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黄昏時に落ちる星  作者: 有間ジロ―
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ドラマ収録 終盤1


 ‟はい!ミシルカ、オッケー。今の表情すごくよかったよ。今目の前で起こっていることが信じられない、って感じがよくでてた”


 ‟ありがとうございます”


 驚愕した顔から一転、みつきはにっこり笑う。


 ‟レイシャーンはそこもうちょっと間をおこうか。ミシルカが部屋に入ってきたとこから、刀を抜くまで。でも長すぎないでね”


 ‟難しい注文ですねぇー。二分の一秒くらいですか?”


 刀の軽く振りながら、ともやが渡利に聞き返す。


 ‟うーん三分の一秒くらい?”


 ‟…”


 ‟王妃はそこで座り込んだほうがいいかな”


 ‟そっちのほうがレイシャーンが刀を振り向きざまに振り切るときやりやすいかも”

 “はーい、こんな感じですか?”


 王妃役の名取がともやの一歩半くらい離れたところに座り込む。


 ‟そうだね。じゃぁ、それでもう一回やってみよう“


 撮影は順調に進んでいて、ドラマの評判もいい。もうクライマックスシーンの撮影に入っている。

 ともやはレイシャーンを野心家で自信家、それを周囲から隠し通すしたたかな、それでもミシルカに深い親愛の情を持っているというちょっとこじれた悪役を演じることにした。途中まで快活で朗らかなレイシャーンだが最後の数話で一気に仮面を外すことになっている。




 休憩中若い女の子達が一人の子を囲んで話し込んでいた。雑誌を見ながらドラマのキャストをチェックしていたはずだがいつの間にか話題が変わっていた。


 ‟ゆずちゃん、それでどうするの?”


 ‟どうするって言ったってどうしようもないよ”


 ‟彼、どれくらい大阪に行くって?”


 ‟三年は戻ってこないって”


 ‟えーそれきついね。で、告るの?”


 ‟幼馴染扱いだもん。相手にされないって”


 そこに違う声が割り込んでくる。


 ‟言わないと、後悔しちゃうかも?”


 ‟み、みつきさん!”


 みつきに顔を覗き込まれ、ゆずが顔を真っ赤にして口を押さえる。


 ‟聞いてたんですか?”


 ‟ごめんね。聞こえちゃった”


 みつきの後ろにはともやもいて、空いてる椅子に座る。みつきも席に座って空いている茶碗にお茶を注ぐと一つをともやに渡した。それを飲みながらともやが質問を続ける。


 ‟幼馴染を恋をしてるんだね”


 ‟…はい”


 ‟で、遠くに行っちゃう?”


 ‟はい”


 ‟そっか…”


 みつきがふっと笑って、そして自分が見られてることに気が付いた。


 ‟あ、ごめん。ゆずちゃんを笑ったんじゃなくて、なんかいいなって。気持ちがわかるから”


 ‟まさか、みつきさんにそういう経験あるんですか”


 “うん、あるある。ずーっと一緒にいたんだけど、いまでも大切で大切でずっと心の中にいる人”


 目を伏せたみつきの顔が甘く切なく、その場にいる子たちは一瞬言葉を失った。


 みつきさんにそこまで思われる人っていったいどんな人なんだ?まさか片思い?で、もう一緒にはいない?


 皆の頭の中にぐるぐる疑問と興味がわいてくるが気軽に突っ込めない。


 “だから、ゆずちゃんの恋が成就することはもちろん祈ってるけど、万が一相手が同じ気持ちでいなくとも思いを伝えることができたらいいと思うな”


 そう言ってみつきはお茶をずずーっとすすった。

 ともやも茶碗を両手で包みながら、


 ‟そうですね、僕も気持ちはわかります”


 あ、もちろんみつきさんとは違う意味ですけど、ちらりとみつきの視線を受けてと少し慌てたように小さく言った。


 え?ともやさんも?


 なんか、あたしたち今すごい事聞いてるんじゃない?


 と、そこにいる女の子達は心の中で思った。







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