宰相のことはキツネと言われてましたがね“


 遠い目になる。


 “なあ、俺も今からドラマに出られないか?”


 佐伯がいきなり思いついたように言うとみつきがすかさず反対する。


 ”前にも言ったけど、はた迷惑だからやめてくれる?”


 ”俺が俺を演ったら様になると思わないか?”


 みつきを無視して佐伯が渡利に訴える。


 ‟どうも俺の活躍の場がなさすぎる。こんなに金を出し、裏で手をまわして頑張ってるのにちっとも報われない…裏方は性に合ってないんだよ“


 佐伯はふてくされたように言う。要は玲に認めてもらっていないのが悔しいのだ。玲にとっては未だに親切な佐伯社長だ。


 “ところでさ、一連の出来事に関わっていた人間の内、玲を陥れた側は転生してきてるのかな?雪永奏一郎とか”


 “さあな、さっぱりわからん”


 佐伯は興味なさげに切り捨てる。


 ”彼はきっと…様だね“


 渡利がぽつりと言った。


 ‟渡利さんはどうやって僕たちの事見つけられたの?”


 ”私は何かに憑かれたように

必死で探しましたからね。幸いこの芸能の世界はスクリーンに映ってくれるし世界が狭いからわかりやすくて助かりました“


 “あんたは?”


 みつきは佐伯に振る。


 “俺もお前はすぐわかったぞ。その匂いと容姿でな”


 “何その匂いって”


 みつきは気持ち悪そうに顔をしかめる。


 “なんてゆうか、昔からいけ好かない雰囲気ってことだ。頭もいい、表面上は礼儀正しくて人当たりもいい、だがあった瞬間から気に食わなかったな”


 ”はあ?それはお互い様だよ。だけど僕の美しさは認めるわけだ“


 みつきがふふんと鼻を鳴らす。


 “誰も美しいなんて言ってないだろ。整ってはいるが、美しいってのはもっと、こう…”


 そこで佐伯は言葉を切った。何か誰かを思い描いているようだった。みつきも珍しくそれ以上突っ込まずある人物を思い浮かべた。爽やかな新緑を想い起させる笑顔。きっと同じ人間を思い浮かべてるんだろうな、と思いながら。




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