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5 二人の時間


5 2人の時間


レオンハルトがアーネストの部屋へ入ると奥へと促され


「そこのソファーに座ってお待ち下さい。」

と言って、レイカ嬢は2人分のお茶を用意してやって来た。


「レオンハルト様・・・暫くの間、クルミさんを羽交い締めにしておきます。」

「アーネスト様の事は起こして居りますので、少しの間お2人で過ごして下さい。」


そう言うとレイカ嬢は、「失礼します。」と言って私の隣に座り意識を手放した。



   ***


「アーネスト。」


「えっ、レオンハルト様。」


「気分は、悪くないかい?」


「はい。ですが・・・私、レオンハルト様に迷惑をかけてはいないでしょうか?」


「どうしてだい?」


「最近、ボーッとする事が多く・・・記憶も曖昧な時が御座います。何だか毎日が・・・夢の中にいる様で・・・」


「大丈夫だよ。迷惑なんてない。きっと疲れているんだよ。ゆっくり眠れば大丈夫。」

と言ってアーネストの頭を自分の肩に寄せた。

アーネストの髪を一筋掬ってキスを落とす。


「私が側に居るから、安心して眠りなさい。」

と言いながら、頭を撫でた。


アーネストは、レオンハルトの心臓の音を聞きながら、

顔が赤くなかったことが、バレていないかと内心気掛かりであった。


久しぶりのレオンハルト様の優しい声を聞き、温もりを感じる。アーネストはゆっくりと、眠りについた。


アーネストが眠った事を確認し、レオンハルトは抱き上げてベッドへ運んだ。


短い時間の逢瀬ではあったが、レオンハルトはレイカに感謝した。

明日の朝の作戦会議で、お礼をしなくてはと思いながら、そっとアーネストの部屋から出て自室に戻った。



※※※



翌朝、レオンハルトは

「レイカ嬢、昨夜はお気遣い感謝します。」

作戦会議の前にお礼を述べた。


「いえ、私に出来る事は、少ししか御座いませんので・・・」

レイカは恥ずかしさを隠して、控えめに頭を下げた。


気持ちを切り替えて顔を上げ

「レオンハルト様、次のイベントはダンスパーティです。」と言った。


「ダンスパーティとは、新入生歓迎ダンスパーティの事か?」


「はい。そうです。」


新入生歓迎ダンスパーティとは、デビュタントを済ませた先輩達とデビュタント前の新入生。

新入生がデビュタントに向けての練習も兼ねて、先輩達が指導をしながら行われる学園が主催だ。


とは言っても、余程の非常事態がない限りは普通のパーティと変わりない。

将来を担う学生達をその目で確かめる為に、皇帝と皇后というビッグな来賓はあるが・・・

目に止まりたいと思う学生には、緊張の時間だ。


「パーティのエスコートは、レオンハルト様がして下さるのでしょ?」


「ああ、私は婚約者だからね。」


「問題はその後です。ファーストダンスは、レオンハルト様と踊られますが

2番手、3番手とダンスの申し込みがあるでしょう。その殿方とのダンスの順番がそのまま

ルートとして残ります。逆にダンスを出来なかった殿方とはルートが断たれます。」


「ダンスを踊るなとは、言えないしな・・・。」


「クルミさんは頑張り屋さんなので、数多く踊るでしょう。

何より、乙女ゲームのルールを知っています。そのために好感度を上げているでしょうから、

シャルマン様とヘンリー様、そしてエリオット様も確実に残って来るんではないかと思われます。他にも・・・」



笑い事では無いのだけど、クルミ嬢が頑張り屋さんとは・・・言い様だなと思いながら

「当日は私も忙しいと思う。気に掛けてはいるが・・・レイカ嬢が頼りだ。宜しく頼む。」


「出来る限りの最善を尽くします。」と言ってレイカは乙女ゲームの内容をなるべく思い出そうと目を閉じた。










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