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2 婚約


2 婚約



2人は生まれた時からの婚約者である。両親が学園時代からの親友でも有り

子供が出来たら結婚をさせようと話し合っていた。


レオンハルト・アルベルト公爵令息。アーネスト・クレルモン伯爵令嬢。

2人が初めて会ったのは、レオンハルト6才アーネストが4才の時であった。


「初めまして、アーネスト嬢。」まだ少年であるレオンハルトが優しい声で微笑みかけると


「アーネストとお呼び下さい。」とぎこちないカーテシーをした。


その微笑ましい光景に両親達は安堵した。

いくら婚約したとはいえ、それなりの手続きで何時でも解消はできる。

2人の気持ちを優先する予定ではあったけど、仲が良いに越したことはない。


アルベルト公爵家とクレルモン伯爵家、少し家格差はあるが

領地も隣で、2人は幼い頃から親交を育んだ。

誰から見てもお似合いで、幸せそうな2人だったが・・・


レオンハルトが学園に入学する三ヶ月程前・・・辺境の地で戦争が起こった。

その年の作物は不作であり飢餓を心配した先の皇帝は帝国民の事を考え、早急な終息に務めた。

戦には大勝したが、アルベルト公爵は兄である先帝と戦死した。

今の皇帝とレオンハルトは従兄弟にあたる。


レオンハルトの母は気丈な人だったので、領地を代理で管理し纏めながら

レオンハルトにアルベルト公爵の家を継がせ皇帝の助力になれるよう予定通り学園に入学させた。

そして2年後、アーネストも学園に入学をする。


アーネストが入学してから暫く、2人は学園で公認の仲だった。

朝も学園寮から2人で通い、休憩時間も一緒にすごした。

その仲睦まじい姿は、誰もが羨む程に幸せそうだった。


しかし、アーネストの様子が急変する。



   ***


「アーネスト様、今日は学園の帰りに皆でカフェに行きますの。御一緒しませんこと?」


「えっ?ミリア様。でも、レオンハルト様と約束が・・・」


「まぁ、アーネスト様。令嬢同士の付き合いも大切でしてよ?」


「はい。オリビア様。御一緒させて頂きます。」


そうしてシャルロットと、その取り巻き令嬢ミリアとオリビア、4人で町中に出かけた。

4人はカフェに入りケーキとお茶を頂いた。

たわいも無い会話が続く。流行のファッションの事や、人気の令息達の事。

アーネストは、中々会話にも入れず微笑むだけだった。


そして散歩がてらの帰り道、シャルロットが振り向いて口を開いた。

「あら?アーネスト様がいらっしゃらないわ。はぐれたのかしら?」



   ***


「アーネスト!!」レオンハルトが叫んだ。


アーネストは、輩に囲まれ声も出せずに震えていた。

恐怖で足を一歩踏み出す事さえ出来ない。


「何をしている。」レオンハルトは、剣を抜き睨み付けた。


「お嬢さんが道に迷っていたから、助けてやろうとしたんだよ。」

「そうだ、そうだ。」

輩達は自分達のした事を誤魔化しながら、この場を立ち去った。


「アーネスト、大丈夫か?」

レオンハルトがアーネストに歩み寄ると


「レオンハルト様・・・」震えるアーネストは小声で呟いて、そのまま意識を手放した。


「アーネスト様は、大丈夫でしょうか?」少し遅れシャルロット達が駆け寄った。


「シャルロット嬢、心配をかけて申し訳ない。もう大丈夫です。」

レオンハルトは一礼をすると、アーネストを抱きかかえて学園寮の部屋まで連れ帰った。








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