78.転移門の作成、そして帰還
俺が国王をぶっ飛ばしてから、数日が経過した。
ある日、俺はサクラの城の庭で作業をしていた。
「魔王様。何をなさっておられるのですか?」
鬼の姫サクラが、しげしげと、俺の作ったものを見上げる。
「魔王国とこことを行き来できるよう、【転移門】を作っているところだ」
「え、えええ!? て、転移門ですかぁ!?」
サクラがすっとんきょうな声を上げる。
「ああ。その方がわざわざおまえ達が引っ越しする必要ないだろ?」
国王撃破後に、俺は鬼や吸血鬼達から、是非配下にしてくれと頼まれた。
もちろん、俺は承諾。
仲間が増えることは良いことだからな。
魔王国とこの極東の島とをつなげるべく、こうして俺は転移門を作ってる次第だ。
「し、しかし魔王様……転移門とは、迷宮でよく見るあれですよね?」
「ああ。くぐれば一瞬で出口まで戻るやつ。あれを参考に俺オリジナルで作ってるところだ」
「ですが……迷宮は神が作り上げたとされているもの。転移門は特にその仕組みが解明されていないはず……」
「え、仕組みなんて単純だろ。まあ理屈はわかってたんだけど、それを作るだけの力はなかったんだよね今まで」
だが俺は救世ノ王となったことで、解明したそれを作り上げる力を手に入れた。
「ちょ、ちょっと待ってください! 転移門の仕組みを理解したですって!?」
「おう。随分前にな。妹の学校の自由研究として調べたんだけど……なんか驚くようなことあったか?」
ぽかーんとしていたサクラ。
だが感心したようにうなずく。
「魔王様ならば神が作りし謎を解明することくらい容易いのですね。さすが魔王様です」
ややあって、俺は2本のポールのようなものを、城の敷地内に立てる。
サクラ兄やシズルたち鬼、屍竜にされていたドラゴン、吸血鬼たちが物珍しそうに集まってきた。
「そんじゃ、今から転移門を起動するぞ」
俺はポールに触れる。
すると、2本のポールの間に、水の膜のようなものが発生する。
「おお! う、動いたぞ!」
「魔王殿、このあとどうするのですか?」
「普通にここをくぐるだけだが」
俺はひとり、ゲートを潜る。
視界が揺らぎ……そして、魔王城の前までやってきた。
「に、兄さん!?」
妹のチノが、転移門の前に立って驚いていた。
「凄まじく高位な魔法の反応があると思って調べに来たら、見慣れないものがあるし……もしやと思っていましたが……やはり兄さんでしたか」
「ああ。転移門だ。俺が作った」
俺の後ろから、鬼達がぞろぞろと現れる。
「す、すげえ! 本当に別の場所に転移してる!」
「迷宮以外で転移門を作った人なんて、前代未聞なんじゃないですかっ!?」
「「「さすがです魔王様!」」」
感心する鬼達。
一方でチノが彼らを見やる。
「あの方達は?」
「鬼とか吸血鬼とか。俺の部下になりたいっていうから、連れてきた」
「「「よろしくお願いします!」」」
頭を下げる鬼達を見て、チノはうんうん、と感心したようにうなずく。
「さすが兄さん。あらゆる事件を鮮やかに解決してみせるだけでなく、人々の尊敬を得て民を増やすなんて。私はあなたの妹であることを、とても誇りに思っております」
ふふっ、とチノが微笑む。
『ジークぅううううううううう!』『兄貴ぃいいいいいいいいいいい!』
地竜のちーちゃんや火竜たちが、俺の元へと駆け寄ってくる。
「兄さん、あいさつを忘れてますよ?」
「おっと、そうだったな」
俺は大事な魔王国の国民達に向かって、言う。
「ただいま」
「「「「おかえりなさい、魔王様!」」」」
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