1話 死亡〜そして
「やぁやぁ、どこか痛いところとかないかな?」
「………………」
「せっかく話しかけてるのに無視はつれないじゃないか。」
「……誰?」
今までの人生、女子とまともに会話してこなかった俺に女子っぽく話しかけてきた事に加えて、周囲の光景や突然意識を失った事による動揺からか、絞り出せたのはこれのみだった。
「質問してたのはこっちなんだけどなぁ。まぁいいや、僕はサディエルっていうんだ。神さまだよっ!」
「えーと、神さまが俺になんの用ですかね」
「こっちの手違いがあったんだけどぉ、君死んじゃったんだよねぇ」
「はぁぁぁ??」
いきなりの死亡宣告、そして手違いがあったにも関わらず、悪気のないようなテンションに怒りを通り越して若干の呆れを覚え始めた。
「とりあえずどういう手違いがあったのか、この後どうなるのか答えてもらえるんでしょうね?」
「まぁ君からすれば理不尽に殺されたもんだからねぇ… 流石にそれを知る権利はあるからね」
「いや、まず謝るってことはないんですかねぇ… 俺って一応被害者なんすけど」
「あれ? 謝ってなかったっけ。申し訳なかったよ。」
謝意をほとんど感じなかったが、それを突っ込んでもこの神は態度は変わらないだろうし、時間の無駄だと割り切った。
そして神は語り始めた。俺を殺すことになってしまった経緯を。
「とりあえず君の意識を失う直前にすれ違った子を覚えているかな? あの走っていた女子だよ」
「ゲームしながら歩いてたんで、性別までは覚えてないですね」
「そのすれ違った子がねぇ、この後に他の多くの人間の人生を大きく狂わせる事になるんだよね。ちょっと許容し切れるような量じゃなかったから始末する事にしたんだよ」
「その始末する際に手が滑った的な感じで俺は死んだってことなんでしょうか?」
「んーニュアンス的には違うけど、色んな要因が重なってそうなっちゃったって感じかな」
俺はその要因について全て聞いたがあまりにも長かったので要約すると
サディエル以外にも神が存在する。
他の何名かの神も今回の件の介入を行なっていた。(早い下校時間も他の神の介入の影響だそうだ)
早めの下校により例の女子を始末する際に建物の看板を落とす破壊工作に巻き込まれた。
という事だった。
「まぁ俺が死んだ経緯はわかりましたけど、この後俺ってどうなるんでしょうか」
「こっち側のミスで死んで、はいおしまいっていうのは理不尽すぎるし、今回君の希望にできるだけ近い、僕の管理する世界のどこかに転生って形とさせてもらうよ」
「地球に戻るってことは出来ないんですかね」
「それはどうやっても出来ないんだよねぇ悪いんだけど。んで、どんな世界が希望かな?」
それって最近のライトノベルとかで流行っている異世界転生ってやつだろうか。ゲーマーの俺が燃えないわけがない。
「剣とか魔法のある世界ってあるんでしょうか?」
「もちろんあるよ。君ずっとゲームやり続けてたんだもんね、そりゃそういう考えになるよね。あと他に希望はある?こんな姿とかにして欲しいとかさ」
「レベルの上限とかあるならそれを取っ払って欲しいです! あとはヘルプを下さい。外見とかは正味気にしてないので変える必要はないです」
最初は弱いステータスから始まり、コツコツとレベルを上げステータスを高める、いわゆるMMOが俺は結構好きだったりするのだった。
「へぇ意外だわぁ。てっきり外見よくしてとか、英雄とかのイキリムーブしたいとか頼むと思ってたわ。今まで送った子はそういうのばっかりだったからなぁ。こんな地味な回答君がはじめてだよ。女子とまったく関わりがないとこうなるのかなぁ。まぁ同情してちょっとだけ顔を良くはしてあげるさ」
余計なお世話にも程があるわ。それに成長限界を無くすっていうのは1番のチート系だと思うんだが……やはり女神はこういう知識は疎いんだろうか。
「んじゃある程度決まった事だし、とっとと飛んでもらおっかなぁっ。この後始末書書かないといけないからね」
なんで神が始末書なんて書いてんだ、なんて疑問を浮かべていると、上半身が引っ張られるような感覚をおぼえた。文字通り飛んでいるのだ。
飛び始めてから数分後に紫っぽい色のした門が現れ、俺は吸い込まれてるようにして入っていき、そこで俺の意識は途絶えた。
0話からかなり日が空いてしまいましたが無事1話目投稿出来ました。
中々短いスパンで投稿出来ませんが最大限努力していきたいと思っています。
ほんの時間のある時にチェックしていただき、上がっていれば読んで頂ければ幸いです。
それではまた第2話でお会いできればと