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12話

視点 天上 優

    ↓

   茅野 雫

「はぁぁぁ!」


 1人の相手の顔面目掛けて僕は拳を放った。しかし案の定、僕の攻撃は避けられ、


「グァッ」


 逆に蹴られた。

 その体は、思いっきり後ろに投げ飛ばされ、本棚に衝突する。


 痛い。


 三原君以外の2人は、僕に対して未だに剣を向けている。警戒を怠っていないようだ。


「はぁ、はぁ、まだだ」


 これは腕を1本持っていかれる覚悟で向かわなければならない。そうじゃなきゃ、茅野さんは助けられない。それに目の前にいる人達に時間はかけられない。だから、あの能力を使う。


 僕は頭の中で動きを決めると手に付けていた手袋を外し、再び駆け出した。


「まだ来るか」


 2人のうち1人が剣を真上に上げながら斬りかかってきた。


 縦切りか、なら、


「てゃぁぁ!」


 思いっきり振り下ろしてくる。容赦など無い本気だ。

 僕はそれを両手を合わせて受け止めた。


「何⁉︎」


 この世界の人は、白刃取りを知らないようだ。


「はぁ!」


 僕は挟めた刃を思いっきり振り払い、その勢いに乗り体を右回転。回転しながら右手に拳を作り、その勢いを利用して思いっきり右拳を払った。


「グェッ」


 拳は見事に相手の右頬にヒット。その瞬間、能力を使い、彼の細胞を暴走させる。


 これで顔面麻痺、少し眠っててくれ!


 そのまま相手は僕の拳の勢いに任せて横に吹き飛び、動きを止めた。


「何だと……」


 三原君が口を開く。


「流石に君達は、武器を持った相手との戦闘には慣れてるけど、僕みたいに拳しか使える武器がない相手との戦闘には不慣れなようだね」


 僕の言葉に苛立ちを覚えたのか、もう1人の大柄な人が僕に向かってかけてくる。


「調子に乗るなよ!」


 武器は片手斧、破壊力が強いから白刃取りは当たり前だができない。

 僕にはあのパワー型への対処は難しい。


 ブンッ、ブンッと斧が振られるのを僕はただ避ける。


 そして、その間に、


「行くぞ!」

「や、やめて」


 三原君が茅野さんを外に連れ出した。

 

 まずい! このままだと茅野さんが!


「何よそ見をしている⁉︎」

「クッ」


 しかしこの相手は予想以上に素早い。避けるだけで精一杯、たが、


「目を眩ませれば」


 僕は相手が横に振ってきた斧を屈みながら避け、相手の顔付近に右手の平を送る。

 素早いこの相手はこの状況で殴ろうとするよりも早く斧を再び振るだろう。だから、


「吹き飛べ、ンッ!」


 自分の指を能力を使って爆散させる。

 

 僕自身に能力を使う場合は、自分の能力なので抑制力が働かない。それを利用したのだ。


 正直にとても痛い。でもあの時のように無理矢理引き剥がす訳ではないので、まだマシな痛みだ。

 

 爆散した血は相手の顔に飛び散る。僕にも来たが、目を瞑っていたので目には入らなかったため回避できた。だが相手の目には僕の爆散した血が入ったようだ。 


「ウォッ⁉︎ グァァァ!」


 相手は武器を落とし目を抑える。

 外道な技だが、今は綺麗汚いの問題ではない。

 僕はついでに相手の顔面を殴り、能力を使って倒した。


「か、茅野さん!」


 指を再生させ、2人を追いかける。

 恐らく三原君が向かっているのは校門だ。ならまだ間に合う。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「早く来い!」

「や、やめて!」


 私は彼の腕を振り払った。


「私は貴方とは行かない! もうやめて!」

「なんだと、茅野! お前は必要とされているんだぞ!」

「だとしても、訳の分からないことに必要とされたくない! 今の三原の行動からは、必要というより利用するとしか考えられないよ!」

「か、茅野、お前!」


 三原君は私に剣で斬りかかろうとする。

 私はそれを見て目を思いっきり瞑る。


「ンッ」


 だが、


「ハァァ!」

「グッ」


 今の音に違和感を覚えた私は目を再び開く。

 すると三原君の顔は横から飛んできたであろう拳により歪められていた。


「ウァァァ!」


 そして横に吹き飛ばされる。


「茅野さん! 大丈夫ですか?」


 私を心配する顔が現れる。天上君だ。


「天上君⁉︎」

「よかった無事だね」


 吹き飛ばされ地面に倒れ込んでいた三原君は起き上がりながら、


「な、なんでお前が、まさか倒したのか⁉︎」


 と驚きの声を出す。

 

「あ、ありえない。なんでだ」

「三原君、君はもう終わりだ」

「な、なんだと?」


 すると、校舎の方から先生達が駆けつけてきた。


「ファ、ファルナ先生?」

「遅くなってすいません茅野さん、天上さん」


 駆けつけた先生はファルナ先生含め7人だ。


「もう、やめなさい。三原さん」

「くそ、なんでだ、なんでだ」 


 三原君はそう唸る。


 その後、三原君含めた3人は取り押さえられた。


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