42.神竜の子供に溺愛され新スキルゲット
俺が氷竜を助けた数日後。
獣人国所有の竜舎にて。
「調子はどうだ?」
母氷竜が藁の上に座り、笑顔で答える。
『良好です。ここはとても心地が良いですね。先生がこの寝床を作ったと伺いました。さすがジーク先生』
母竜を助けてから、彼女から先生と呼ばれるようになった。
俺は母竜の診察を行っていたそのときだ。
「やぁ先生! 元気かいっ!」
金髪に赤目の大男がやってきた。
この人は母竜の番い、つまり子竜の父親で……なんと神竜王らしい。
「先生! 改めて、オレの大事な妻と子供を救ってくれてありがとうな!」
がしっ! と神竜王は俺をハグする。
「あんたは本当に素晴らしい医者だ! 今まで先生のような人格に優れた人間を見たことがない! 大好きだぞ!」
「ど、どうも……ちょっと苦しいんで、離れてもらって良いか?」
ややあって。
「先生、実は今日は折り入って頼みがあるんだ」
「頼み?」
「おおい、可愛い可愛いオレのハニー♡ ベイビーを連れてきてくれ~♡」
猫なで声の神竜王。
母竜は呆れたようにため息をつくと、何かをくわえて、俺の前までやってくる。
『…………』
先日生まれたばかりの赤ん坊ドラゴンだ。
母親に似て、冬の日の晴れた青空のように、美しい鱗を持っている。
「実は娘の名前を、先生につけてもらいたいんだ」
「いいのか? 確か神獣って、子供の名前を決して他者に決めさせないって聞いたぞ」
「その通りだ。人間に決めさせるなんて普通は絶対しない」
『しかし命の恩人であるあなた様だけは特別、この子の名付け親にふさわしいと思います』
子竜とパチリと目が合う。
『……ままぁ~』
もじもじと子竜が母親の懐に潜ってしまう。
『ごめんなさい、この子ってば照れ屋なのです』
「なるほど……そうだな。名前、名前か」
子竜の鱗の色を見て、俺は決める。
「じゃあ【シア】。どうだ、シア?」
ひょこっ、と子竜は母親の影から顔を出し、にこーっと笑う。
『気に入ったようです。とても良い名前だと思います。さすが先生』
「さて娘の名前を決まったところで、もう一つ頼まれて欲しいことがあるんだ」
神竜王はシアを抱き上げて、俺のもとへやってくる。
「しばらくシアを、先生に任せたいんだ」
「社会適応ってやつか」
「おっ、よく知ってるな! さすが先生、その通り!」
獣は生後一定期間は、別の個体とふれあわせることで、社会性を身につける。
「親元だとどうしても甘やかしちまうからな。かといって生半可なやつにウチの愛娘を任せたくない」
『先生、どうか娘を預かっていただけないでしょうか』
まあ患者の頼みだしな。
それにハクの良い友達になってくれるかもしれない。
「わかった。シア、これからよろしく」
俺が子竜に手を伸ばすと、ぴょんっ、と飛びついてきた。
『……じーく♡ ……ちゅき♡』
ちゅっちゅっちゅっ、とシアが俺の頬にキスしまくる。
『あらあら、シアは先生が大好きみたいですね♡ あなたよりも』
「お、おまえ~……悲しいこと言うなよぉ~……」
『冗談に決まっているでしょう、もうっ』
おしどり夫婦だな。
竜だけど。
と微笑ましく思っていたそのときだ。
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神竜と契約しました。
百獣ノ医師としてのレベルが上がります。
スキル【霧氷錬金】(SSS)を獲得しました。
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「なんかスキルゲットしたんだが?」
「神竜と契約したんだ。生き物としての格が上がったんだよ。ソフィアんとこの嬢ちゃんと契約したときもそうだったろ?」
確かに神獣ハクと契約したら強くなったな。
しかし新しいスキルか。
ちょっと試してみよう。
手のひらから細かい氷が吹き出し、それが手術道具の形へと変化した。
「おお、完全に金属じゃんか」
『霧氷錬金は氷であらゆる道具を作り出すスキルです。材質まで完璧に再現可能です』
氷で何でも金属でもなんでも、無限に作れるってことか。
「やばいなこれ、すごいしっくりくる」
俺はメスを手に持って、軽く動かしてみた……そのときだった。
ずず……と、竜舎の壁が、ずれた。
天井にも線が入り、竜舎の建物が縦に真っ二つになった。
「おお! 見事な切れ味だな! さすが先生!」
「なんなのこれ!?」
『霧氷錬金は使い手次第で性能すらも向上させられます』
「先生の凄まじいポテンシャルなら、建物くらい簡単に真っ二つにする刃が作れるってこった! すげえな!」
後日トレーニングで普通のものを作れるようになったのだった。
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