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黄昏時に落ちる星  作者: 有間ジロ―
70/99

炎上

 


 -主役の二人ウツクシー

 -一緒にご飯食べてる写真、いいよねー楽しそう

 -キャスト仲いいんだね


 -このドラマ、BLだっけ?

 -じゃないけど、禁断の恋人っぽくね?血がつながってるんだよね

 -半分だけな-

 -下品だ。魂でつながってるんだよ、エロいことないじゃん

 -ブロマンスってやつだよ 




 -なんか最近みつきと玲の距離近い

 -ツーショット多いよね

 -えーともやは?本命じゃないの?


 “この辺まではいいんです。そしてこれが今日発売された雑誌です”



『南条みつきと葛城玲、深夜デート!』

『ドラマ撮影中もべったり、撮影が終わってからプライベートでも一緒の親密さ』


 深夜ってこれまだ十時くらいだったと思うけど。しかもデートって何?ご飯食べに行って隣に瑠衣人君とかもいるんだけど。切れてるし。



 社長室に呼ばれて、雑誌を渡され、そのあとはえんえんと続くSNSの投稿を見せられた。みつきの父親である南条隆仁も秀麗な顔を不快気に歪ませている。



 -気まぐれ王子様の次の獲物は新人俳優葛城玲?!

 -最近落ち着いていた南条みつきだがまた悪癖再発。男も女も気分次第。



 ドラマが評判になりSNSの方もにぎやかになっていた。初めは主役二人が人気を二分していたが葛城玲の認知度が上がってくると同時に玲とみつきの距離が近くなっていくのをまるで誰かがずっとフォローしているかのように二人の写真が流出しだしたのだ。最近は二人が恋愛関係にあるかの如くネット上で議論が飛び交っている。

 前にみつきが川で倒れた時に玲が支えた写真や、その後バンの中で玲に抱きついている写真などは決定的な証拠(?)として拡散されていた。


 一体誰だ?


 十中八九関係者なのだろうが、あいにくあの時みつきは本当に具合が悪く記憶もあいまいで周囲の状況は全く覚えてなかった。


 これが、起こるべき事件の前触れか…


 榊の小言も上の空でみつきは考え込んだ。


 ~~~


 “うーん、葛城君の人気か出たのはうれしいけど、ここまで騒がれるとは予想していなかったな”


 玲の事務所の社長は複雑な顔をしている。


 “今のところほとんどが南条君にフォーカスが当たっているから、こちらはあまりあからさまに否定したり行動を制限することはしないけど。返って不自然だからね、少し様子見よう…ただ玲も出かけるとき他のキャストと一緒に出掛けるようにしてね”


 ”はい、わかりました”


 と頭を下げて社長室をでる。

 この時はまだ、玲も事務所側もそれほど深刻な事態になるとは予想していなかった。





 しかし状況は次第に穏やかなものではなくなっていった。


 -最近みつきがつけてるペンダントって葛城玲からのプレゼント?お揃い?

 -前は同じ石のピアスつけてたけど、交換したのかな

 -ヤダ、葛城!格下のくせしてみつきに手をだすな!

 -これってみつきのほうから迫ってるって聞いたけど?

 -どっから聞いてくるんだ、そんなん

 -この写真なんか、どう見てもくっついていってるのってみつきの方じゃん”


 ドラマが評判になると多かれ少なかれいろいろ言われるものだ。大体はドラマの終了とともに下火になるし、あまりけれ酷ければ事務所側から否定することもあるけど。しかし、みつきと噂を立てられるってどうなんだろう。確かによく一緒にご飯食べに行ったりしてたるけど。

玲は戸惑いを隠せずにいた。


 そしてコメントの内容はだんだん過激になってきていた。



 数日後、玲は事務所の社長室に呼び出された。


 “これはまずいですねぇ。実は玲君にはできるだけ見せないようにしてたんだけど、かなり南条さんへのヘイトっぽいのが増えてきてる”


 マネージャーの森本が困ったように話始めた。


 “どういうことですか?”


 玲は何となく呼ばれた理由はわかっていたが少し予想外の切り出され方に首をかしげる。玲自身はあまりSNSをチェックする方ではないので情報が遅れているのかもしれない。


 ‟南条さんが積極的に玲に迫ってるとか。それに玲君絡みだけでなく、TV収録中すごくわがままだったとか、演技が下手だから現場に迷惑をかけているとか。誰かが無理やり煽ってるようなんです“


 玲は眉を顰めて考え込んだ。


 みつきとここ数日連絡が取れない。行動を制限されているのか、それとも携帯を取り上げられてるのだろうか。


 “現段階ではあちらの事務所は動いていませんがこちらも十分慎重に行動していきましょう”


 と、とりあえず注意喚起のみで解放された。




 その頃みつきは自宅で電話をしてた。


 “そろそろ始まったようだね。おそらくこれが火種になるよ。きっとあっという間に騒ぎは広がる”


 と通話相手が言う。


 “わかってる。問題はどのくらいの規模になるかまだ予想がつかないってことだよね”


 “君の周りで怪しい動きをしている人はいる?”


 “何とも。疑い始めるときりがないし。父はこれから必ずかかわってくるはずだから気を付けてはいるけど、それ以外は予想がつかない”


 “ところで、君へのバッシングがすごいけど。あちこちでひどいコメントも見られるよ。メンタル的には平気?”


 “こっちはこの先に起こりそうなことが気になってそれどころじゃないんだよね。風向きが変わって玲に何か起こってしまった時のが心配”


 ‟君は強いね”


 呆れと感嘆の混じった声。


 “玲に何かあったら…”


 自分は冷静に状況を見極めることが出来るだろうか。


 会話を終えた後、みつきは自分のコントロールが及ばない状況に苛立ちと焦りを感じながら厳しい顔で空を見つめていた。




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