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魔法

建物の中に通されると広めのリビングのような部屋で大きなテーブルがあり、ソファのようなものもあり生活感あふれる佇まいだった。アリーシャに促されるままテーブルへと座る。とてとてとついてくる子供達が気になる。




「トモヤ、ここはね、孤児院なの。」




孤児院、、そうかだから姉ちゃんなのか。結婚してるとか人妻とか何を勘違いしていたのか。恥ずかしい。きっと身寄りのない子供達の中でも彼女は中心的存在なんだろう子供達が彼女に向ける眼差しは愛に満ち溢れてる。少し前の自分を殴りたい。




「だからね、トモヤも記憶が戻るまでここにいていいんだよ。ううん。ここにいて。」




記憶を無くした俺が自暴自棄にならないか心配なのだろう。なんていい子なんだろう。この子は幸せにならなくちゃいけない。いや絶対俺がする!決めた!異世界で派手に冒険や魔王と戦ったらしない!ここでスローライフを送り!彼女達を守ると!そしてなんやかんやあって結ばれたりしてグヘヘ




「姉さん!俺は反対だぞ!父さんに無断でこんな得体の知れないやつを!」



「カイウス!トモヤは記憶がなくて右も左もわからないんだよ!それに父さんだってわかってくれるよ!私たちと同じなんだからトモヤは___」



さっきの金髪碧眼イケメンことカイウスは反対のようだ。なんていうか少し嫉妬感みたいなものを感じる。姉さんを取られるという感じなのか?




「どうしたんだい?みんな?」



部屋に入ってきたのは人の良さそうな白髪の男性だった。きっと父さんと呼ばれる人だろう。




「父さん!姉さんがこいつをここに住まわせるって言うんだ!食事だってままならないのに、人数が増えたら大変だろ!」




「父さん聞いて!トモヤはね、記憶がなくて森の大樹の下で倒れていたの!私たちと同じで無くしてしまった人だから、放っておけないの!」




少し思案して彼は答える。




「カイウス、君の言い分ももっともだ」



「だよな!父さん!」



「だがアリーシャの心を汲んであげたいんだ。私たちは家族だ。助け合えばいい、彼にもだ。彼も家族になるんだから」



「父さん、ありがとう。」




ありがとうございます。心が暖かい。

異世界に来て最初に出会ったのがこの人たちでよかった。人との繋がりネットが広がった世界ではこんなことはありえない。だからこそ俺は嬉しかった。




「ミリアだよ!」



「シゲルだ!」



「アイラって呼んで!」




ちびっ子達が挨拶してくれる。男1女2だな。

みんな元気という言葉がぴったりな子供達ですぐ仲良くできそうだ。子供はかわいい。




「カイウスだ。」




「私はミゲル。気軽に父さんと呼んでくださいね。」



「アリーシャだよ!よろしくね!」



カイウスはぶっきらぼうにまだ認めてないようだ。ミゲルさん、、父さんは優しい柔和な笑顔を浮かべて、アリーシャはもう知ってるよ可愛いなほんとに




「トモヤです!お世話になります!よろしくお願いします!」




























そして俺は今中庭にいる。紹介も終え施設の案内も済んだ所、父さんが、、




「さて、早速仕事をしてもらおうかな。住む以上は働いてもらうよ、働かざるもの食うべからずだからね」




労働つらいよおお、やだよおおお。社畜になっちゃうらあめめめめめめ



おし!弱音は吐き切った!働くぞ!食い物もままならないと言っていたんだ、少しでも彼らのためになりたい。なんだってやるぞ!!アリーシャに案内され中庭にまで向かう。




「トモヤにやってもらうのは薪割りだよ!」




「おお!スローライフっぽいぞ!」




スローライフ?と首を傾げるアリーシャ。

やったことないけどいけるかな?帰宅部オタク舐めんなよ!やったるで!!




「そうえば?トモヤは魔法は使えるの??」




「魔法??」




魔法?______キタコレ!

定番中の定番!!魔法が使えれば怖い冒険者がきたって追い返せるぞ!それに風の魔法とか使ってね、スカートをさ、ね?羽衣との再会は近いかも知れない。




「やっぱり、そこまで忘れてるんだね」




お!記憶喪失便利だな!これアリーシャの勘違いで始まったけどかなりいい言い訳だな!この世界の常識を知らなくても記憶喪失で一発解決だし!




「すまないアリーシャ。忘れてるみたいなんだ。教えてくれないか?」



「うん!!魔法はね、体に流れる生命力という魔力を使って炎や水を生み出したり操ることを言うんだよ!」



「大きく分けて五大属性で火、水、風、地、雷。あと光と闇があるんだけどこの二つは滅多に使える人はいないかな」



「おお!魔法はみんな使えるものなのか!!」



「うーんとね、それが生まれ持った時から使える魔法は決まっててね自分のもつ属性の魔法しか使えないの」




使えない魔法もあるのか、結構シビアな世界だな。



「でも、みんな魔力は持っているの!生命力だからね!だからこそ使いすぎは厳禁なんだけどね!」




「なるほど、その属性みたいなのはどうやってわかるんだ??」



待ってて!と小走りで家に走り、手に何かを持ち戻ってくる。走る姿もキュートです。



「これ持ってみて!」



手渡されたのは透き通った虹色に輝く石だった。




「それを持ってね!うーんとね!ぐわーっとね!パワーを込めるんだよ!頑張って!」




「説明やばいだろ、でも身振り手振り可愛すぎるから許す」




「かわいいって!年上をおちゃくらないの!!もう!」



照れる姿がまたかわいい。でも、マジで感覚派すぎるアドバイス。アホの子やこの子は。

ただこの石を持った時から何か体の中から溢れ出る魔力を感じていた。石をグッと手に持ち直し目を閉じる。体に流れる何かを手に集中させる。すると石は光出す。




「わあ、綺麗」




光だし、一瞬目が眩む。

瞑っていた目を開け石を確認する、そこには_____




「うん??」




何も変わらない石があった。




「ありゃ〜」




気まずそうな顔を浮かべるアリーシャ。

まさか、、やめてくれ、違うと言ってくれ、




「無属性です。魔法は使えないかな、ははは」



グハッ!?吐血!死んだ!異世界来た意味ないじゃないかよ!魔法使いたかったよおおおお!おれのパンチラ作戦がああああああ!!やはり神はいなかった!!




「グス、アリーシャ俺つらいよぉ、慰めて」




「えっとね!でも魔力流した時ね!光ったでしょ!あんなに光る人見たことないんだよ!魔力量が多い証拠だからね!すごいよ!」




慰めがつらい。しかもアリーシャは純度100%の慰めってわかるからよりつらみです。でもありがとうスローライフ希望に拍車がかかりました。この世界は俺TUEEE系ではなく俺YOEEE系でした。




「ちなみにアリーシャは何の属性なの?」




「、、光、、ハハ」




レア属性やないですかい。めったにいないんじゃないんかい。


さらに話を聞くと、属性を持ったものが持つと火なら赤色に水なら水色と属性に合った形に変色するらしい。


五大属性は主に自然の力を利用して攻撃などに使うようだ。光は主に回復魔法や補助魔法がおおく、闇は幻術などの小賢しい魔法が多いらしい。でも、この世界には意外と魔法を使えない人は多く無属性も珍しくないらしい。



「無属性魔法とかないのかよ、立ち直りたい。アリーシャ光属性だし回復魔法使って直してよ」




「ええ!?治せるかな!えい!!」




冗談で言ったのだが、近づいた彼女がヒーリングと呟くと彼女の手から溢れ出す光。




「おおお!!すごい!!綺麗あったかい!」




どこも悪くないから治った感じはしないがはじめての魔法と言う物に興奮を抑えられない。




「トモヤ治った?」




「盗まれたよ」




「ええ!?何も盗んでないよ!」




「アリーシャはとんでもない物を盗んで行きましたよ、僕の心です」




「大丈夫??ビンタした時に頭打っちゃってたかな??」




とっつぁん!わかったよあんたの気持ちが!!




「ハハハ!あんた無属性かよ!ダサいな!」




といきなり声をかけてきたのはカイウスだった。

おいおいいきなり罵声とはお兄ちゃんおこだよ、イケメンには基本厳しいからね、ぼくちんは。




「カイウス!いきなり失礼じゃない!」




「家族なんだろ?だったら失礼もなにもないよ、本当のことを言ったまでさ。石をこっちによこせ!」




本当の事を言ったら傷つく人もいるんだからね!!こ!こ!に!!豆腐メンタル舐めんなよ!

石を投げ渡す、手に取ったカイウスが魔力を込めると石の色が変わる。そこには____




「黄色と緑?」




「そうだ!僕は2属性持ちだ!」




なにそれ!!二つ持ってるとかあるの!?羨ましすぎんだろうがい!イケメンで2属性待ちとかうざいなこいつ!




「2属性持ちの、カイウスはこの街きっての魔法使いなんだよ」




「フッ!」




ドヤ顔で鼻で笑いやがった。ムカつくけど我慢我慢。こいつと喧嘩したって誰も得しないからな。




「カイウスだっけか?すごいんだな、今度魔法の事教えてくれよな。」




「ッ!」




効いてる効いてる、こういうタイプは反論するとさらに調子に乗るタイプだからな。逆に興味ないぐらいのテンションのが効くんだよな。




「アリーシャ!はやく薪割りしちまおう!」




さらにカイウスを放置。効くぜこれは。



そうだねとアリーシャが薪割りの場所に案内してくれる。こうやってやるんだよとアリーシャにお手本を見せてもらい挑戦するが中々うまくいかず、アリーシャが俺の体に手を触れて体を使うんだよと。

アリーシャの手柔らかいな。グヘヘ




「ッ!姉さんから離れろ!ケダモノ!!」




風が吹き荒れ、カイウスの手に収縮し放たれる__

おいおい!俺だけじゃなくアリーシャにもあたるだろうが!?やばい!!



咄嗟に彼女を抱きしめ、飛ぶ______





飛ぶ??飛んでるぞ?俺?




「抱きしめられてる?、、あれ?高い?、、キャアアア!!」




2階建ての家よりも高く飛んでいた俺は急降下、やばい、着地だ。なんとしてでもアリーシャを守る。そのためだったら俺はどうなってもいい。足の1本や2本くれてやる。




大きな音を立てて着地する。すぐに来る痛み、、、痛くない。少し石段をジャンプした程度の衝撃なんだこれ??




「、、、トモヤ、、離してもらっていい?」




「ごめん!?」




何故か赤面のアリーシャ、そんな嫌だったか。いや当たり前かあんな高く飛んで急降下怖いに決まってる。すまない。




「トモヤ、助けてくれてありがとう。それにやっぱりトモヤ凄いんだよ!」




怒ってなかったかよかった。凄いってさっきのか?




「あれはなんだったんだろう?」




「さっきも言ったけど魔力は生命力でもあるのね、だから魔力量が多い人は身体能力も高くなる。あんだけジャンプできたのはトモヤの魔力量がとてつもなく多い証拠だよ!!」




_________ってことはやっぱり?




「俺TUEEEE系か!!!」



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