57.国王、ジークを手にする最後の機会を失う②
分割してます。
③は20時に更新します。
「なっ!? なんだとぉ! ま、魔王になると言うのかぁ……!?」
ジークは聖剣を納め、国王に言う。
「俺はずっと考えていた。なぜいつの時代も、魔物たちが虐げられてこなきゃいけないんだって」
ジークは獣ノ医師、動物のみならず、魔獣も治療してきた。
そのたびに疑問を抱いていた。
なぜいつの時代も、魔物は人に狩られ続けなければいけないのかと。
「始祖の呪いは解けた。魔物達を凶悪なモンスターに変えていた原因は取り去った。ならば一個の命として尊重するべきだ。……人間に絶対服従だと? ふざけんじゃねえ!」
彼の怒りは魔力となって周囲にほとばしる。
王達のいたキャンプを吹き飛ばすだけに留まらず、怒声は国中へと響き渡った。
「人も魔物も同等に扱われるべきだ。……この国でそれができないなら、俺はここから絶縁し、仲間達とともに新たな国を作る」
突然のジークの宣言に、国王は呆然とする。
だがすぐに正気に戻る。
「ば、ばーか! そんな国ぃ! 認められるわけないだろぉ! 魔物はなぁ! ついこの間まで人類の敵だったんだぞぉ!」
と、そのときだった。
「われらが認めましょう」
大勢の獣たちが、その場に集まっていた。
「兄さん! ピンチに助っ人を連れてきましたよ!」
魔法の名手であるチノが、転移を使って、彼を支持するものたちを集めてきたのである。
まずは、神獣王ソフィアがジークの隣に立つ。
「わたくしたち獣人国ネログーマは、ジークたちの国と共同歩調を取りましょう」
つづいて、神竜王が逆側に立つ。
「オレたち神竜および7大竜王は、ジークの国につくぜ」
さらに、ハイエルフの王リヒター、そして勇者パーティのセインが隣に立つ。
「われらエルフ国アネモスギーヴはジーク王と運命をともにしましょう」
「勇者パーティもこの国を捨て、ジーク殿を支えていこうと思います」
国王は集まった各国の王達を見て、呆然とつぶやく。
「ば、バカな……ありえん……多種族同士の連邦国家だと……そんなの……前代未聞だぞ……」
「それを成し遂げるほどの力と人格を、彼が兼ね備えているのです。さすがですね、ジーク」
ソフィア王が感心したように、ジークを見やる。
「わたくしたち以外でも、ジーク王を支持する国はすぐに出てくるでしょう。……さて、そうなった場合、1人取り残される国がありますなぁ」
リヒターの言葉に、国王がさぁ……と青ざめた顔になる。
「ふ、ふん! ば、バーカ! おまえら間違ってるんだよぉ! いいかよく聞けぇ! 魔物はなあ、人間にとってなくてはならない資源なんだよ!」
「魔力結晶のことを言っているのか?」
魔物達を倒すと落とす、いわゆるドロップアイテムのひとつだ。
「そうだぁ……! この魔法を根幹に据えた世界に於いてなぁ、魔力結晶の存在は必須! 街を守る結界も、ライフラインも、ぜーんぶ魔力結晶を動力源としている!」
魔物から魔力結晶が取れなくなるとなると、各地でエネルギーの奪い合いが発生する。
すなわち、魔物を狙って、戦争が起きると言うこと。
「魔物を抱えている限りなぁ! かならず資源を巡って他国が攻めてくる! てめえらはおしまいなんだよぉ!」
ジークはため息をつくと、右手を前に出す。
しゅぉっ……! と氷が集まって、紫色の美しい結晶へと変わった。
「ほ、へ……? ま、魔力結晶……?」
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