表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/36

22話

視点 青葉 陽毬

    ↓

   天上 優

    ↓

   ???

「クッ、ハァ!」


 私は最後のホムンクルスの首を斬り落とした。これで計10体程、他にはもういない。ホムンクルスではなく人だった場合、私は殺すのを躊躇っただろう。


「一体どこにいるの? 雫」


 私はそう呟く。


「2階にもいないってことは、あとは1階」


 もう私はすでに5階、4階、3階を約15分で済ませた。そして今2階の探索も終了した。


「急いで探さないと」


 私は1階の探索を開始した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あぁーなんか流したなお前。しかも俺の能力が効かないか」


 そう言いながらアヴァルは立ち上がる。


 やはり僕との魔力差は大きいか。


「お前も()()()か」

「能力者?」

「ああ、魔術とは違った力を持つ奴のことを指す言葉だ。ソウル・リリースは能力よりかは固有魔術だ。俺やお前が使っているものは魔力を使わないからな。ちなみに俺のは特定の相手の魔力を暴走させて肉体破壊をすることができる」


 つまり、奴が使っていたのは魔術じゃなくて能力。でもなんで僕へのダメージはあまり無かったんだ?


「お前も俺とほんとに似てるなぁ。お前の能力も相手の魔力量で威力が変わるんだろ。俺もそうなんだがなぁ、お前の魔力が小さすぎたせいで殆ど効果はなかったようだがなぁ」


 あ、バレてた。ていうか僕の魔力が小さすぎたからか……なんか悲し!


「んぁぁそうなると、俺はあんまり魔術得意じゃねぇから、そだなぁ、"ストーンドリル"」


 手を僕にかざすと、その手から超高速回転をしている石が僕に向かって射出された。それもかなりの速度で。


「なっ⁉︎」


 僕はそれをギリギリ避ける。そしてその石はそのまま僕の遥か後ろにある壁を貫通した。


 早い、それに破壊力がありすぎる。これで不得意?


「よく避けたなぁ、じゃあ連発ならどおだぁ」


 連発だって⁉︎


「"ストーンドリルラッシュ"」


 アヴァルが言った通り、奴のかざした手の平から、高速回転の石が何発も飛び出してきた。


 速い! 避けられるか⁉︎


「クソォォォォ!」


 僕は変な咆哮を上げながらアヴァルに向かって走り出す。高速で飛び出てくる石を反射の加護のサポートで避ける。


「ンッ、クッ」


 だが所詮は初級、完全に避けられるわけがなく、避けきれずに何度も体を切られる。


 神経を研ぎ澄ませ! 集中力とか精神力が凄い疲弊するけど!


「何⁉︎」


 アヴァルが僕の動きに驚く。


 あともう少し……もう少しで届く!


 そして、


「あ゛ぁっ」


 石が僕の左脇腹を貫通した。血が腹部から吹き出し、床にばら撒かれる。だが、


「まだだぁ!」


 僕は能力を使い治す。勿論貫かれた痛みは消えないので、そこは耐える。


「回復しただとぉ⁉︎」


 この清掃服弁償しなきゃ。


 もうアヴァルは目と鼻の先、僕は神経をさらにフル稼働させて石を避けていき、とうとうアヴァルの目の前に来た。


「クソがぁ゛」


 アヴァルは魔術を使うのを止めると、僕に渾身の蹴りを入れようとした。僕はその一瞬あることに気がついた。


 大振りだ。大きく脚を回しているということは、


「何っ⁉︎」


 カウンターを狙える!


 僕はその脚を屈んで避け、拳を作る。アヴァルは僕の動きなかなり驚き、対処しようとするが、


「もう遅い!」


 僕は右拳をアヴァルの顔面に叩き込んだ。そして、能力を使い、細胞を暴走させる。魔力が少ない今なら、能力がさっきよりも効く筈だ。


「グァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!」


 殴りつけられたアヴァルは、後ろに大きく吹き飛び、床に自分の背中を擦り付けた。そして、目を白くして気絶した。


「はぁ、はぁ、あ、アリアさん!」


 アリアさんが部屋から出てきた。


「ウッ、クッ」


 まだ痛がっているアリアさんに僕は走って近づく。


「まだ動かないで。止血したからって、また出る可能性だってあるんだよ」

「……そ、そんなことよりも、貴方は大丈夫ですか? どうやら倒せたようですね」

「とにかく腕を見せて、再生するから」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「よし、第二段階終了。あと少しで完了する」


 完了まであと15分、このままいけば、彼女は我が組織のもの、これで、


「そんなことさせない」

「……誰だ?」


 出入り口の方から声が響く。その扉から金髪の少女が剣を携えて現れた。


「まさか1階の部屋に結界を張ってカムフラージュしていたとはね」

「アヴァルめ、1人逃したな」

「雫を返してもらう」

「無駄だ、もう解術をしても間に合わん」

「だとしても止める」


 少女は剣を向ける。


「……そうか、なら死守する」


 これは全て組織のためだ。


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ