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黄昏時に落ちる星  作者: 有間ジロ―
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ドラマ黄昏時に落ちる星 EP8 アナ

 

 ‟あの娘は?お前と一体どういった関係なんだ?”


 部屋を出てからミシルカはレイシャーンを問い詰めた。


 ‟前に話したと思ったけどな。もう四月ほどにもなるかな。国境付近の見回りの帰りに盗賊の焼き打ちにあった村を見つけた”


 ロンズディンと隣国との間を行き来する商隊は多い。道は整備されているのの国境付近に山が多くそこを通過する商隊が山賊に狙われやすい。彼ら自身も護衛を雇うが国でも定期的に見回りをするようにしている。冬の間は雪のために行きかう商隊が減るのだが、代わりに国境付近の村を襲う盗賊が増えるのだ。秋の収穫を終えた時期だからだ。村を全滅させれば次から自分たちの獲物が減るので普通は食料を脅し取るに留めるのだが、村人に反撃されたり、ことさら(たち)の悪い無頼者たちに襲われると死人がでるという悲劇も起こりうる。アナの村に襲ってきた盗賊は若い娘たちを攫って行こうとしたために男たちが抵抗したらしい。アナは攫われていく途中で逃げ出したところをレイシャーンの隊に運よく見つかった。追いかけてきた男たちを逆に追い詰めて盗賊たちは捕らえ攫われた娘たちは村に返すことが出来たがアナは逃げる途中矢で肩を射抜かれて顔にも切り傷を負っていたのでレイシャーンが自分の馬に乗せて王城に連れ帰ってきたのだ。その後は医師に任せ、彼から傷の経過などを聞いていたのだが、その後また別の要件で王都を離れたりしてすっかり失念していたのだった。


 レイシャーンの説明を聞いてミシルカは納得するのだが。


 ‟ふーん。それがお前の武勇伝か。アナという娘もお前の雄姿に惚れ惚れしたことだろう”


 ‟な、何を言っているミシルカ。そんなことあるわけないだろう”


 慌てるレイシャーンをミシルカは横目で見る。


 あの娘の顔を見たか。レイシャーンをみて真っ赤になっていたじゃないか。自分を守って剣を振るうレイシャーンを見て惚れない女子(おなご)がどこにいる。

 ミシルカは心の中でつぶやくとため息をついた。




 ‟兄上、また少しお痩せになったな”


 王太子の寝室から十分離れたところでレイシャーンが話題を変える。


 ‟母上はモレスロントからも高名な医師を招き診てもらっているのだがあまり効果はないらしい”


 ミシルカもそっと目を伏せた。


 ルードヴィックは幼少のころ原因不明の高熱を出してから、急激に体力をなくしその状態のまま一進一退を繰り返しもう十五年以上闘病生活を送っている。王太子であるためにロンズディン最高の医療を施し、また王妃の母国モレスロントは医学が進んでいるのでそこで得られる限りの薬を集め今まで命をつないできた。しかし、最近は高熱を出す頻度が増え、その命はどんどん削られていくように見える。両陛下の意向で彼はいまだに王太子の地位についているが彼が王位につくことは無い、と誰もが思っていた。彼自身も。口には出さなくとも。


 それでもルードヴィックは穏やかな笑みを浮かべ、体調がいい時に訪れる二人の弟達との時間をとても楽しみにしていた。自分の出自を気にして兄ではなく王太子殿下と呼ぶレイシャーンをいつも‟兄上だろう”と優しくいさめ、軍での勤めの話を殊の外聞きたがった。





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