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61.新米魔王の街づくり



 俺が建国を宣言してから、1週間ほどが経過した。


 元魔王の城にて。


「はぁ……」


 王の使っていた部屋の玉座に、俺は座っている。


「どうしたのです、兄さん。浮かない顔をして」

「いや……今更だけど、大それたことしたなってさ」


 魔物と人が共生する、新しい国を作る。

 言うのは簡単だ、けど実現させるためには、多くの問題がある。


「何を不安がっているのです? 兄さんなら実現可能ですよ」


 自信満々に、妹のチノが言う。


「他の有象無象と違い、兄さんは特別な人間です。絵空事と笑われるようなことでも、兄さんならばできます」


 俺は立ち上がって、窓の外を見やる。

 魔王城の敷地には、凄まじい数の魔物たちが集結しだしていた。


「兄さんのうわさを聞き、各地からぞくぞくと魔物たちが集まってきてますね。さすがです」


「マジかよ……このまま増えてきたら、この国パンクするぞ。住むところも限られているし」


 俺が抱えているのは、魔物だけじゃない。

 王国から流れてきた農家さんたちや、他国からやってきたエルフや獣人たちもいる。


「ないなら作ればよいではないですか?」

「そりゃ、まあ。しかしこの数収容できるほどのものを作れるもんかね」


 もう、とチノがため息をつく。


「兄さんはもっと自分に自信を持ってください。あなたは世界を救う力が、あるのですから」


 魔王を襲名したことで、俺は【救世ノ王オーバー・ロード】と言う称号を得た。


 今までとは比べものにならない、とてつもない力であると、習得した瞬間にわかった。


「ではさっそく、魔王様としての初仕事をしにいきましょうか」

 

 チノは俺の体に抱きついて、転移魔法を使う。


 俺たちがいるのは、魔王城の上空だ。

 城下には数多くのモンスター達がいる。


『見ろ、魔王様だ!』『魔王様ー!』『呪い解いてくれてありがとー!』


 わー! と歓声を上げる。


 魔王城以外に建物はない。

 土地と空気は、始祖の呪いが発生させていた瘴気(人体に有害なガス)で濁りに濁っている。


「さぁ、魔王おにい様♡」

「……そうだな」


 一国の王になるんだ、いつまでも及び腰のままじゃいけない。


「よし、ここを……【魔王都】として、都市を造る。まずはこの瘴気を払う」


 パンッ……! と俺は柏手を打ち、最強の治癒魔法【神の手】を発動させる。


 俺を中心として、強烈な光が周囲を照らす。


 それは空を、大地を、そして海を浄化していく。


『瘴気が消えたぞ!』『あの濃度の瘴気を一瞬で浄化するなんて!』『さすが魔王様だー!』


 うぉお! と歓声が上がる。


「どうやら魔王国の全土の瘴気を消したみたいです。お見事です♡」


「よし、次は整地だ。チノ、転移を」


 俺は城壁の外へと転移してもらい、両手を地面につく。


 カサカサで、栄養のない荒野が広がっていたのだが……。


 ずぉおお! と瞬く間にみずみずしい大地へと代わり、牧草など草が生える。


 でこぼこな大地を平らにならし、亀裂などは【再生ヒール】の力でなおす。


「すごいです兄さん。土地すらも回復させるのですね!」


「ああ、そんでもってラストは!」


 俺は両手に魔力を込めて、【錬金】を発動させる。


 一瞬で地面が盛り上がり……そこに広がっているのは、レンガでできた広大な都市だった。


 綺麗に整った町並み、民を守る外壁も常備している。


『な、なんだ今のはぁ……!』『すっげー! 瞬く間に巨大な都市ができちまったぁ!』『さすが魔王様! すごすぎるー!』


 わぁあああ……! とモンスター達が大歓声をあげた。


「ふぅ……これだけ魔力使ったのに、まったく枯渇する気配がないな」


「ふふっ、もともと兄さんにはこれくらいできるポテンシャルを秘めていたのです。誰も気づいていませんでしたが、チノはわかっていましたよ」


 ね、とチノが微笑む。


「兄さん、なんとかなるでしょう?」

「ああ、そうだな……」


 背後を振り返ると、いつも怖い顔をして襲っていたモンスター達が、みんな笑っていた。


 そうだ、モンスターだって俺たちと同じ生き物だ。

 笑ったり泣いたり、そういう感情を元々持っていたんだ。


「俺やるよ。人も魔物も笑っていられる、そんな国を作る」


 俺は妹に手を差しのばす。


「これからも、俺についてきてくれるか?」


「ええ、もちろんっ♡」


 チノは俺にだきついて、頬にキスをする。


『『『あー! ずるぅうい!』』』


 どどど! とモンスターと、そして地竜のちーちゃんが俺の元へかけてくる。


『アタシのジークに無断でキスするなぁ!』

『魔王様ー! ぼくにもキスしてー』

『おにーちゃーん!』


 神獣達や、魔物たちが俺の元へやってくる。


 彼らを見て俺は決意する。

 今までにない、人も魔物も神獣も、みんなが平和に笑って暮らせる国を作ろう。


 この両手で、もっともっとたくさんの命を救っていくのだ。


 それだけの力が俺にはあるのだと、胸を張って、これからも魔王の道を進んでいこうと思うのだった。

 

【※読者の皆さまへ とても大切なお願い】


ここまでが1章になります!


一区切りとなりますので、ぜひ評価等してもらえると励みになりますし、参考にさせていただきます。


評価は第一章時点での【暫定的な評価】で構いません!(後から変更も可能です!)


「面白い!」

「続きが気になる!」

「今後ももっと国王『ざまぁ』されろ!」


と思っていただけたら下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に変えて、作品への応援おねがいいたします!


面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちで全然かまいません!


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★1巻11/15発売★



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― 新着の感想 ―
[良い点] めっちゃ幸せ! [気になる点] 割と何も無い [一言] 国王ざまぁよりも、その後の幸せ展開が欲しい!
[一言] 最早獣医にあらず、現人神なりって感じ、1000年後には獣魔神とか医療神になってそう。
[一言] 俺たちの戦いはこれからだ~!!!
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