47.獣人たちに溺愛され爵位を授与される
俺が国王を退けた、その直後。
国境付近の森にて。
『ジークぅううううううう!』
どどど! とすごい勢いで、地竜のちーちゃんが駆けよってきた。
『大丈夫ジーク!? あのバカ国王にひどいことされてない!?』
ちーちゃんが俺の頬をベロベロと舐めまくる。
「だ、大丈夫だよ。大げさだな」
「先生! 大丈夫かぁ!?」
上空から神竜王が下りてくる。
「国王が先生を力づくで連れ戻そうと、軍を率いてやってきたって聞いてすっ飛んできたぜ!」
『『『兄貴ぃ~! ダイジョブですかぁ!』』』
飛竜の大軍が飛んできて、俺の前に着陸する。
「ジーク先生が大変だって聞いたぞ!」「なにぃ! おれたちのジーク先生を連れ戻しに戦争吹っ掛けてきた馬鹿がいるだってぇ!?」
街の獣人たちが、雪崩のように俺の元へ駆け寄って来る。
「あの国王め! ジーク先生欲しさに戦争しようっていうのなら受けて立つ! オレたち獣の民の力を見せてやろうぜ!」
「「「おう!」」」
な、なんだか大変なことになっているような……。
ど、どうしようこれ。
「皆さん、落ち着いてください」
「「「ソフィア様!」」」
神獣王ソフィアが、チノに連れられて、俺の前までやって来る。
「国王は単にジークを連れ戻しに来ただけのようです。危害はありませんでした」
ほぉ……とその場にいた全員が安堵の吐息をついた。
「みんな……俺のこと心配してくれたのか。どうして……?」
するとソフィアは微笑みながら、俺に言う。
「みな、あなたのことを心から敬愛しているからですよ」
「「「もちろん!」」」
獣人、飛竜、神竜王……その場にいたみんながうなずいてくれた。
「獣の民はあなたに深く感謝し、尊敬し、そして何よりも誰よりも深く深く愛しております」
「みんな……ありがとう」
宰相に馬鹿にされ、国王には追放され……獣ノ医師は今の時代に、不要なんじゃないかって不安だった。
だから、こんなにも大勢の人に必要とされていて……すごいうれしかった。
「ふむ、しかし困ったな。また同じように先生を連れ戻しに来られても困る。ソフィア、なんかいい手立てはないか?」
神竜王がソフィア王に尋ねる。
「わたくしに妙案があります。ジークに【公爵】の位を与えるのです」
おお……! とその場に集まっていた獣たちが、歓声を上げる。
「俺に、爵位を与えるってことか?」
「しかも兄さん、これはすごいことですよっ」
チノがキラキラした目を俺に向ける。
「どういうことだ?」
「獣人国において、公爵家は王の親類縁者でしかなれない規則になっているのです」
「へ!? そ、それって……王族扱いってこと!?」
ソフィア王は微笑をたたえながらうなずく。
「い、いやいや! 俺人間だぞ? 獣人国の王族になれるわけがないだろ?」
「ええ。長い獣人国の歴史の中で、王の血筋以外が公爵になったものはいません。まして人間がこの国で王族に認められたのは、あなたが史上初ですよ」
「「「す、すげー!」」」
わっ! と獣人たちが沸き立つ。
「いや、その……なんで俺が?」
「爵位にふさわしい功績を立てたこと、そしてなによりあなたは【全獣の民】に、この国に必要不可欠な存在と認められたからです」
神竜王はなるほど、とうなずく。
「先生を王族に据えれば、よほどの馬鹿じゃないかぎり簡単に手は出せなくなる、先生の身の安全は保障されるってことか」
おお! と獣人たちが歓声を上げる。
「ジーク、どうか我が国の王家に名を連ねていただけないでしょうか」
な、なんだかとんでもないことになったな……。
どうしよう。
けど、俺を守るために、国が用意してくれたポストだ。
「こんなただの獣ノ医師に、務まるだろうか」
「わたくしたちは獣ノ医師がほしいのではありません。ジーク、あなた個人を必要としているのです」
ここにいる誰もが、俺を必要としてくれていた。
優しい獣の民たちの思いに……俺は報いたい。
「謹んで、お受けいたします」
俺が神獣王に頭を下げると、彼女は晴れやかな笑顔で言う。
「あなたならそう言ってくれると信じておりました。さすがジーク、これからも全獣の民たちを守ってください」
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神獣・ソフィアより称号【公爵】を獲得。
条件を満たしました。
ジーク・ベタリナリは【全獣ノ医師】へと存在進化します。
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