48.再戦、本気の勇者をも凌駕する
俺が公爵となった、1週間後のことだ。
「ジークぅうううううううう! 出てこぉおおおおおおおおおおい!」
ドンッ……! と凄まじい衝撃波が、獣人国全土に渡って走る。
俺はすぐさま現場へと、飛竜に乗って急行した。
「……勇者マケーヌ」
深い森が更地に変わっていた。
マケーヌを中心として発生した衝撃波により、吹っ飛んだらしい。
『あ、兄貴……すまないっす……』『みんなで兄貴を守ろうとしたんすけど……』
飛竜達が、全身に重度の負傷をおって、何匹も倒れている。
「……おまえ、何しに来たんだよ」
マケーヌは血走った目で俺を見ながら、邪悪に笑って言う。
「決まってんだろ、復讐だぁ……!」
腰に佩いた漆黒の剣を取り出す。
「この間は油断して負けちまったけどよぉ……! 今度はそうはいかねえ! 最初から本気で行かせてもらうぜぇ!」
「……俺に用事があるなら、他のヤツらを傷つける必要ないだろ!」
「うっせえ! 畜生どもの命なんざどーでもいいだろ!」
……なんでこんな最低なやつが、勇者やってるんだ?
「もう侮らねえ、本気の、全力全開の勇者の戦闘を見せてやる!」
ドンッ……! と勇者の体から、黄金のエネルギーが吹き出す。
「ハッ! 獣番のてめえはこれがわっかんねえだろ!? 教えねえけど!」
瞬く間にマケーヌが消える。
「死にさらせぇえええええええ!」
ガキィン! と俺は、上空から一撃を食らわせようとしてきた勇者の剣を、片手で受け止める。
「【闘気】、自然エネルギーを取り込み、運動エネルギーへと変換する身体能力を強化する術……か」
「なっ!? て、てめえ! 知ってたのか!?」
「いや、知らん。だが、この目が見抜いた」
【全獣ノ医師】のスキルのひとつ。
【神の眼】
→あらゆる物体の情報を鑑定が可能となる。
見たものの技術の模倣、見たものの弱点を見抜くなど様々な性能がある。
「なっ、なんだそれは!? そんな超レアスキル、勇者だって持ってないぞ!」
「おまえが侮った獣番より、勇者のほうが弱いってことじゃないか?」
「減らず口を! 死ねおらぁ!」
勇者が両手に剣を持ち、俺に向かって連撃を放つ。
それは刹那の間に100もの斬撃をくわえる剣による乱舞。
だが俺の目はその攻撃を全て見切り、紙一重で全部を避ける。
「くそっ! くそっ! 当たれ! 当たれよ畜生!」
「【麻痺】!」
俺は隙を突いて勇者のみぞおちに掌底を繰り出し、麻痺スキルを使用する。
「ガハッ……!」
くたぁ……とその場に勇者が崩れ落ちる。
「すまない、またせたなおまえたち」
俺は飛竜達のもとへ向かう。
『兄貴……おれ、もうだめだ……』
『最期に、兄貴の役に立てたかなぁ……』
「はっ! そうだ獣番! てめえのせいで飛竜どもは死ぬんだよぉ! 勇者に楯突いたせいでなぁ!」
回復アイテムか何かを使って、麻痺から脱した勇者が、俺に斬りかかってくる。
パシッ……!
「なっ!? て、てめえ! こちらを見ずに攻撃を受け止めただと!?」
「おまえもう黙ってろ!」
俺は勇者の腹を思いきり殴る。
「ぶぎゃぁあああああああああああ!」
勇者はボールのように軽々吹っ飛んでいき、高所から落下する。
「……ば、かな。勇者の、鎧は……竜の一撃すら防ぐん、だぞ。それを素手で、割るとか……化け物、かよ」
存在進化したことで、基礎的な身体能力の向上。
さらには魔力が神獣レベルにまで引き上がっているようだった。
「すまん、すぐに治癒する」
「ま、魔獣に……治癒なんてきくわけ、ねーだろう゛ぁか……」
俺は両手を広げ、倒れ伏す飛竜達に、神の手を使う。
ぱぁ……! と飛竜たちを柔らかい光が包み込むと、あっという間に傷が癒えた。
『す、す、すげーっす兄貴!』
『体が楽になった! さすが兄貴っすー!』
一方で勇者が、がくーんと口を開いて言う。
「ば、ばかなぁ……治癒魔法は魔獣には毒なはずだろおぉ~……?」
「神の手も進化したんだよ。これで魔獣も治癒できるようになった」
俺は飛竜達の頭をよしよしとなでる。
「悪いがそいつを、どこかへ捨ててきてくれ」
『がってんだ、兄貴!』
飛竜は勇者を掴んで飛び上がる。
「ゆ、勇者にこんなことして……ただですむとおもうなよぉ~……」
『そりゃこっちのセリフっす! 兄貴は獣人国の王族になったんすよ!? 危害を加えたら相応の報復を覚悟するんすね!』
うぎぎ……と勇者が悔しがる。
「今回は見逃してやる。だがまた来るようなら容赦しない」
「く、くそぉ~……おぼえてろぉ~……」
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