56.国王、ジークを手にする最後の機会を失う①
長くなったので3話に分割します。
今日中に3話分投稿します。
19時、20時の予定。
ジークを新たな勇者にすえた、新勇者パーティ達は、魔王とともに、国王のもとへ向かった。
王都はすでに失われており、国王は避難キャンプにいた。
ジークはことの顛末を、魔王、そして聖騎士セインとともに話した。
王のキャンプにて。
「ジークよ、勇者としての最初の仕事を与えるぅ。魔王を処刑しろぉ……!」
開口一番、国王はそう言ったのだ。
ジークは顔をしかめ、魔王は諦めたようにうつむく。
「へ、陛下、それは少し横暴ではないでしょうか……?」
セインの言葉に、国王は勝ち誇った笑みを浮かべていう。
「なにがだぁ? こやつは諸悪の根源であろぉ~?」
「しかし魔王殿を殺したとて、すでに呪いは解けているのです。意味がありません」
「ふんっ! そんなの見せしめに決まっておろうが!」
ぺっ……! と吐いたつばが、魔王の顔に当たる。
だが魔王はうつむいたまま、何も言わなかった。
「この邪悪なる王のせいで、どれほどの打撃を食らったと思っておる!? 王都は貴様ら魔なる物たちのせいで壊滅したのだぞぉ!」
否、国王の愚かな判断が王都を、ひいては王国に甚大な被害をもたらした。
だが国王はこれ幸いと、すべての罪を魔王になすりつけようとしているのだ。
「死んで詫びろ。そして魔物どもはそうだなぁ、我ら人間の奴隷として絶対の服従を誓うのであれば、臣下たちを生かしてやってもいいぞぉ~」
「……それをお望みならば、我は喜んで死のう」
「魔王殿!?」
魔王はジークの前に跪くと、フッ……と力弱く笑った。
「ジーク殿。こんなことおぬしに頼むのは迷惑かも知れぬが、娘と、魔獣たちをよろしく頼む……」
すでに魔王は、敵地に乗り込んだ時点で死ぬことを腹に決めていたのだ。
「我ら魔なる物たちを、消耗品ではなく、一個の命として尊重してくれた……心優しき勇者よ」
ジークはその手に聖なる剣を出現させる。
「さぁ~! わしの勇者よ! 魔王を殺せ! そして世界を救った救世主として、わしらに繁栄をもたらすのだぁあああ!」
聖剣を振り上げて、そして……振り下ろした。
……ただし、国王に向かってだ。
「……ほえ?」
国王の着ていた服、髭、そして髪。
体以外のすべてを、一瞬のうちで切り刻んだのである。
「ゆ、勇者ジーク!? な、なにを……?」
「黙れ」
ジークは目に怒りの炎を浮かべながら、国王を見下ろす。
「俺は勇者でも救世主でもない。……俺は、魔物達の暮らす、新しい国の王となる」
【※読者の皆さまへ とても大切なお願い】
「面白い!」
「続きが気になる!」
「もっともっと国王たち『ざまぁ』されろ!」
と思っていただけたら下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に変えて、作品への応援おねがいいたします!
面白かったら星5つ、
つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちで全然かまいません!
ポイントは今後の更新継続のとても大きな励みになりますので、なにとぞ、ご協力をお願いします!