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愛を育てる時間(末っ子3)  作者: 夏目 碧央
9/10

激しく求めて・・・

 久しぶりに、テツヤ兄さんがうちに泊まりに来た。マスコミだかファンだかが家を見張っていたようだが、もう別に構わない。俺たちの仲が良いという事は、否定する気はないから。

 一緒に車で送ってもらった俺たちは、部屋に入ってやっと二人きりになれた。コートを脱ぎ、ハンガーに掛け、振り向くとテツヤ兄さんがすぐ目の前にいた。そして、抱きついてきた。わあ、久しぶりの抱擁!

「テツヤ兄さん。」

俺も抱きしめ返した。ギューッと、強く。すると、何とテツヤ兄さんの方からキスをしてくれた。すっごくドキッとした。しかも、そのまま激しく求めてくる。どうしちゃったんだ?テツヤ兄さん。

 でも、野暮なことは言わない。キスをしながら、服を脱ぎ、テツヤ兄さんの服も脱がせていった。こんなチャンス、またいつあるか分からない。どうやら、長らくこうして二人きりで会えなかった事が、テツヤ兄さんを情熱的にさせているようだ。せっかくだから、これは美味しくいただかなくては。

 キスを繰り返しながら、俺たちはバスルームへなだれ込んだ。シャワーを出し、二人で頭からかぶった後、ボディソープを泡立て、お互いの体に泡を塗りたくった。体中を泡と一緒に撫で回し、撫で回され、二人の呼吸は乱れた。狂おしいほど、愛しい。それは俺だけでなく、テツヤ兄さんもそうで、それが嬉しくて、体が熱くて、頭がおかしくなりそうだった。

「来て。」

テツヤ兄さんのハスキーな声がそう言った。何も考えられない。ただ本能のままに、愛しさと、気持ち良さと、燃えたぎる体に従い、俺とテツヤ兄さんは一つになった。


 「大丈夫?痛くない?」

果てた後、ちゃんと体を洗って、二人で湯船に浸かった。俺の胸に、テツヤ兄さんが寄りかかる。

「大丈夫。多分。」

テツヤ兄さんが言った。そして、俺の手をお湯の中で握った。

「やっと、こうやって手を握れたな。」

テツヤ兄さんが言う。顔が見たくなって、後ろから覗き込んだ。ちらっとテツヤ兄さんが俺の顔を見る。ああ、可愛い。いつもキリリと美しいテツヤ兄さんだけど、今は頬が赤くなっていて、ホンワカしている。俺がじっと見ていると、ニコッと笑った兄さん。

「何だよ、何見てんの?」

笑いながら言う。

「別に。ただ、可愛いと思っただけ。」

言って、俺も笑ってしまう。ずっと兄弟みたいに過ごしてきたのに、こんな風に裸でくっついているなんて、想像出来たか?いいや、ついこの間までは夢のまた夢だった。しかも、今日は最後までさせてくれて・・・感無量だ。

「どういう風の吹き回し?痛いの嫌だって言ってたのに。」

俺が言うと、

「それよりも、レイジと離ればなれの方が嫌だったんだ。」

テツヤ兄さんがそう言った。離ればなれと言うと語弊があるけれど。ほんと、遠距離恋愛をしている人には申し訳ない。でも、すぐ側にいるのに触れられないというのも、けっこう辛いものなのだ。

 俺たちはまた、ベッドで抱き合って眠る。仕事中はまあいい。ちょっと距離を保とうではないか。でも、こうして家で二人きりになれたら。それだけで幸せだから。


 テツヤ・レイジ推しと、カズキ・レイジ推しとのバトルはその後も続いた。会社は傍観を決め込み、マスコミは興味をなくしたようだ。たまにどこかの女性アイドルとの熱愛報道が入る事もある。結局真実は俺たちにしか分からないから、外部の人は色々な噂を立てる。いちいち騒いでも仕方がない。

 そういえば・・・俺たちの仲を知っているのはカズキ兄さんだけだと思っていたけれど、他のメンバーにもバレてないか?今になって、やっとその事に気づいたのであった。


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