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黄昏時に落ちる星  作者: 有間ジロ―
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ドラマ黄昏時に落ちる星 EP11 誕生祭2

 


 孤児院についたレイシャーンは出迎えてくれた子供たちの後ろに立つ人物を見て間を丸くする。


 ‟あれ?なんで神官長様が?”


 ドートリアニシュ神官長はいたずらっ子のように微笑み人差し指を口に当てると、


 ‟内緒にしていてください、レイシャーン様。本当は明日の準備で大わらわなんです。ちょっと抜け出してきたのですよ。あなた様こそ今日こんなところに来てよろしいのですか?”


 ‟だって、明日は王様の誕生祭だろう?料理番に頼んでとっておきの焼き菓子を焼いてもらったから子供たちに持ってきたかったんだ。本当はルカが来たがっていたんだが宰相の手伝いをしているから抜け出せなくて、代わりに来た”


 ‟天使様は来ないの?”


 と子供の一人がレイシャーンの袖を引っ張り残念そうに見上げててくる。


 ‟ごめんね。明日は天使様の御父上のお誕生日だから、その準備で忙しいんだよ。だからこの焼き菓子を持ってきたんだ。これは特別な焼き菓子で王様も大好物なんだよ”


 子供の頭をなでながらそう説明するレイシャーンをにこにこと見守っていた神官長だったが、


 ‟先ほど、町の方でなにか騒ぎがあったようですが”


 とまじめな顔になって聞いてきた。


 ‟ああ、ナンドラの護衛が花売り娘に悪さをしてな。それをこれまたよその国のお方が助けようとしていて”


 ‟それはどちらの?”


 ‟フードを被っていて顔はよく見えなかったがおそらくカーメイではないかと思う”


 ‟カーメイからは王太子がいらしているはずですが”


 ‟王太子にはお会いしたことがないからはっきりとは言えないが、さすがに王太子ということはないんじゃないか?身分は高そうだったが。かなり腕も立つ。近衛騎士かもしれないな”


 そう首を傾げつつレイシャーンは自分も王太子に準ずる身分だという事を忘れている。


 ‟して、その悪さを働いた者たちは?”


 ‟切り合いになった。さすがに無かった事にはできなくなって縛って置いてきた。あとは今日の見回りの担当に任せる”


 それを聞いた神官長は眉を寄せる。


 ‟レイシャーン様、あなた様もその切り合いに加わったのですか?”


 ‟しょうがないだろう。選択の余地はなかった”


 ‟本当ですか…?”


 じっとりと見つめてくる神官長の目は疑惑で満ち満ちていたがレイシャーンは知らんぷりを決め込んだ。



 ~~~



 翌日から始まった誕生祭で目玉である剣術大会は二日目に行われる。レイシャーンは自身も参加するのを楽しみにしていた。いままで他国の剣士を交えた試合は経験がなかったため自分の実力を試したいと思っていたし、城下で会った黒マントの男に会えるかもしれないという期待もあった。


 ところがそういう時に限っていろいろと予定外の事が起こる。誕生祭の初日は各国の貴賓たちが王に謁見して祝を述べるだけで一日終わってしまう。レイシャーンとミシルカも王族の一員として謁見の場にいたのだが王太子ルードウィックが謁見開始二時間ほどで具合が悪くなってしまったのだ。それ自体は予想されていたことでだったのでレイシャーンはルードヴィックに付き添って謁見の間から出ていた。その間にどういう流れでか翌日の剣術大会の日に子供たちのピクニックが計画されてしまったのである。

 剣術大会は一番人気のある催し物で、出る人間だけでなく見るほうも楽しみにしている。剣術そのものに興味ない淑女方も見目の良い剣士たちを見るために会場に集まる。その為に幼い子供たちの相手をするものがいなくなるのだ。普段なら侍女や護衛騎士が付き添っているだけで充分なのだが、王宮の外に出るとなると話は別だ。

 先ずモレスロントの公爵が連れてきた八歳の息女がおやつを持って湖畔に行きたいと言い出したらしい。それに他国の子供たちも便乗し駄々をこねだした。ロンズディンの侯爵家の嫡男である七歳になるミルズが、それなら、ぼくはレイシャーン隊長のお馬に乗せてもらいたいと言い出した。

 身分の高い子供たちを数人連れて行くのでそれなりの責任者は確かに必要だ。ここでも人気者のレイシャーンは仕方なく承諾した。


 朝食後に出かければ湖のあたりでお茶をして昼ぐらいには帰ってこられる。剣術大会は勝ち抜き戦のため途中参加はできないだろうが、最後の方の上位者同士の対戦は見られるだろう。


 



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