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愛を育てる時間(末っ子3)  作者: 夏目 碧央
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それもダメ!?

 テツヤ兄さんがうちに来る事など、今まで何度もあったのに、急にパパラッチが出現していた。テツヤ兄さんがうちのマンションに入る所を写真に撮られて、それがまた、ネットでバズっている。トレンド入りしている。何故だ。

 確かに、ある事ない事書かれているが、実はそれほど遠からず、だ。でも、事務所としては事実無根という事にしたいわけで。そりゃそうだよな。もし俺かテツヤ兄さんが女だったとしても、メンバー同士、いやそうじゃなくても芸能人同士の恋愛騒動は御法度だ。特に俺たちアイドルだし。それに加えて男同士だから、そりゃもう、事務所だって認めるわけがない。それほどアイドルとしては致命的な噂が流れているのだ。

 でも、むしろ男同士だから、恋愛じゃなくて友情だと言い張って、仲良くしていたって大丈夫だと思うのは、俺だけなのだろうか。どうしてあんなに皆、騒ぎ立てるのだろう。言う人には言わせておけばいいのに。

 その答えは、翌日知る事となる。

 仕事に行くと、早速写真を撮られた事を咎められ、

「今後しばらく、お互いの家に行き来するのも禁止だ。いいな。」

と、何と社長から直々に言われてしまった。俺とテツヤ兄さんが呼び出されて。

 うそだろー!つまり、エッチ出来ないって事なのかよ。ただでさえ、仕事場にプライベートな空間はないのだ。近づく事さえ許されないのに、仕事の後でも会ってはいけないなんて。あんまりだ。

 で、落ち込んでいたら、カズキ兄さんが慰めに来た。

「レイジ、可愛そうになぁ。」

でも、ちょっと笑っている。俺はカズキ兄さんを睨みつけた。

「睨むなよ。大丈夫だよ、そのうちまた会えるって。」

カズキ兄さんが俺の肩に手を置いた。

「だけどさ、どうしてこんなに騒がれるんだろ。ファンはともかく、会社の人とか、騒ぎすぎじゃない?普通男同士だったら、そんなに深刻にならなくても、親友のフリしてれば大丈夫でしょ。」

俺が言うと、

「まあ、普通はそうなんだろうけどさ、お前らは特別なんだよ。何て言うか、顔が綺麗すぎて異次元というか、こう、色っぽいが過ぎるというか。」

カズキ兄さんは、手で丸だか四角だかを空間に描きながら、懸命に説明している。だが、よく分からない。

「ね、タケル兄さん。」

通りすがりのタケル兄さんに助けを求めるカズキ兄さん。タケル兄さんも、

「うん、異次元だ。」

と言った。

 テツヤ兄さんと目が合った。すぐ目の前にいる。抱きしめたい。でも、出来ない。ここにもまた、カメラが俺たちの姿を記録している。どうしてだ、何故こうなるんだ。

 俺は頭を抱えた。カメラに撮られているから、顔は笑っているけれども、心では泣いていた。


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