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死のトリル
俺は音叉 共次。トリルが得意な17歳の音ゲーマーだ。
トリルの練習をする内にトッププレイヤーの仲間入りをしていた俺は先日、日本一の音ゲーマーを決める大会に出た。決勝まで勝ち進み、決勝の課題曲はトリルが大半を占める曲。自身でも優勝を確信していた。
…しかし、そうはいかなかった。トリルが速すぎたのか遅すぎたのか…missを連発。結果優勝を逃してしまった。
絶望した。これ以上無いコンディションであり、もう二度と無いチャンスだったのだ。
その日、俺はトリルの練習をした。何千、何万、何億と叩いた。指に激痛が走ろうとも叩いた。痛みよりも優勝を逃した悔しさの方が大きかったのだ。
トリルの練習に夢中になっていた俺はある事に気付かなかった。俺のトリルが速く、そして重いため家が沈んでいた事に。
後悔に囚われた俺はそれに気付かずトリルを叩き続ける。ただ只管に。
そして俺は家ごと地中に埋まった。しかし気付かずトリルを叩き続けた。その結果…
俺は酸素不足で死に至った。