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黄昏時に落ちる星  作者: 有間ジロ―
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再生への誘い

ようやく玲が過去を自分を取り戻す方向に向かっていますが、書いててしんどいです。後半筋書きに破綻が起きないように苦労してますが、読み返してみるといろいろあやしいところが…誤字も…




 ‟ところで話を元に戻すね“


 渡利は他の三人の顔を見ながら説明する。佐伯は話の内容を把握しているらしく、一人バーに立った。


 ‟さっきも言ったけど続編はレイシャーンを生き返らせる。神官長がレイシャーンに飲ませたのは毒ではなく二日ほど仮死状態になる薬だった。ジュリエットが飲んだようなやつね。息を吹き返したレイシャーンの口から真実を語らせるところから話を進めていこうと思ってる。再生したレイシャーンがミシルカと力を合わせて根本から事態を解決していくんだ。時間はかかるしギルアドニアから攻め込まれたりして大変なんだけど、最後は本当のハッピーエンドになるんだよ”


 それに対して玲は珍しく反論する。


 ‟なんかこじつけっぽくないですか?そりゃ、ドラマは人気あったけど、レイシャーンを生き返らせてまで続編作るっていうのは”


 ‟いや、この続編は初めから考えていたことなんだよ。事実確認が取れていない段階だから前半の部分と違和感なくどうやって繋げていくかがまだ未定なんだけど”


 ‟あまりにも傷ついたミシルカを見て、真実を知りながら封印してしまったことを深く悔やんだ神官長はミシルカにすべてを打ち明けて魔術師の力を借りて過去に戻ってやり直すっていうのはどう?”


 それまで黙っていたみつきが棘を含んだ口調で提案した。


 “でもみつき君、それだとファンタジーになっちゃうんだよねぇ。架空の国とは言えいきなりファンタジーはちょっと”


 渡利が困ったように言う。


 ‟そこのところはあなたが何とかしてよね?僕に言わせればあの時選択を間違えたのはリーシャだけじゃなくて神官長もなんだから”


 ‟はい、反省してます”


 と渡利は首をすくめる。


 ‟とにかく、この企画はどうしても仕上げる。そして南条みつきと葛城玲のキャストだけは譲れない”


 それを聞いて玲は“は?”と声を上げる。


 “今スキャンダルまみれで、逮捕寸前までいってる葛城玲をキャストになんか入れられないですよね。大体俺が出なくったって続編はできるでしょう”


 ‟いや、君にはレイシャーンを()ってもらう“


 玲はあっけにとられた。


 “ありえない!ともやさんがいるじゃないですか”


 ‟僕は君の代役だよ、玲君。いつでも変わる準備は出来てる“


 ともやがはっきりと言う。


 それこそあり得ない。


 ‟絶対反対されるにきまってる。他のキャストだって。スポンサーとかどうするつもりなんですか?”


 自分は常識的で現実的なことを言ってる、と思う。


 ‟大丈夫。その辺は考えてる。大口のスポンサーは二つほど押さえてあるしね”


と、ここで言葉を切って佐伯を見る。佐伯は黙って頷いた。


 “表向きはともやのスケジュールの都合がつかないために辞退、という理由でレイシャーン役未定でオーデションで募集する形にしておく。もちろんオーディションは公平に行う予定だけど、でも君はセリフを叩き込んでおいてほしい。のんびりしてる時間はほとんどないと思っておいて。君は誰よりもこの役を演じきれるはずだ。いや、君にやってもらわきゃ意味がないんだ。だから君もそのつもりでね”


 “でも、俺の疑惑は未だ晴れてないし…”


 それに、と渡利の口調が優しくなる。


 “玲君、君が思っている以上に君を信じている人達はいるんだよ。ドラマのスタッフやキャストの皆は君を待っている”


 そんなこと言われても信じられない。事務所には多大な迷惑をかけ、みつきにも両親にも連絡を取ることも許されず暗い部屋に引きこもっていた。目に浮かぶのは悲しむみつきと落胆する両親の顔。聞こえてくる声は自分の存在を全否定する他人のものばかり。一体誰が自分を信じてくれるというのか。大体俺は自ら進んで今の状態に陥っているというのに。みつきの父親やマネージャーの関与を知られるわけにはいかないのだ。どんなに辛くてもみつきを守るために選択したことだ。


 頑なに渡利の言葉を否定する玲に渡利が自分のラップトップを開く。

 そして動画を再生する。

 見知った顔が映る。


 最初に色部さんが映る。


 “葛城君は演技に対して非常に真摯に向き合い、役者としても誇りを持っている。一緒に仕事をしていてそれがよく分かった。これから何度でも葛城君と一緒に仕事をしたいと思う”


 立花さんが映る。


 “葛城君の演技に対する情熱や役への愛情はすごく伝わってきました。それを大切にしている葛城君がそれを冒涜する行為を仕事であれプライベートであれするはずがないと信じています”


 “こら、葛城玲!しっかりしなさい。投げやりにならないで。心無い雑音じゃなく君を想う声に耳をすませなさい。私たちの声、聞こえてるでしょう?”


 名取さんは彼女らしい口調で叱咤してくれる。


 カメラマンの戸田さん


 “僕は自分のカメラには真実が映ると自負している。カメラの中の葛城君はキラキラしてるよ。僕はまた君を撮りたい”


 今回のドラマで一緒に仕事をした人たちからはじまってほかにも何人もの人たちがメッセージが続く。


 思いがけない周りの人々の優しさにに鼻の奥がツン、となる。


 動画が終わり、しばらく沈黙が続いた後、渡利の口調がまた真剣なものになる。


 ‟だけど君には本当にしなければいけないことがある。セリフを覚える前にね。さすがにこのまま君をドラマに出演させるわけにはいかない”


 ‟しなければいけないこと?”


 鼻をすすりながら玲が聞き返す。


 “自分は無実だと声を上げること。それを証明するために本当にあったこと証言して君を陥れた犯人を捕まえる協力をすること。それを公表すること”


 ‟それは…”


 玲はとっさに返事が出来なかった。


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