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72.国王、村人から食料恵んで貰えない



 時はジークが鬼の住む国へ渡る前までさかのぼる。


 王国内での出来事だ。


 すべてを失った国王は、崩壊した王国をふらふらとさまよい歩いていた。


「ちがう……わしのせいじゃない……わしは悪くない……」


 ブツブツとつぶやきながら、国王はとある村を訪れる。


 そこは小規模な村だった。

 王国が崩壊した後も、自分たちで家畜を飼い、農業を営むことでなんとか自給自足をしているような村だ。


「おおぉい! 者どもぉお! 国王が来てやったぞぉおおおお!」


 村に入るなり、国王は声を荒らげる。


 近くを歩いていた村人達が、不審そうな目でこちらを見ている。


「何をしているのだクズどもがぁ! 王がわざわざ来てやったのだぁ! さっさともてなせボケがぁ!」


 ……自らのせいで王国崩壊を招いた。

 その事実を彼は受け入れられなかった。


 その結果どうなったかというと、ジークに全ての責任をなすりつけ、自分は被害者だ。


 ……と自ら思い込むことで、なんとか自我とプライドを保っていた。


 だが悲しいことに、現在の荒廃をまねいたのが国王であることは……広く知られているのである。


「王が腹を空かせているのだぞぉ! 飯を出せ! でなければ死刑だぁ! 死刑にしてやるぞぉ!」


「ふざけんな!」


 村の若い衆たちが、みな瞳に怒りの炎を宿しながら近づいてくる。


「食いもんなんかほとんどねえよ!」

「てめえのせいで家畜を失い、ロクに作業ができねえんだよ!」


 魔法やスキルを使えぬ一般人にとっては、家畜の存在は必須だった。


 獣は移動手段、農具の運搬、そしてなにより食料となる。


 村人達の生活を支えていた獣たちがいなくなったのだ、彼らが貧困にあえぐ事態になるのは必定だった。


「ふん! それは貴様らが愚図なだけだ! 魔法もスキルも使えぬ劣等種どもがぁ!」


「なんだとぉ! てめえ!」


 ばきぃっ! と国王は村人に殴られる。


「お、王になにをするのだっ!」

「なーにが王様だ! 今の酷い状況を招いたのは、全部てめえの責任じゃねえか!」


 いきり立った村の若い衆たちに囲まれ、王は後ずさりする。


「き、貴様! 国王に手を上げてただですむと思うなよ! 極刑だぁ!」


 だが村人は呆れたようにため息をつく。


「もう国なんて存在しないんだよ。おれらを捕まえてどこにつれていって、なにをするってんだよ」


 捕まえる騎士もいなければ、法を備えた国家そのものが消滅したのだ。


「ほんと、【無能王】のせいでこっちは良い迷惑だよ」


「む、無能王……だとぉ……!?」


 村人達があざ笑うかのように言う。


「そうだよ。みんなあんたのことそう呼んでるぜ? 王国崩壊を招いた、クズで無能の駄目人間だってさ」


「ち、ちがう……ちがうちがうちがう! 王国を壊したのはわしのせいじゃない! わしは悪くない、悪くないんだぁ!」


「うっせえ!」


 村人達は鬱憤を晴らすかのように、ボコボコに国王を殴る。


「ま、待て! わ、わしは王だぞ!」

「王はいねえんだよ!」「食い物なんてわけてやるかよ!ばーか!」「なにがもてなせだ、ふざけるのも大概にしろ!」


 国王は自国の民である村人達から、すっかり信用を失っていた。


 むしろこの事態を招いた大罪人ちょうほんにんとすら思っている様子だった。


 ボロ雑巾のようになった国王は、村人達の手によって、外に放り出される。


「二度とおれらの村に来るんじゃねえぞ」


「う、うう……待って……食い物を……恵んでくれ……腹が減って……死にそうなのだぁ……」


 倒れ伏す国王は、村人に手を伸ばす。

 だがその手を掴む者は誰も居ない。


「他のヤツならいざ知らず、戦犯たるてめえに食い物を恵んでやるやつなんざ、この国にはもういねーっつーの」


「そ、そんなあ~……」


「あばよ。どこぞで野垂れ死ね」


 村人達は立ち去っていく。

 ひとり残った国王は、惨めに涙を流す。


「ちく、しょぉ……ちくしょぉ~……どうして、こんな目に……くそ、くそ、くそぉ~……」


 国王は心身ともボロボロになりながら、うずくまって泣くのだった。


「その恨み、晴らしたくないか?」

【※読者の皆さまへ とても大切なお願い】


「面白い!」

「続きが気になる!」

「もっともっと国王たち『ざまぁ』されろ!」


と思っていただけたら下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に変えて、作品への応援おねがいいたします!


面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちで全然かまいません!


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★1巻11/15発売★



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「他のヤツならいざ知らず、戦犯たるてめえに食い物を恵んでやるなつなんざ、この国にはもういねーっつーの」 ⇒「もう国なんて存在しないんだよ」とか言ってるのに、「この国にはもういねー」とか…
[一言] そろそろざまぁは満腹なので ざまぁされた後の王様に転生した中年日本人男性の話とかどうぞ。
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