09.Sランク冒険者を軽く退ける
俺たちはあっという間に、獣人国の入り口までやってきた。
深い木々が立ち並ぶ中、鎧を着込んだ犬の獣人兵士が、国境をガードしている。
「お帰りなさいませ、神獣様、ミント様」
兵士のひとりがミントたちにあいさつをする。
「無事、宮廷医様をお連れいたしました」
「おお! ではあなた様が、神獣様の命をお救いになったという、恩人様でございますかっ!」
兵士達が目を輝かせ、俺を見てくる。
近づいてきて、俺の手を握って、ぶんぶんと振る。
「我が国へようこそ! 国民一同、あなた様を歓迎いたします! さぁ、どうぞ奥へ!」
と、そのときだった。
「おいおいおい! ちょっと待てや!」
柄の悪そうな男達が、俺たちに近づいてきた。
武器を持ち、防具を着込んでいる。
兵士ってがらじゃないな。
「なんだおまえら?」
「ハッ! オレ様たちを知らねえだとぉ? どこの田舎者だてめえ?」
リーダーらしき男が、俺を見て鼻を鳴らす。
「オレ様達はSランク冒険者パーティ【灰色の狼】だ!」
「はぁ……冒険者が何のようだよ?」
王都にも冒険者ギルドはあった。
だが俺は獣ノ医師、冒険者の実体はよくわからん。
「決まってんだろ、この畜生どもの国に用があんだよ」
どうやら獣人国に入ろうとしたらしい。
「獣人国は魔石が豊富に取れる。それを売ればがっぽがっぽの大もうけ! だがそこの犬畜生に【人間は入れない】って追い返されてな。そしたらてめえは入ろうとするじゃねえか!」
なるほど、だから突っかかってきたのな。
「この御方は大切な客人なのです。あなた方のような無礼者と同列に語らないでください」
ミントが嫌悪感まるだしにして言う。
「はぁああ!? だーれが無礼者だ畜生風情が!」
リーダーがドンッ! とミントを突き飛ばす。
「きゃっ」
「こうなったら力尽くで入ってやるぜ!」
リーダーが剣を抜いて、ミントに斬りかかる。
ピタッ……!
「やめとけ」
「なっ!? て、てめえ! オレ様の剣を……受け止めただと!?」
俺はやつの剣を指でつまんでいた。
「ば、バカな!? 隼の剣と評された高速の剣を、どうして受け止められるんだ!?」
「いや隼の治療とかもするからさ。目はいいんだよ」
野生動物たちは基本、人間の言うことを聞いてくれない。
動いている彼らを追っかけたりしているうちに、自然と体力や動体視力も強化されていったんだ。
「くっ! このっ! け、剣が動かねえ! なんつー馬鹿力!」
「え、そうか? そんなに力込めてるつもりないんだが」
グッ……! と指に力を入れると、刃が粉々に砕けた。
「ば、バカな!? 鉄の剣を指で砕いただと! な、なにもんだおまえ!?」
「ただの医師だよ」
「ふざっけんな! くそっ! やっちまえおまえらぁ!」
冒険者たちが殺気立ち、武器を手にする。
「仕方ない。【麻痺】」
麻痺スキルが発動し、冒険者全員が硬直する。
「そ、んな、あ、ありえ、ない! Sランクを一度に麻痺させる、だと! 高位の、魔法使いだって、こっちにはいるのに!」
「魔獣用の強めのやつだ。死なないよう調整してあるが、半日は動けないよ」
「く、くそぉ……」
倒れ伏す冒険者たちと、そして俺をみて、ミントが歓声をあげる。
「さすがですジーク様! 悪漢たちを見事に撃退してみせるとは!」
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