06.国王たちの最後の晩餐
ジークが獣人国からスカウトされた、一方その頃、宰相はというと。
「くくく……上手くいったわ」
食堂にて、食後のワインをあおっていた。
「畜生どもを管理するスタッフも安く手配済み。ジークに払っていた分の給金との差額は、まるまる我が懐に入ってくるという寸法よ……くくく」
祝杯をかかげる宰相。
そこへ、国王が入ってくる。
「これはこれは陛下」
「うむ、なにやら嬉しそうだなぁ、宰相よ」
国王は宰相の正面の、ソファセットに座る。
「陛下こそ、目障りなお荷物が消えて喜んでいるのではないですか?」
「うむ。牛や竜の管理など誰でもできるのだ。獣ノ医師などというたいそうな称号とともに城内部でデカい顔をされているのが気にくわなかったのだ」
宰相は国王にワインを注ぐ。
「して、宰相よ。ジークの処分についてだが」
「すでに手練れの暗殺者を、手配済みでございます」
「うむうむ、よいぞ。ジークめ、国王たるわしを脅迫したのだ。ただですむと思うなよ」
本当は処刑したいところだったが、そんなことで死罪にしたとなれば国民から非難されてしまう。
ゆえに国外追放してから、暗殺者に殺させようとなった次第。
「ええ、なにが大変なことになるですか。馬も竜も大人しくしております。肉も滞りなく市場を回っております。すべてはあの男がついた保身のための虚言にすぎません」
「つくづく度しがたい男だ。無能の分際で高い金をもらっておき、あまつさえ偉大なる国王に脅迫するなど」
「まったくそのとおりです! 死んで当然かと!」
ふたりが邪悪に微笑む。
「ところで、神獣の捕獲はまだできていないのか?」
ここ最近、王都周辺で神獣の目撃情報があった。
神獣は【瑞獣】ともいう。
手に入れた国には、大いなる繁栄をもたらすと古来より言い伝えられている。
「罠をあちこちにしかけているのですが、今のところ捕獲成功の報告は入っていません」
「そうか……神獣を捕まえれば、我が国は更なる発展をとげるだろう」
「ええ、さすれば歴史に、国をさらに豊かにした国王陛下の名前が賢王として、末長く残ることでしょうなぁ」
……しかし、国王は知らない。
神獣はとっくに、王都から去っていったことを。
国王は知らない。
神獣を傷つけたものは、逆に大いなる災いに襲われることを。
……そして、彼らは知らない。
国で保管していた魔獣達が、獣ノ医師がいなくなったことで、管理下から解き放たれたことを。
このときの彼らは、なにも知らなかった。
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