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黄昏時に落ちる星  作者: 有間ジロ―
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騒動

 

 その日バラエティー収録のために玲とみつきは他の出演者とスタジオに入った。収録は無事に終わり、みつきが先に外に出た時に騒動は起こった。


 最近は極力一緒に行動することを避けるように言われているため玲は出口のドアの手前でみつきが車に乗り込むまで待っていた。しばらく動かずにいると急に外が騒がしくなり、キャーッという悲鳴が聞こえてきた。何が起こったのかと外に出ていこうとした玲は森本と居合わせたスタッフに止められ、仕方なくガラス越しに外をみて愕然とした。みつきの頭が真っ赤に濡れそぼっており、近くで数人の男女がつかみ合いをしている。


 ‟みつきさん!”


 頭に血が上った玲が飛び出そうとすると森本に羽交い絞めにされる。


 “だめだ、玲君!君が出ていけばもっと騒ぎがひどくなる”


 “でもみつきさんが!血が出てる”


 ”あれは赤い色水かトマトジュースです。みつきさんにケガはないようです”


 とドアの外側にいたスタッフが説明してくれ玲を押しとどめた。待ち伏せしていたファン達の中の誰かが赤い液体の入ったボトルをみつきに投げつけたのだ。そしてそれを目撃したみつきのファンと取っ組み合いになっているらしい。

 その間にも騒ぎは大きくなる。


 “玲に近づかないでよ!ずうずうしい”


 “みつきにちょっかい出してるのはそっちだろーが!てか、みつきに何てことすんだよ!”


 “あんた頭おかしんじゃない?”


 “ちょっと放してよ!”


 みつきに液体を投げつけたのはどうやら玲のファンらしい。ガード達も集まってきた。頭からジャケットを被せられ車に乗り込むみつきは、まるで連行される犯罪者だ。その車に向かって尚も罵声を浴びせる者もいる。

 玲はガン!とガラス窓をたたき歯ぎしりする。


 なんでこんなことに…


 みつきを乗せた車が走り去った後も外の喧噪は収まらず玲はしばらく建物の中での待機を余儀なくされた。

 玲は目の前で起こっていることが信じられずにいた。しかも自分が原因の一つになっているなんて。目まぐるしく変わっていく自分の周りの状況について行けず呆然としていた。


 その日の騒ぎは警察まで出てくる羽目になりニュースでも報道された。




 そしてその数日後、雑誌の撮影中、森本から電話があった。


 “すぐ車で迎えに行くから外に出ないように。後で詳しく話すけどしばらく自宅待機になると思う“



『ドラマそのままの筋書き。葛城玲はドラマの主人公レイシャーンを演ってみたかったのか?所詮は端役どまりのお粗末な展開』

『すべては葛城玲側のでっち上げ?』

『初主演で圧巻の演技を見せたの南条みつきの才能に嫉妬か』

『仲が良かったのはうわべだけで、名前を売るためにみつきに近づいた厚顔無恥な俳優』



 “これが今朝でた記事”


 今日の予定を全てキャンセルし自宅に連れてこられた玲に森本が苦い顔で雑誌を渡す。

 そしてプリントアウトされた用紙を数枚その隣に置く。


 -自分のファンを使ってみつきの悪口書かせてたって“

 -葛城玲のファンがみつきのポスター破ったり、みつきがでてるCMの物買わないように声かけたりしてるって”


 -な、な、な、ひどすぎ。みつきが不憫や

 -撮影中、足を引っ張ってたのは葛城の方らしい

 -みつきは炎上の被害者。煽ったのは葛城側!みつきかわいそー

 -葛城玲、消えろ、一生消えてくれ



 玲はあっけにとられてしまった。ほんの数日の間に何がどうしてこうなった?


 有名人の熱愛報道や噂がきっかけで片方がバッシングされることは今までにもあったが今回のようにファン同士がけんかになったりここまで大騒ぎになったのは聞いたことがない。


 ‟何か、異常事態になってるね。正体はわからないけど、悪意を感じる程に。今は君の身の安全のためにも少し身を隠していた方がいい“


 いつもはのんびりしている社長の電話越しの声も硬かった。



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