表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄昏時に落ちる星  作者: 有間ジロ―
37/99

ドラマ黄昏時に落ちる星 EP12 剣術試合1

 

 翌日は天気も良く、子供たちとの遠足をレイシャーンもそれなりに楽しんでいた。元来子供好きで孤児院にもよく顔を出し、子供の扱いは慣れている。貴族の子供たちは甘やかされている面はあるがまだまだ素直で、孤児院の子供たちとはまた違った可愛さがある。そんなことを思いながら帰途に就いた。ミルズを自分の馬に乗せ、王女たちを乗せた馬車の隣をポクポクと進んでいると、王宮の方からかけてくる馬がいる。レイシャーンの部隊の副団長レスターだった。


 ‟隊長、申し訳ありません。宰相からの伝言があり、王宮に到着される前に伝えておいたほうが良いかと思いまして”


 ‟どうした?”


 ‟実は今朝隊長が出かけられた後、ギルアドニアの王子がナンドラの王子を伴って宰相のところにいらして…”


 どうやら、城下での一件について文句を言いに来たらしい。ナンドラの兵士が見もならず者に傷つけられたと言って、下手人を探し出せと要求しているいうことだ。自分たちのしたことを棚に上げての言いがかりだ。あの後、事を荒立てないように済ませようとしたロンズディン側の配慮は伝わらなかったということだ。対面を傷つけられたでも言いたいのか。


 ‟面倒なことになったな。俺が出ていくのは仕方がないとして、もう一人の方は…俺もマントの男の素性は聞かなかったし、まともに顔も見てない。本人が名乗り出てこない限り他国からの来賓に対してこちらから調べまわるというわけにもいくまい。大体なんでギルアドニアがしゃしゃり出てくるんだ?関係ないだろう”


 レイシャーンは盛大に顔をしかめた。


 ‟それが、ナンドラは極小国でギルアドニアのほとんど属国状態のようです。経済的にも、まぁ、だから、今回もあまり身元の良くない護衛を雇い入れる様な始末になったんでしょう。ナンドラの王子の方こそ事を荒立てたくない様子なのは明らかなのですが、ギルアドニアの王子に否やとも言えず、といったところなのでしょう”


 ‟ギルアドニアはここぞとばかりにロンズディンに難癖をつけようとしているわけか。それにしても誕生祭に招かれた国ですることでもないだろうに”


 確かに彼らを剣で傷つけたのはやりすぎたかもしれない。だが、もともと恥知らずな行いをしておいて面目を傷つけられたなど、笑止ものだ。大方こちらが当事者を見つけられないことを見込んで強気な態度に出ているのだろう。分かっていてもそこに付け込まれたのは自分の落ち度だ。レイシャーンは内心で舌打ちをしながら王宮に向けて馬を進めた。

 レイシャーンは小さな貴人たちを無事王宮の侍女たちに送り届けると、もっと遊んで―とまとわりついてくるかわいらしい子供たちをなんとかなだめて剣武場に向かった。



 レイシャーンが剣武場に着いた時には八十名以上もいた参加者が既に八人に絞られていた。なんとその中にはミシルカも入っていた。それにはレイシャーンは別段驚いてはいなかった。美しいミシルカでは相手が手加減していまうのでは、と勘ぐるものも多いだろうがそうではない。普段のたおやかな様子からは想像しづらいがミシルカは小さいころから軍でも一、二を争う腕のレイシャーン相手に稽古をしてきている。頭がよく相手の動きを先読みししなやかな動きで敵を倒す剣だ。ただ、残念ながら力も持久力も無いため大柄で力のある相手にはかなわない。そして今、ミシルカが対戦しているのはロンズディンのジャルドー伯爵だった。優勝候補の一人だ。このレベルになると剣士の力量も肉薄してくるため一つの試合も長くなる傾向にある。ミシルカの息は上がり始めているようでシミ一つない肌は汗で濡れていた。ジャルドー伯爵は細身だが背が高くその剣さばきは見事だった。必死に切り返していたミシルカも、とうとう剣を弾き飛ばされてしまった。


 あっという声があちこちから聞こえてきて、観戦してる人々の視線が宙を舞った剣を追いかけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ